こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『X エックス』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『X エックス』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『X エックス』が好きになると思いますよ♪
映画『X エックス』のあらすじ
1979年、テキサス。女優マキシーンとマネージャーのウェイン、ブロンド女優のボビー・リンと俳優ジャクソン、自主映画監督の学生RJとその恋人で録音担当のロレインら6人の男女は、新作映画「農場の娘たち」を撮影するために借りた農場を訪れる。6人を迎え入れたみすぼらしい身なりの老人ハワードは、宿泊場所となる納屋へ彼らを案内する。マキシーンは、母家の窓ガラスからこちらをじっと見つめる老婆と目が合ってしまい……。
出典:映画com
・スタジオA24が手掛ける上質ホラー映画
・まさかの三部作構成!エンドロールも目を離せない
・若者と老人という対極的な存在を描く
・一人二役を演じたミア・ゴスに拍手
史上最高齢の殺人鬼夫婦が住む屋敷に足を踏み入れてしまった3組のカップルの運命を描いたホラー映画です。
リメイク版「サスペリア」のミア・ゴス、「ザ・ベビーシッター キラークイーン」のジェナ・オルテガ、「ピッチ・パーフェクト」シリーズのブリタニー・スノウが出演しており、「サクラメント 死の楽園」のタイ・ウェストが監督・脚本を手掛けています。
また制作会社が『ミッドサマー』や『ヘレディタリー』を制作しているA24ということで話題にもなっている映画です。
2022年の夏を代表するホラー映画に仕上がっていますが、少し謎が残る展開になっているのも事実です。
【ネタバレ】『Pearl パール』考察【最高の続編!ラストシーンの意味について】
当ブログでは、徹底的に謎を考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです♪
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【ネタバレあり】映画『X エックス』のネタバレ一覧
ネタバレ①:タイトルの意味
本作のタイトルである『X エックス』には、いったいどのような意味があるのでしょうか。
『X』には、次のような意味があります。
①秘密の『X』
②極限の『XTREME』
③快感の『XTC』
④未知なる『XFACTOR』
⑤レイティング・システム(映画観賞の年齢制限枠)の『X指定』
どれも意味深なタイトルであり、本作を表現するのにふさわしい意味だと思いますが、最もふさわしいのは、”④未知なる『XFACTOR』”だと思われます。
もう少し言葉を短くしてわかりやすくすると、タイトルの意味は、”未知数”です。
有名な映画で『遊星からの物体X』がありますが、これも宇宙から飛来した未知数な存在が猛威を振るっていました。
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本作で未知数な存在であるのは、言うまでもなく連続殺人鬼である老人2人ですが、それ以外にも未知数な存在が登場しています。
それが”6人の若者たち”です。
整理すると、次のような関係性になっています。
①老人にとっては、「若者が未知数な存在」
②若者にとっては、「老人が未知数な存在」
つまり、”老人と若者を対極的な存在として描いている”ということです。
この対極的な存在というのが、本作のストーリーや演出に深く関わっています。
ネタバレ②:オマージュしている名作映画
本作には、オマージュとなった映画が何作品か登場しています。
①『悪魔の生贄』(74)
→連続殺人鬼である老人2人の造形
②『モデル連続殺人!』(64)
→RJが殺される際、鮮血が画面を覆うような真紅の色調
③『The Farmer’s Daughters(農家の娘たち)』(76)
→RJが監督する「農家の娘たち」の同名のポルノ映画
④『サイコ』(60)
→ジャクソンが発見する池に死んでいる車
⑤『シャイニング』(80)
→地下室の扉から顔を覗かせるロレインのシーン
