こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『ミッドサマー』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『ミッドサマー』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『ミッドサマー』が好きになると思いますよ♪
映画『ミッドサマー』のあらすじ
不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。
彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加。
太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えたが・・・
・胸糞だらけな儀式のオンパレード
・明るい太陽の下に隠された狂気
・信仰の違いによる理解できない異文化
・衝撃のラストは全ての観客を憂鬱な気分にさせる
長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作品目です。
ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じており、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが共演しています。
明るい太陽の下で巻き起こる惨劇を描いており、前作『ヘレディタリー』に匹敵する恐怖を体験させてくれます。
とても怖くて面白い映画なのですが、かなり伏線や謎が張り巡らされていますので、1回観ただけだと頭の中が「?」になってしまうかもしれません。
当ブログでは、『ミッドサマー 』の伏線や謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のモヤモヤを少しでも晴らすことが出来たら嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『ミッドサマー』のネタバレ一覧
ネタバレ①:映画冒頭のタペストリー
映画冒頭に登場するタペストリー、最初はよくわかりませんでしたが映画を観終わった後でなら意味がわかりますよね。
実はこのタペストリーを良く見ると、映画の内容と登場人物たちの運命が描かれていることがわかります。
・ダニーと映画冒頭で死んだ家族と死神
・傷ついたダニーと慰めるクリスチャン、それを見つめるペレ
・ペレに連れられてスウェーデンに向かうダニー達
・ホルガに迎えられるゲスト達
・メイクイーンを決めるダンスシーン
まさか映画冒頭から壮大なネタバレをかましてくるとは想像していませんでした。
ネタバレ②:ラブストーリーのタペストリー
不気味なタペストリーであると同時に、映画の肝ともなるのがラブストーリーのタペストリーです。
内容は「青年に恋する少女が自らの隠毛を食事に混ぜ、その食事を食べた男性と結ばれる」、というものです。
これは後に「性の儀式」で結ばれるクリスチャンと赤毛の少女マヤの運命を表現しています。
このようなちょっとしたワンシーンにも映画のネタバレが含まれているのは、『ミッドサマー』のすごいところです。
ネタバレ③:アッテストゥパンとは
映画の中でも群を抜いて不気味で不快な気分になる儀式、それが「アッテストゥパン」です。
意味はスウェーデン語で「崖」や「絶壁」を意味する言葉で、映画の中では72歳を迎えた老人2人が自ら崖から飛び降り命を絶つ儀式として描かれています。
飛び降りた先には巨大な岩があり、その岩に顔面から飛び降りれば即死なのですが少しでも外れると即死できず苦しむことになります。
そうすると老人の家族が大きな木槌を持ってきて、老人の顔面をかち割るわけです。
しかし本人達には悪気はなく、命のサイクルを次に繋げる儀式という認識なのです。
このあたりから映画の雲行きが怪しくなってきます。
ネタバレ④:森に隠された顔
これは戦慄が走る演出ですよね。
画面中央の森を良く見ると人の顔が見えませんか?しかも口と思われし場所からチューブが伸びているように見えます。
これは”映画冒頭でダニーの妹テリーが起こした排気ガス自殺”を表現しています。
華やかなシーンにトラウマ的な自殺シーンを盛り込むとは・・・狂気の沙汰ですね!(ホメ言葉)
ネタバレ⑤:熊の意味
出典:IMDb
映画ラストで熊の皮を着せられ、生きたまま炎に包まれたクリスチャン。
北欧神話で熊は重要なシンボルであり、崇拝対象であったり戦士の力を増幅させるものと考えられているそうです。
また熊は力強さを象徴する存在でもあり、「性の儀式」で子孫繁栄の役割を果たしたクリスチャンを力強い熊と結びつけたのだと思います。
ネタバレ⑥:血のワシ
出典:IMDb
「血のワシ」とは、「犠牲者をうつ伏せに寝かせ、刃物で脊髄から肋骨を切り取り、生きたまま肺を身体の外に引っ張り出し翼のように広げる」という非常に残虐で非道な処刑方法です。
映画ではイギリス人のサイモンが「血のワシ」の餌食となりました。
そうなんです!サイモン生きているんですよ!微かにですが身体の外にある肺が動いていましたから・・・
果たして意識があるのか定かではありませんが、どうせなら意識ない方が良いですよね・・・こんな状態で意識あるとは正気じゃいられません!
