こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『ヘレディタリー/継承』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『ヘレディタリー/継承』が好きになると思いますよ♪
映画『ヘレディタリー/継承』のあらすじ
祖母エレンが亡くなったグラハム家。
過去のある出来事により、母に対して愛憎交じりの感情を持ってた娘のアニーも、夫、2人の子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。
祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。
最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまう。
・祖母エレンの秘密が家族を崩壊させてしまう恐怖
・伏線が張り巡らされており、一度観ただけでは理解できないほど
・終盤の怒涛の展開がトラウマレベルの恐怖
・タイトルである『ヘレディタリー』の意味がヤバイ
家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー映画です。
「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットがアニー役を演じており、夫役をガブリエル・バーン、息子役をアレックス・ウルフ、娘役をミリー・シャピロがそれぞれ演じています。
監督、脚本は本作で長編監督デビューを果たしたアリ・アスターです。
本作はかなり不気味かつ謎が残る映画です。
当ブログでは、映画の謎を徹底考察・解説していますので、映画観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『ヘレディタリー/継承』のネタバレ一覧
本作は非常に伏線が張り巡らされており、一度映画を観ただけでは理解できないことが沢山あります。
特にペイモンの継承がややこしいですよね。
簡単にネタバレありで伏線を回収しておりますので参考にしてくれると嬉しいです。
ネタバレ①:ヘレディタリーの意味
タイトルである「ヘレンディタリー」には、「遺伝的な」・「先祖代々の」・「親ゆずりの」という意味があります。
本作は悪魔ペイモンの継承がテーマであり、ペイモンを継承できるのはグラハム家の血筋かつ男性です。
すなわち亡くなった祖母エレンの血縁者=孫であるピーターということになります。
そう考えると深いタイトル名ですよね。
ネタバレ②:チャーリーの正体
表情や考えが読めない不気味な少女ですよね。
チャーリーは生まれたときから身体にペイモンを宿しています。
これはアリ・アスター監督のインタビューにも記されていますし、母親のアニーがチャーリーに対し「あなたは赤ちゃんの時も泣かなかった。生まれた時でさえ」というセリフからも確定事項です。
しかしペイモンは最終的には男性の身体にしか宿ることが出来ません。
おそらくチャーリーは仮の身体っていうことなのでしょう。
兄であるピーターの肉体が成人レベルまで育ってきたため、チャーリーは用済みとみなされ例の事故で命を落としました。
ネタバレ③:父親ではなくピーターが継承した理由
ペイモンを継承するには祖母エレンの血縁者かつ男性である必要があります。
そのため娘婿であるピーターの父親スティーブは、血縁者ではないためペイモンを継承することは出来ません。
そうなると必然的にピーターが継承対象ということになります。
それが出来なかったのには2つ理由があると考えています。
①:アニーがピーターをエレンに近づけないようにしていたから。
②:ペイモンを継承するには、ある程度肉体が育つ必要があるから。
【①】は映画の中でも描かれていましたよね。
ピーターが生まれた頃、エレンがみんなを操ろうとしてくるのでアニーが不干渉ルールを決めピーターをエレンに近づけないようにしていました。
そのためエレンはピーターに接触することが出来なかったわけです。
【②】はアニーの兄チャールズが16歳の時に首吊り自殺をしたことから推測しました。
自殺の理由はエレンにペイモンを継承させられそうになったからです。
チャールズは死ぬ前に「母さんは僕の中に何かを招き入れようとした」という遺書を残しています。
16歳という年齢から推測すると、赤ん坊や幼児ではなくある程度肉体が育たないとペイモンを継承できないのだと考えます。
ネタバレ④:偶然ではなかったチャーリーの事故
トラウマレベルの事故ですよね、本当に気持ち悪くなりました。
①:ピーターのクラスメイト宅でナッツ入りのケーキを食べアレルギー反応を起こすチャーリー
②:チャーリーを救うため車で病院に急ぐピーター。
③:呼吸が出来ない苦しさから車の窓から顔を出すチャーリー。
④:道路にある鹿の死体を避けるためハンドルを切ると、電柱とチャーリーの顔が正面衝突。
⑤:首が吹き飛ぶチャーリー。そして電柱には謎の紋章が刻印されていた。
ヤバすぎる・・・こんなのトラウマになるでしょ!