⑥『ブギーナイツ』(97)
→冒頭でマキシーンが「私はセックスシンボル」と意気込むシーン
過去作へのオマージュが散りばめられた映画に仕上がっていますので、意識しながら観てみるとより楽しめるかと思います。
ネタバレ③:モデルとなったアメリカ最高齢の殺人鬼
本作にはモデルとなった殺人鬼がいます。
それが”1989年に存在したレイとフェイのコープランド夫妻”です。
ミズーリ州ムーアズヴィルにあるコープランド夫婦の農場で働いていた元従業員のジャックから、「農場で人骨を見つけた。自分もレイに殺されかけた」と通報があり、警察が農場を調べたところ計5人の若者の遺体が発見された、という事件の犯人がコープランド夫婦です。
実際には5人ではなく、計12人がコープランド夫婦の犠牲となっており、それぞれの名前を書いたリストには「X」と記載されていました。
その後、レイは76歳、フェイは69歳で死刑判決を下されており、2人はアメリカで死刑を宣告された最高齢の殺人鬼となっています。
ネタバレ④:1979年代を舞台にした理由
本作の舞台は1979年ですが、これにはきちんとした理由があります。
理由は次のとおりです。
①マキシーンが憧れる女優リンダ・カーターは、1979年に放送されていたTV番組「ワンダーウーマン」で大人気だった
②RJは、フランス映画監督のジャン=リュック・ゴダールに心酔している
③1979年はフリーセックスが流行しており、ボビーとジャクソンのキャラクター背景となっている
本作も敢えて映像を1979年風に古くぼかしていますし、1979年へのリスペクトが感じられます。
しかし1979年を舞台にしている理由は、他にもあると思っています。
というのも、エンドロール後に続編の映像が流れるんですよね。
続編は、”1918年を舞台とし、殺人ババアであるパールさんの若かりし頃を描く”といった感じに仕上がっています。
本作から61年前の続編って感じですね。
本作はスタジオA24初のシリーズ作品だと公表されており、現段階で3部作の構想が練られているそうです。
本当に3部作なのだとしたら、次のような感じになるのでしょう。
①『X エックス』
→1979年が舞台、連続殺人鬼パール婆さんの活躍を描く
②『Pearl パール』
1918年が舞台、連続殺人鬼パールさんの誕生を描く
③『Maxine マキシーン』
2039年が舞台、新たな連続殺人鬼マキシーンの活躍を描く
マキシーン=連続殺人鬼説については、ブログ後半で考察していきます。
【ネタバレ】『Pearl パール』考察【最高の続編!ラストシーンの意味について】
ネタバレ⑤:冒頭の牛の死体について
冒頭からグロテスクな牛の死体が登場しますが、いったいどのような意味があったのでしょうか。
単純に考えると、”これから起こる悲劇を連想させる”ということかと思いますが、本当の意味は別にあるかと考えられます。
というのが、牛の死体を見てマキシーンが「血と内臓が苦手」と言うんですよね。
しかし終盤では血なんて気にすることなく、パール婆さんを轢き殺していました。
このことからも牛の死体は、”マキシーンの苦手な血や内臓を観客に意識させつつ、苦手意識を乗り越えるマキシーンの姿を描く”と言う意味合いもあるのだと思われます。
それは同時に”新たに成長をしたマキシーンが第二のパール婆さんになる可能性を秘めている”、ということも表しているのだと思われます。
ネタバレ⑥:若者6人の目的
本作で悲劇に遭遇する若者たちの目的は、”革新的なポルノ映画を撮り、大金持ちになる”ということです。
監督である大学生のRJは、ジャン=リュック・ゴダールに陶酔しているため、ゴダール風の映画を撮影しようとしています。
ゴダールは、ヌーベルバーグと呼ばれる”下積み経験なしにデビューした若い監督による、ロケ撮影中心、同時録音、即興演出などの手法”の象徴としても有名な映画監督です。
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そのためRJも第二のゴダールになるべく、革新的なポルノ映画で一儲けしようと考えています。
しかしロケ地に選んでしまった場所が、まさか最高齢の連続殺人鬼が住む場所だったとは・・・運がないですね!