ネタバレ⑦:愚か者の皮剥ぎ
出典:IMDb
先祖の魂が宿る神聖な木を立ちションで汚してしまったマーク。
途中から女の子と一緒に消えてしまいましたよね?
と思ったら、聖書ルビ・ラダーを盗撮していたジョシュの元に突然と現れました。
そうなんです!なんか顔がズレているんですよね。
実はマークは既に殺されており、顔面の皮を剥がされているんです。
映画の中でホルガの若者が踊って遊んでいるシーンがあり、その遊びの名前が「愚か者の皮剥ぎ(スキン・ザ・フール)」でした。
神聖な木を知らなかったとはいえ平気に汚すマークのような愚か者は、生きたまま顔面の皮を剥がされ殺されてしまっただと思います。
ネタバレ⑧:数字の「9」
映画で度々登場する数字の「9」。
少なくとも次のシーンに数字の「9」が登場します。
・9日間のフェスティバル
・生贄の人数は9人
・72歳(7+2=9)になると儀式で投身自殺
・18歳までは少年、36歳までは青年、54歳までは中年、72歳までは老人
→全て「9」の倍数
・90年に一度の儀式
・映画タイトル「Midsommar」が9つのアルファベットから成立
これには北欧神話が深く関係しています。
というのも、北欧神話には「9つの世界」が存在していると言われています。
祭典の舞台はスウェーデン、つまり北欧ですので北欧神話の世界観が深く関係しているのだと思われます。
ネタバレ⑨:ペレの目的
ダニー達を悲劇の祭りへ導いたペレ、そんな彼の目的はただ一つ、ダニー達を祭典の生贄に捧げるためです。
祭りには「9人の生贄」が必要であり、そのうちの4人を外の世界の人間にする必要があります。
そのためペレはダニー達を祭りへと誘ったわけです。
おそらくダニーに好意を寄せているのだと思いますし、逆に好意を寄せているからこそダニーは死なずに済んだのかと思います。
ちなみにペレの両親は「炎に包まれて死んだ」ということですが、これは「9人の生贄」を捧げる最後の儀式のことを指しています。
つまりペレの両親は過去に「9人の生贄」に選ばれ、小屋の中で炎に包まれて死んだわけです。
ネタバレ⑩:聖典ルビ・ラダーとは?
ホルガの人々にとって生きる指針であり、何よりも大切にしているのが聖書ルビ・ラダーです。
その内容を書いているのが俗世との繋がりがなく汚れがない、近親相姦の末に誕生し障害を抱えているルビンと呼ばれる存在です。
肝心の内容は・・・よくわからないですね笑。というのも聖書の内容がほとんど塗りつぶされている落書きなんです。
おそらくホルガの司祭でないと読み解けない内容になっているのでしょう。
外の持ち出すのは論外ですが、写真を撮ることもNGです。
ネタバレ⑪:おぞましい性の儀式
村の女性たちが見ている目の前でクリスチャンと赤毛の少女マヤが交わす「性の儀式」、かなり衝撃的なシーンですよね。
この儀式の意味は単純で「外の世界から種を持ち込むことにより血筋を絶やさない」ということです。
どうしても村人だけの血筋となってしまうと近親相姦となり、ルビンのような障害を抱えた子供だらけになってしまいます。
そのため外の世界から種を持ち込む必要があり、その標的になったのがクリスチャンです。
クリスチャンとマヤの行為中に村の女性たちが合いの手のように喘ぎ声を出しているのも不気味・・・これも確実にクリスチャンを興奮させ種を手に入れるための儀式なのでしょう。
その儀式を覗いてしまったダニーは悲壮感に暮れて絶望の雄叫びをあげてしまうのですが、それを周囲の女性が同調するかのように声をあげるのが不気味ったらありゃしない!
ダニーのことを慰めようとしているのか、バカにしているのか、これも含めて儀式なのか・・・何がなんだかわからなくなりますよね。
ネタバレ⑫:ミッドサマーとは?
