こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『シャドウ・イン・クラウド』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『シャドウ・イン・クラウド』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『シャドウ・イン・クラウド』が好きになると思いますよ♪
映画『シャドウ・イン・クラウド』のあらすじ
第二次世界大戦中の1943年。空軍の女性大尉モード・ギャレットが、フールズ・エランド号と命名されたB-17爆撃機に乗り込んだ。上官からの密命を帯びたモードの任務は、極秘の最高機密をニュージーランドからサモアへ運ぶこと。オール男性の乗組員たちから卑猥な言葉を浴びせられながらも、ひたむきにミッションを遂行しようとするモードだったが、銃座の窓から機の右翼にまとわりつく大空の魔物グレムリンを目撃。やがてグレムリンに機器を破壊され、日本軍のゼロ戦の奇襲も受けたフールズ・エランド号は、制御不能のパニックに陥っていく。はたしてモードは、この絶体絶命の危機を生き抜くことができるのか。そしてある重大な秘密を隠し持つ彼女が、この機に乗った本当の理由とは……。
・密室×日本軍×グレムリンが登場するパニックアクション映画
・上映時間が83分と短く、サクッと観れる
・主人公モードの無双っぷりがハンパない
・爽快なラストシーンは、一見の価値あり
クロエ・グレース・モレッツが主演を務め、第2次世界大戦で極秘任務に挑む女性パイロットの戦いを描いたサスペンスアクション映画です。
2020年・第45回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞したことで話題になりました。
当ブログでは、『シャドウ・イン・クラウド』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『シャドウ・イン・クラウド』のネタバレ一覧
ネタバレ①:タイトルの意味
本作のタイトルである『シャドウ・イン・クラウド(shadow in cloud)』の意味は、”雲の中の影”です。
この「影」には、2つ意味があります。
①日本軍の戦闘機の影
②グレムリンの影
どちらの影も本作を象徴するものであると同時に、恐怖や脅威の象徴でもあります。
そんな2つの影に誰よりも勇敢に立ち向かっていくモードの姿は、感動を覚えると同時に勇気さえも与えてくれます。
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ネタバレ②:女性差別をぶっ壊す
本作は女性であるモードに対し、男性乗組員からセクシャルハラスメント満載の卑猥な言葉や差別的発言を浴びせられます。
これは、”男性至上主義を表しており、男性社会の象徴”とも言えます。
しかもモードが閉じ込められている場所は、狭く危険で居心地の悪い銃座ですからね。
モードが受けたストレスは、想像するだけでも壮絶です。
しかし本作は、そんな昭和的な考えである男性至上主義や女性差別をぶっ壊しているんです。
その象徴とも言えるのが、”モードの圧倒的な強さ”です。
男たちが日本軍の戦闘機の銃弾やグレムリンの襲撃で死んでいくなか、モードは類稀なる身体能力と覚悟、そして勇敢さで全ての危機を自らの力で乗り越えていきます。
これはモードの”母親としての強さ”もありますが、”女性としての強さ”も関係しています。
そして何と言ってもラストシーンで、戦闘機に描かれていた「バカのお使い」という名前の卑猥な女性イラストが炎と共に燃えて崩れていく様は、男性至上主義社会の崩壊を表しています。
「いつまでも男性至上主義ではない!」、「女性差別なんてぶっ壊してやる!」、そんなモードの叫ぶ声が聞こえてきそうな迫力です。
ネタバレ③:カバンの中身
出典:IMDb
モードが上司である少佐からの極秘ミッションとして運搬していたカバン。
このカバンの中身は、”生きた赤ん坊”です。
この赤ん坊、ウォルターとモードの子供なんですよね。
というのもモードは結婚しているのですが、夫は大酒飲みで暴力も振るう最悪な男なんです。
そのため夫から逃げてきたモードなのですが、ウォルターと出会い恋に落ちます。
そして結果的に産まれたのが、カバンの中にいる赤ん坊です。
というのも、モードは夫と離婚しておりませんので、ウォルターとの関係は不倫です。
その事実に気がついた夫がモードの元を訪ね、モードは殺されそうになってしまうわけですね。
しかも赤ん坊の父親であるウォルターは、モードに夫がいた事実を知らなかったため尻込みし、モードの前から姿を消してしまうのです。
モードは、「暴力夫の家に連れ戻され、死ぬのは嫌」、「子供を孤児にしたくない」、「ウォルターの想いがわからず、捨てられたくない」などの気持ちから軍服と少佐の命令が書いてある便箋を盗み、カバンに入れた赤ん坊をサモアまで運んで逃げようとしていたのです。
しかしカバンがグレムリンに奪われそうになったため、クロエは母親として反撃に出ます。
ネタバレ④:グレムリンが象徴するもの
出典:IMDb
本作に登場するクリーチャーであるグレムリンですが、元々は”イギリスを発祥とする妖精”です。
そしてグレムリンの存在が多く語られるようになったのは、第二次世界大戦中、つまり本作の時代からです。