ネタバレ⑦:老人の目的
本作で若者たちに絶望と恐怖を与える老人2人ですが、その目的は何だったのでしょうか。
老人2人の目的は、”パールの欲求を満たすこと”です。
老人2人は、家に立ち寄った人を殺害し、池に捨ててワニに食べさせている連続殺人鬼です。
しかしとても愛し合っている夫婦でもあり、夫であるハワードは妻であるパールの願いを叶えたい、と強く望んでいます。
パールの願いとは、”いつまでも女として愛されたい、若く魅力的でありたい”という誰もが抱いているような願いですが、願いの叶え方が一般人とは異なるのです。
そしてパールは、自己中心的な若い女、いわゆるアバズレ女が大嫌いです。
これはパール自身が自己中心的な性格なので、同族嫌悪というやつでしょう。
ハワードもパールの想いに応えようとはしていますが、年齢を重ねると共に体力も弱っているため、パールの想いに必ずしも応えることが出来るわけではありません。
そのため、家に立ち寄る人を監禁し、パールの欲望のはけ口にしていたのだと思われます。
地下室にはヒッピーの吊り下げ死体がありましたが、これはパールの性的欲求を満たすためなのでしょう。
ハワードがロレインを地下室に閉じ込めていましたが、これはパールの美への欲求を叶えるためだったかと思われます。
しかしパールは、マキシーンを気に入っていたため、ロレインは呆気なく銃殺されることになります。
ネタバレ⑧:若者5人の殺害方法
本作では連続殺人鬼であるハワードとパールの老人2人により、若者5人が無残に殺されます。
①RJ(映画監督)
→パールに誘惑されるが、拒絶したためナイフで首をメッタ刺しにされ殺される
②ウェイン(プロデューサー)
→足で釘を踏み抜き、助けを求め覗き穴を覗いたところをパールに串刺しにされる
③ジャクソン(男優)
→ハワードと一緒にパールを探していたところ、ハワードに銃殺される
④ボビー(女優)
→パールを介抱しようとしたが拒絶され、池に落とされワニに喰い殺される
⑤ロレイン(RJの彼女)
→地下室から脱出するが、ハワードによって銃殺される
どの殺害方法もあまり力や技術に頼っておらず、老人でも殺せる方法になっているのがポイントです。
序盤からワニの存在を匂わせていましたが、案の定ボビーがワニに喰い殺されました。
おそらくですが、ワニは老人たちのペットなのでしょう。
そうでなければ、危険な殺人ワニが私有地内にうろついていることになりますからね。
老人たちは、殺人の証拠隠滅をはかるため、殺した人間を池に捨てていました。
そのときに証拠隠滅に一役買っていたのが、ペットであるワニだったのだと思われます。
ネタバレ⑨:レモネードが意味する対極的な演出
パールがマキシーンを家に招きご馳走したレモネードですが、これにはかなり深い意味があります。
というのも、レモネードを飲むシーンから”対極的な映像を交差させている”んですよね。
当ブログの冒頭でも触れましたが、本作は”老人と若者を対極的な存在として描いている”のが特徴です。
その代表例が”セックスシーン”です。
若者たちのセックスシーンは、”芸術的であり、官能的で目が離せないもの”として描かれているのに対し、老人たちのセックスシーンは、”汚く、おぞましくて目を逸らしたいもの”として描かれています。
レモネードを飲むシーンも、パールの出すレモネードは、”どこか得体の知れない不気味な飲み物”なのに対し、若者たちの映画に登場するレモネードは、”どこかエロさを感じさせる官能的な飲み物”として描かれています。
これは世間一般の人が無意識に自覚している、”若者=美しい、老人=醜い”という概念を映像化しているものと思われます。
ネタバレ⑩:連続殺人鬼である老人2人の死因
最高齢の連続殺人鬼であるハワードとパールの2人ですが、その最期は随分と呆気ないものでした。
2人の死因は次のとおりです。
①ハワード
→一瞬息を吹き返したロレインにびっくりし、心臓麻痺を起こして急死
②パール
→マキシーンを銃で狙い撃つが、銃の反動で吹き飛ばされ腰の骨を折り、マキシーンにより車で頭部を潰される
この2人の死因も上手く伏線が張られています、
例えばハワードについては、度々心臓が弱いことが匂わされていましたが、死ぬ直前にパールとセックスしており、心臓を酷使しているんですよね。
またパールについては、身体が弱いので転んで腰の骨を折ったら大変だ、という描写があります。
つまり老人2人は、”見事に伏線を回収して、呆気なく死んだ”ってことです。
まさか連続殺人鬼がこんなかたちで死ぬことになるとは・・・
ネタバレ⑪:マキシーンについて
本作の主人公であるマキシーンですが、ラストシーンで衝撃の事実が判明します。
老人たちの家のTVで胡散臭い宗教演説が流れていましたよね?