出典:IMDb
映画のタイトルにもなっているミッドサマーとは、実際にスウェーデンで6月下旬に行われる夏至をお祝いする伝統的なお祭りです。
ミッドサマーの象徴として有名なのが、映画にも登場するメイポール。
そして季節の草花で飾り付けたメイポールの周りでダンスをします。
その際にミッドソンマルクランスと呼ばれる美しい花の冠を頭に被って踊るのが伝統です。
ちなみにミッドサマーはスウェーデンだけで行われるものではなく、ノルウェーやデンマーク、フィンランド、ドイツなどでも行われます。
ネタバレ⑬:メイ・クイーン(5月の女王)とは
映画終盤のダンスコンペティションで最後の1人になるまで躍りきったダニーは、なんと祭典の主役であるメイ・クイーンに選ばれます。
メイ・クイーンとは5月1日の祝日「メーデー(May Day)」の日に、メイ・クイーンに選ばれた女性がパレードの先頭を歩いたり、若さと春を祝う「メイポール・ダンス」の開始スピーチを行う、つまり祭典の主役となる女性のことです。
しかし実際、スウェーデンのミッドサマーは6月に行うのでメイ・クイーン(5月の女王)は存在しないようです。
あくまで映画のために作られた架空のメイ・クイーンであり、映画はスウェーデンのミッドサマーに他国の祝祭と伝統を組み合わせたものとなります。
ネタバレ⑭:ダニーの笑顔
出典:IMDb
映画ラストで燃え盛る小屋を見つめながらダニーが微笑む不気味なシーン。
小屋ではかつての友人や恋人であるクリスチャンが燃えているのですが、なぜダニーは笑顔を浮かべたのか。
おそらく次のような理由かと思います。
①自分を理解してくれず裏切ったクリスチャンの死に対する喜び
②ダニー自体が狂ってしまい、ホルガの慣習に染まってしまった
普通に考えると①が理由だと思いますがただ単純過ぎですよね?
もちろんクリスチャンはクソ野郎なんですが、それ以外の人物、例えばジョシュやコニー、サイモンも燃えていますからね。
そう考えると②が理由だと思うんです。
つまりダニーは狂ってしまったわけです。
愛する家族の死、度重なる凄惨な儀式、恋人であるクリスチャンの裏切り、これらが重なり合いダニーの精神は限界を迎え、ホルガの慣習に染まり真のメイクイーンになってしまったのだと思います。
ネタバレ⑮:9人の生贄
出典:IMDb
今回描かれている祭りの目的は9人の生贄を神に捧げることであり、そのためにペレがクリスチャンたちを連れてきました。
ただ9人の内訳が少しわかりにくいですよね?
①クリスチャン(アメリカ人)
→メイクイーンとなったダニーに選ばれ、熊の毛皮を縫い付けられ生きたまま火葬される
②ジョシュ(アメリカ人)
→聖典ルビ・ラダーを撮影しているところを見つかり殺害される
③マーク(アメリカ人)
→ホルガの先祖の霊が宿る神木に立ちションしてしまい、皮を剥がされ殺害される
④コニー(イギリス人)
→生きたまま重石を付けられ池に投げ捨てられ溺死
⑤サイモン(イギリス人)
→生きたまま背中を解体される「血のワシ」により殺害される
⑥老人・男(ホルガ人)
→72歳を迎えたため「アッテストゥパン」の儀式で投身自殺
⑦老人・女(ホルガ人)
→72歳を迎えたため「アッテストゥパン」の儀式で投身自殺
⑧ウルフ(ホルガ人)
→マークの皮を被ってジョシュを殺害。生贄には自ら立候補
⑨イングマール(ホルガ人)
→コニーとサイモンを連れてきた張本人。生贄には自ら立候補
外部からの生贄5人、内部からの生贄4人、計9人の生贄となっています。
おそらくですが、ウルフはジョシュを殺害、イングマールはコニーとサイモンを殺害している可能性が高く、外部からの「新しい血」を殺害した本人が生贄に立候補する、という決まりがあるのかもしれませんね。
もしくはペレはダニーに好意を寄せており、おそらく妻にするのでしょう。
ダニーはメイクイーンですので、この先もホルガには必要な存在です。