というのも、当時は原因不明の飛行トラブルや機器不良は、「グレムリンのせい」として語られ、噂として広まっていたんです。
グレムリンが計器を狂わせたり、エンジンを壊したり、燃料を飲んでしまう等の目撃情報が語られていました。
本作の冒頭シーンでも、グレムリンの存在を面白おかしくアニメーションで描いていましたよね。
しかし実際のところは、整備士たちが責任を回避するためにグレムリンを身代わりにしている、極度の緊張状態におかれたパイロットの幻覚や妄想ではないか、と言われています。
そんなグレムリンですが、本作ではおぞましい姿をしたクリーチャーとして描かれており、しかも何故か執拗にカバンの中にいる赤ん坊を狙ってきます。
グレムリンが赤ん坊を狙う理由は、”赤ん坊を食べたいorモードへの嫌がらせ”のどちらかでしょう。
単純に考えれば、クリーチャーであるグレムリンが赤ん坊を食べようとしている可能性もあると思いますが、個人的には「モードへの嫌がらせ」だと考えています。
というのも本作は、”男性至上主義による女性差別”がテーマになっているんですよね。
そう考えると、”おぞましい姿をしたクリーチャーであるグレムリン=女性差別の象徴”とも考えられるわけです。
本作に登場する男性たちは、男性至上主義を振りかざし、女性であるモードを見下していました。
グレムリンも同様に女性であるモードを見下し、面白半分でモードの大切なもの=赤ん坊を連れ去るという嫌がらせをしていたのです。
ネタバレ⑤:男性至上主義の弱さ
出典:IMDb
本作に登場する男性たちは、男性至上主義を振りかざし、女性であるモードを見下している言動ばかりをとっています。
ウォルターは一見紳士的に見えますが、「モードに夫がいると知ると姿を消す」、「モードが女性差別を受けても庇わない」、「戦いをモードばかりに託す」など肝心なところで責任をモードに押し付けています。
これは、”家庭のことには一切関わらない昭和的な男性像=男性至上主義を象徴”しています。
そんな男性たちですが、飛行機が故障する、日本軍の戦闘機が襲ってくる、グレムリンが襲ってくる、などの緊急事態に上手く対処出来ず、ただ慌てふためくだけです。
しかしモードは冷静に対処し、男たちに指示を出したり、挙げ句の果てには自らの手で日本軍の戦闘機を撃ち落としたり、グレムリンを殺してしまうのです。
つまり”男たちは偉ぶっているだけの役立たず=男性の弱さ”を表しています。
ネタバレ⑥:モードvsグレムリン
本作最大の見所といえば、終盤シーンで描かれている”モードvsグレムリンの一騎打ち”でしょう。
愛する我が子を守るため、戦闘マシーンと化したモードが一方的にグレムリンを痛めつけるシーンは、まさに痛快劇です。
これは”今まで抑圧されてきた女性が女性差別を乗り越え、女性差別をぶっ壊した”ということです。
しかし本来ならば率先して戦うべきはずの男性たちは、そんなモードの勇姿を遠巻きで眺めているだけ・・・肝心のウォルターでさえ何もしていませんからね。
しかもウォルターは、グレムリンに赤ん坊の入ったカバンを奪われそうになり、良い所が何一つありません。
このシーンでも”男性=無能”ということを皮肉を込めて表しています。
ネタバレ⑦:ラストシーンの目線
出典:IMDb
ラストシーンのモードの目線、気になった人もいるんじゃないでしょうか?
というのも、モードがカメラ目線で見つめ続けてくるんですよね。
これは”カメラ越しの観客に向かって目線を送り、あるメッセージを送っている”のです。
メッセージの意味は、”女性差別をぶっ壊したけど、何か文句でもあるの?”だと考えられます。
というのも私たち観客も無意識に心の中で、「戦闘機やグレムリンを倒すのは男性がやるべき」、「男性が女性や子供を守るべき」、「グレムリンとはウォルターが戦うべきだろ」など”女性より男性のほうが強い”という女性差別をしてしまっているのです。
つまり”私たち観客も本作の男性たちと大差はない”ということになります。
そんな無意識ながらも女性差別の思想を持っている観客に対し、モードは「何か文句でもあるの?」とメッセージを送っているのです。
映画『シャドウ・イン・クラウド』の感想
グレムリンが登場するので、「モンスターパニック映画かな?」と思いきや、まさかのモード無双という痛快アクション映画でした。
上映時間も83分と短いため、サクッと観ることが出来るのもポイントです。
とはいえ、映画の大部分が銃座に閉じ込められたモードの一人芝居になるので、若干退屈します。
しかしそんな退屈もモードが覚醒し、日本軍の戦闘機とグレムリンをフルボッコにするシーンで帳消しです。
特にラストシーンで描かれているグレムリンとの一騎打ちなんて、めっちゃテンション上がりますからね。
また単なるアクション映画要素だけではなく、男性至上主義に対する皮肉も描いており、なかなか社会風刺が効いた映画にも仕上がっています。
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まとめ
上映時間が83分と短く、またストーリーも単純なため、難しいことを考えずに観ることが出来る映画です。
男性至上主義を描いているため、もしかしたら女性の方は嫌がるかもしれませんが、モードが見事に男性至上主義を崩壊させ、女性差別をぶっ壊しているのでラストシーンがとても爽快に仕上がっています。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。