最初は偶然発生してしまった不幸な事故だと思ったのですが、実は電柱に謎の紋章が刻印されているんですよね。
これこそペイモンの紋章です。
つまりこの事故は偶然ではなくペイモンの呪いなわけです。
チャーリーに宿っているペイモンをピーターに移すためには、現在の宿主であるチャーリーを殺す必要があります。
またエレンもアニーも首を切られていることから、そもそもグラハム家の女性は全員首を切らないといけない運命なのです。
ネタバレ⑤:ペイモンとは
ペイモンはヨーロッパの伝承に登場する悪魔であり、序列9番目の高位な悪魔とされています。
【ペイモンとは】
現れる際には、王冠を被り女性の顔をした男性の姿を取り、ひとこぶ駱駝に駕しているとされる。また、トランペットやシンバルなどの楽器を携えた精霊たちを先導として現れる。最初に現れた際にパイモンは大音声で怒号のように話すため、服従させない限り召喚者はパイモンの話を理解できないという。生贄により召喚された際には、ベバル(Bebal)とアバラム(Abalam)(またはラバル(Labal)とアバリム(Abalim))という二人の王を従え、時として25軍団の能天使たちを伴う。
人に人文学、科学、秘密などあらゆる知識を与えるといわれ、大地がどうなっているか、水の中に何が隠されているか、風がどこにいるのかすら知っているという。召喚者に地位を与え、人々を召喚者の意思に従わせる力も持つ。また良い使い魔を用意してくれるともいう。
出典:Wikipedia
人に知識や地位を与えてくれる悪魔ということもあり、信者たちから崇拝されているようです。
またペイモンは悪魔の強さや地位を表す『ソロモン72柱』で序列9番目とされています。
【ソロモン72柱とは】
旧約聖書には書かれていないが、第三代イスラエル王であったソロモンがその英知をもって悪霊を支配していたという話はヘレニズム期のユダヤ人の間に流布していた[注 5]。このような偉大な知恵者とされたソロモンにまつわる伝説から、その後千年に亘って、ソロモンに由来すると偽った文献群(ノーマン・コーンは偽ソロモン文書 pseudo-Solomonic books と呼んだ[17])がヘブライ語やギリシア語、アラビア語で書かれることになったが、中世盛期後半頃から、魔術師が悪霊を呼び出す術(ニグロマンシー)について記した、それまでとは趣を異にする偽ソロモン文書がヨーロッパで作られるようになった。『レメゲトン』はこうした文献の流れを汲んでいる。
出典:Wikipedia
つまり『ソロモン72柱』で紹介されている悪魔はどれも強力な悪魔ということです。
序列1番目 | バエル |
---|---|
序列2番目 | アガレス |
序列3番目 | ウァサゴ |
序列4番目 | ガミジン |
序列5番目 | マルバス |
序列6番目 | ウァレフォル |
序列7番目 | アモン |
序列8番目 | バルバトス |
序列9番目 | ペイモン |
なかでもペイモンは他の悪魔を圧倒する軍団数を保有しており、その力がいかに強大なのかを物語っています。
なんにせよ普通の人が関わってはいけない悪魔なのは間違いないです。
ネタバレ⑥:ミニチュアの意味
出典:IMDb
アニーは精密なミニチュアを作るジオラマ・アーティストの職に就いています。
アニーの心境を描いていると言っても過言ではないと思います。
しかしチャーリーの事故をきっかけに徐々におかしな雰囲気になっていきます。
極めつきはチャーリーの事故現場をミニチュアにしているところですね。
もうこの辺りから何か家族に良からぬモノが関わっているんだろうというのが伝わってきます。
また本作のテーマはペイモンの継承であり、その継承を裏で糸を引いているのはペイモンの信者たちです。
ミニチュアはグラハム家が何か外部の存在から操られていることも示唆しているのだと思います。
ネタバレ⑦:ジョーンの正体
出典:IMDb
アニーの良き理解者かと思われたジョーンですが、その正体はペイモン信者です。
アニーの亡くなった母エレンとも親交があり、昔からペイモンの継承を狙っていたことが想像できます。
アニーを心境を利用し、チャーリーの交霊会を行わせたのもジョーンです。