そんな必要な存在であるダニーの夫となるペレを生贄にするわけにはいかないのだと思います。
ネタバレ⑯:左右対称の恐怖
出典:IMDb
普通は左右対象だと美しいですよね?しかし『ミッドサマー』の世界観ではただただ恐ろしいものになります。
というのも自然界には左右対象ってあまりないと思うんです。
どちらかというと左右対象って人工的な意味合いが強いと思います。
『ミッドサマー』では人の手で意図的に作られた儀式が沢山あり、ホルガの人々はなんの悪意もなく儀式を実行しています。
儀式に入る前に左右対象で席に着き食事を行う、これこそがこの後待ち受ける恐怖の儀式の前触れなのです。
そのため左右対象の場面が出てきたら儀式前、もしくは儀式の最中ということになります。
ネタバレ⑰:生贄部屋のルーン文字
映画ラストで描かれる生贄の儀式、その舞台となる神殿に描かれている文字は古代ルーン文字です。
この古代ルーン文字は「Gar」と書いており、意味は「槍」という意味です。
これは北欧神話の主神であるオーディンが持つ槍「グングニル」を表していると思われます。
オーディンは叡智の神でもあるため、ホルガの人々は生贄を捧げることで少しでもオーディンに近づき、人智を超えた叡智を得ようとしているのかもしれません。
映画『ミッドサマー』の感想
白夜(夜も太陽が沈まない)の中で行われる凄惨な儀式を描く映画『ミッドサマー』は、非常に薄気味悪い気分になる素晴らしいホラー映画です。
何が薄気味悪いってホルガの人々にとって凄惨な儀式は日常であり悪気は一切ないということ、日常であるが故に外の世界から来たダニー達や観客は「一体何を観せられているんだ?」という気持ちになるわけです。
では何故ホルガの人々にとって凄惨な儀式は日常なんでしょうか?
それは信仰による考えの違いです。
ホルガの人々にとって信仰の対象は「太陽・水・大地」です。
つまり自然界そのものが信仰の対象であり神であるわけです。
人間って不思議なもので信仰や神のためになら残酷になれるんですよね、特に中世に起きたキリスト教による魔女狩りが良い例です。
しかも本人達は「信仰のため」という大義名分があるので罪悪感もなく、もはや日常と化してしまっているわけです。
映画『ミッドサマー』も同様でホルガの人々は何も悪いことをしている意識はないんですよね、只々日常を過ごしているのと同じ感覚なんです。
しかしダニー達や観客からすると異常にしか見えないですよね!だって儀式の生贄のためにバンバン人を殺していくわけですからね。
しかも不気味なのが生贄となる人を殺しているシーンがほとんどないところ!具体的に描かれたのってアッテストゥパンによる投身自殺ぐらいです。
まぁ黒幕はペレですよね、ダニー達をホルガの祭典の生贄にするべく連れてきましたからね。
おそらく大学生活の中で生贄にするべき人間を選別しており、ダニー達はペレのお眼鏡にかなってしまったわけです。
もしかして大学に来たこと自体が生贄を探すためだったのかもしれないですね・・・
そんなペレも異常ですが、ホルガの人々は更に異常なのだから手に負えません。
絶対にこんな村には行きたくありませんね!
まとめ
かなり憂鬱な気分になる映画です。
白夜(夜も太陽が沈まない)の中で行われる理解不能な儀式の数々に観客は度肝を抜かれることでしょう。
監督のアリ・アスターですが、前作の『ヘレディタリー/継承』も同じくらい憂鬱な気分になる映画です。
理解不能な恐怖に遭遇した時、人間はどうなってしまうのか?こんなに素晴らしく憂鬱な映画を作り上げることが出来るアリ・アスター監督は天才だと思います!
どちらの映画もホラーとアートが合わさったような世界観を楽しめることをお約束します♪
また『ミッドサマー』や『ヘレディタリー/継承』の製作会社であるA24の最新作『X エックス』、『ラム』もかなり怖くて面白いです。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。