なんというか保守的なキリスト教の伝道というイメージで、本作の雰囲気と合わさりどこか不気味な感じでした。
その演説をしている伝道師の娘がマキシーンなのです。
マキシーンの父親である伝道師は、「娘は悪魔に唆されて出て行った」と言っていますが、この悪魔がプロデューサーのウェインのことを指しているのか、殺人鬼であるパールのことを指しているのかは明かされませんでした。
おそらくですが、”悪魔=マキシーン本人”なんだと思います。
というのも、マキシーンとパールは、”女優ミア・ゴスが一人二役で演じている”んですよね。
このことからも、”パールがマキシーンに対し、若かった頃の野心的で自由な自分の姿と失われてしまった時間を虚しさ”を表しているのと同時に、”パールはマキシーンの未来の姿である”ということも示唆しています。
ラストシーンでマキシーンはパールを殺害しますが、これは”未来の自分を殺した=パールのような自己中心的な生き方を完全否定した”ということを表しているのだと思います。
結局、マキシーンの父親の正体については詳細が明らかになりませんでしたので、次回作で何かしらが描かれることを期待しています。
ネタバレ⑫:エンドロールの続編について
本作はエンドロールまで一切気が抜けません。
というのも、エンドロールでまさかの続編映像が流れるんですよね。
本作は、”スタジオA24初となるシリーズ作品”であり、”現時点で三部作の構想”が明らかになっています。
そのためエンドロール後に流れた映像は、次回作『Pearl パール』の予告編映像です。
『Pearl パール』は1918年が舞台となっているため、本作より61年前の出来事が描かれています。
つまり”パール婆さんの若かりし頃を描きながら、殺人鬼パール誕生秘話に迫る”という内容になっています。
予告編映像を観る限り、若く美しいパールが両親と思われる人物を殺害し、死体と共に生活しているような描写がありました。
また舞台が1918年と本作より61年前にもかかわらず、本作よりも綺麗な映像で撮られていることも印象的でした。
これは、”1979年=老人パール、1918年=美女パール”を描いていることを表しており、必然的に”若い=美しい、老い=醜いというパール自身の思想を表しているもの”と思われます。
おそらく三部作の最終章は、『Maxine マキシーン』であることが予想されますので、今から続編の公開が楽しみですね。
【ネタバレ】『Pearl パール』考察【最高の続編!ラストシーンの意味について】
映画『X エックス』の感想
『ミッドサマー』や『ヘレディタリー』といったホラー映画の名作を世に送り出した、スタジオA24制作によるホラー映画ということもあり、期待値大で観賞してまいりました。
正直な話、怖さやグロさでは「ミッドサマー』や『ヘレディタリー』に匹敵するものではなく、どちらかというと”非力で醜い老人による、現実的なホラー映画”という印象でした。
しかし非力な老人2人が鮮やかに若者たちを殺害していく様子は、「この殺し方なら現実世界でも出来るかもしれない」というある種のリアリティある恐怖を観客に与えてくれます。
また単なる残酷な殺人を描くだけではなく、”老いていくことへの恐怖や若さへの執着”を描いており、ストーリーに深みを持たせているところが特徴的です。
その立役者は間違いなく女優ミア・ゴスでしょう。
ミア・ゴスは、本作の主人公マキシーンと殺人鬼パールを一人二役で演じており、まるで合わせ鏡のような人物像を表現しています。
まるでマキシーンの未来がパールであるかのように錯覚するわけです。
このあたりの演出や配役は、とても上手だなと素直に思いました。
希望が溢れる未来が待っている若者、過去の栄光を失ってしまった老人、この対極的とも呼べる2つの存在を上手く掛け合わせたホラー映画に仕上がっています。
本作は三部作の構想が練られているということですので、早く残り2作品も観てみたいですね♪
【ネタバレ】『Pearl パール』考察【最高の続編!ラストシーンの意味について】
まとめ
2022年夏を代表するホラー映画に仕上がっていると思います。
同時期に『ブラック・フォン』や『哭悲(コクヒ)』が上映されていますので、好みのジャンルを観るのも良いかもしれませんね。
不気味な老人たちに理不尽に殺される若者たちを見たいのであれば、本作はメッチャ面白いのでオススメです。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。