この交霊会がきっかけでペイモンを召喚する準備を行わせることに成功します。
ネタバレ⑦:裸の信者
終盤で現れる謎の裸の男女、その正体はペイモン信者です。
どうやら衣服は魔法的なエネルギーの流れを身体に通すときに妨げになるようで、生まれたままの姿(すなわち裸)は最高のスタイルのようなんです。
つまりペイモン信者にとって、ペイモンを迎えるときの理想の姿が裸なのです。
ネタバレ⑧:部屋の壁に書かれた不気味な文字
チャーリーの部屋の壁には小さく不気味な文字が書かれています。
これはペイモンを召喚するための呪文です。
チャーリーの祖母エレンがこっそり書いていたものかと思われます。
死者=地獄にいるペイモン、ということなんでしょうね。
いずれにしても孫であるチャーリーの部屋にこんな不気味な言葉を残すなんて・・・
ネタバレ⑨:謎の光
本作には何度か謎の光が登場します。
エレンの葬儀をしている教会、学校内、ピーター死亡時などに現れます。
これはペイモンとグラハム家を結ぶ一種のエネルギーのようなものかと思われます。
その証拠にラストでピーターが死亡したとき、光がピーターの身体の中に入っていきましたよね?
つまり謎の光はペイモンが発しているものと推測できます。
ネタバレ⑩:ネックレスの紋章
これはペイモンの紋章です。
ペイモン信者の証であると同時に、ペイモンに忠誠を尽くす悪魔的思想の持ち主でもある証拠でもあり、生前のエレンが身に付けていました。
他の信者が身につけていないところから、信者の長であるエレンだけに認められた紋章なのだと思われます。
ネタバレ⑪:ペイモン召喚の儀式
出典:IMDb
ペイモンを召喚するにはいくつか条件があります。
①グラハム家の男性が成人近くまで成長する
②交霊会でペイモンを召喚する
③ピーターに呪文をかけ、肉体に宿る魂を弱らせる
④ピーターを殺し、ペイモンの魂を憑依させる
【①】アニーの兄チャールズが16歳のときにペイモンを憑依させられそうになったことから推測できます。
おそらく産まれたばかりの赤ん坊ではペイモンを憑依できないのでしょう。
【②】は事故で亡くなったチャーリーを呼び出そうとしましたが、結果としてチャーリーの肉体から解放されたペイモンを再び召喚してしまう儀式になってしまいます。
【③】ペイモン信者であるジョーンがピーターに対して、「お前に呪文をかける。肉体から出ていけ!」と呪文をかけました。
これによりその後ピーターは、学校の授業中に突然机に激しく頭を打ちつけ、徐々に正気と魂を失っていきます。
【④】本作ラスト、別人へと豹変し自らの首を切り落とそうとしている母アニー、そして裸の信者に恐怖を抱いたピーターは自宅2階の窓から飛び降り死亡してしまいます。
するとピーターの身体から黒い魂が抜け出し、そこに謎の光が現れピーターの身体の中に入っていきます。
これがペイモンの魂であり、ペイモン憑依の儀式が完成した瞬間です。
ネタバレ⑫:二つの首なし死体
ペイモンの像に向かって祈りを捧げる二つの首なし死体。
これはピーターの祖母エレン、母アニーです。
エレンは墓地に埋葬されましたがペイモン信者に掘り起こされ、ピーターの自宅屋根裏に保管され、アニーは自らの首を糸ノコで切り落としました。
首を切り落とす理由は、ペイモンに差し出すためだと思われます。
グラハム家の女性は首をペイモンに差し出し、男性はペイモンを憑依させる、つまり全てをペイモンに捧げる人生を歩まなくてはならない運命なのです。
映画『ヘレディタリー/継承』の感想
久しぶりにトラウマになる映画を観てしまいました。
訳もわからずに家族が崩壊していく姿を観るのは、とても心苦しいものがあります。
というのも、映画ラストまでペイモンによる憑依ってのが具体的には描かれていないんですよね。
もちろんペイモンの憑依を匂わせるもの、例えばチャーリーの事故、交霊会、ピーターの変化などはあるのですが、観ている側からすると不確定なことばかりなんです。
だからこそ色々と想像してしまい、より一層恐怖が膨れ上がってしまうのだと思います。
そして終盤に向けて怒涛の展開となり、一気に終幕を迎える・・・もう脱帽ですよ!
普段ホラー映画観てもトラウマになるってことはないんですが、今回はダメでしたね。
想像していないところから強烈なストレートパンチをもらったような感覚です。
まさかペイモンの継承を表している映画とは思っていなかったので、終盤の怒涛の展開にはしてやられました。
ラストまで観ると今まで不確定だった点と点が繋がって線になるんですよね。
・なぜチャーリーは死んだのか?
・なぜエレンの墓が掘り出されたのか?
・なぜジョーンは親切にしてくれるのか?
・なぜピーターの周囲で不可解なことが起こるのか?
このように『なぜ?』と思う疑問点が解明されてくる爽快感は格別です!
そして本作を語る上で欠かせないのが悪魔の存在、つまりペイモンです。
ペイモンはグラハム家の男性にのみ憑依し、この世に君臨し続けてきました。
おそらくグラハム家の先祖がペイモンと何かしらの契約を交わしているのでしょう。
ペイモンと契約を交わすと、『あらゆる知識を与えてくれる』、『地位を与え、人々を操る力を与えてくれる』、『従順な使い魔を与えてくれる』、このような力を与えてくれるとされています。
おそらくペイモン信者はこのような力を使って、代々人々を操り甘い汁を吸ってきたのだと思われます。
しかしグラハム家の人間が何か強大な力を持っているかのような描写は一切ありません、強いて言えば祖母エレンがペイモン信者にとってカリスマ的存在だったということでしょうか。
冷静に考えると本作ラストでペイモンが完全に憑依したピーターを除き、グラハム家で完全にペイモンが憑依している人間って出てこないんですよね。
もしかしたらエレンの父親とかがペイモンに憑依されていたのかもしれませんが、それは本作中ではわかりません。
つまりペイモンが力の本領を発揮するのは、本作ラストでピーターに憑依した後、すなわちエンドロール後の世界ということになります。
残念ながら『ヘレディタリー2』の発表はありませんので、その後のペイモンの活躍は私たちが妄想するしかない状況です。
しかしペイモンが人々に与える力を見る限りは、きっと恐ろしい出来事が世界に起こるのだと推測出来ます。
まとめ
家族の崩壊を描く映画かと思いきや、まさかのペイモン継承がテーマの映画です。
もちろん家族の崩壊も描かれているのですが、あくまでメインはペイモンの継承であり、全ての伏線はペイモンを継承するためだけに張り巡らされています。
また継承主であるピーターが一切の自覚なく行動しているのが本当に恐ろしいですよね・・・まさに自分の知らないところで世界が動かされている感覚です。
トラウマレベルのシーンもかなり登場します。
個人的には「チャーリーの事故」と「アニーの首切り自殺」がトラウマですね・・・観賞後の夜は眠れないくらいでした。
間違いなくトップレベルの怖さを誇る映画ですが、綿密に練られたストーリーと伏線には感動すら覚えます♪
その他にもアリ・アスター監督の代表作として『ミッド・サマー』があります。
こちらも本作同様にかなりトラウマになる映画ですが、本当に面白いのでオススメです。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。