こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『オオカミの家』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『オオカミの家』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『オオカミの家』が好きになると思いますよ♪
映画『オオカミの家』のあらすじ
美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。
“助け合って幸せに”をモットーとするその集落に、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていた。
ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、きびしい罰に耐えられず集落から脱走してしまう。
逃げ込んだ一軒家で出会った2匹の子ブタに「ペドロ」「アナ」と名付け、世話をすることにしたマリア。
だが、安心したのも束の間、森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめる。
怯えるマリアに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に形を変え、家は悪夢のような禍々しい世界と化していく……。
・かつてない映像体験と洗脳体験
・ストーリーはないに等しい
・これを作った人は変態(ほめ言葉)
・体調が万全の状態で観ることを本気で勧める
クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの二人組による初の長編映画『オオカミの家』は、ピノチェト軍事政権下のチリに実在したコミューン【コロニア・ディグニダ】にインスパイアされた “ホラー・フェアリーテイル” アニメーションです。
チリ南部のある施設から逃走し、森の中の一軒家で二匹の子ブタと出会った娘マリアの身に起きる悪夢のような出来事を描いています。
レオン&コシーニャが監督のほかに脚本、美術、撮影、アニメーションなどを務めており、撮影場所は、チリ国立美術館やサンティアゴ現代美術館のほか、オランダ、ドイツ、メキシコ、アルゼンチンにある10カ所以上の美術館やギャラリーです。
実寸大の部屋のセットを組み、ミニチュアではない等身大の人形や絵画をミックスして制作、制作過程や制作途中の映像をエキシビションの一環として観客に公開するという手法で映画を完成させるという、驚きの手法をとっております。
企画段階を含めると完成までに5年の歳月を費やしており、ワールドプレミアとなった第68回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞を、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞を受賞するなど世界各国で数々の賞を受賞している話題作です。
全編カメラが止まることなく、最後までワンシーン・ワンカットで空間が変容し続ける“異形”のストップモーション・アニメーションであり、その特異な才能の素晴らしさは、『ミッドサマー』で知られるアリ・アスターが一晩に何度も鑑賞し、自ら二人にコンタクトをとったというエピソードがあるほどです。
2人と意気投合したアスターは、今回同時上映となる短編『骨』の製作総指揮に名乗りを上げ、さらに自身の最新作『Beau is Afraid』内の12分にも及ぶというアニメ・パートも彼らに依頼しています。
その他にも、トム・ヨークの新バンドThe SmileやPJ ハーヴェイのミュージックビデオを監督したことも話題になっており、2021年には、アメリカのゲーム・エンタメ情報サイト「IGN」の歴代アニメーション映画ベスト10に選出し、同年Varietyの「観るべき10人のアニメーター」にも選出されています。
当ブログでは、『オオカミの家』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『オオカミの家』のネタバレ一覧
ネタバレ①:コロニア・ディグニダとは?
本作のモデルになっているコロニア・ディグニダとは、”元ナチス党員で、アドルフ・ヒトラーを崇拝し、子どもに対する性的虐待でドイツを追われたキリスト教バプテスト派の指導者、カルト教団のパウル・シェーファーが設立した入植地の旧名称”のことです。
チリ共和国マウレ州リナレス県パラルにあり、現在名称は、ビジャ・バビエラと呼ばれています。
そしてコロニア・ディグニダは、「この世の地獄」とも呼ばれているのです。
そんなコロニア・ディグニダの特徴をまとめると、次のとおりです。
① 狂気のカルト団体であり、シェーファー指導下で虐待や拷問が行われた
② 1960年代初頭から40年以上運営され、ドイツ資金で開墾され、キリスト教の教義を掲げる
③ 多くの人が行方不明となる中、拷問や性的虐待が行われ、ドイツ系レストランも営まれた
④ 1970年代から80年代には軍事政権と関わり、兵器製造や拷問の噂が広がった
⑤ 兵器庫や監視施設を有し、アウシュヴィッツ医師メンゲレも関与した
⑥ シェーファーは逃亡と逮捕を繰り返し、性的暴行容疑で起訴された
⑦ 名前を変えてレクレーション施設として存続、ララインが保護し、2018年には人権侵害捜査の責任者となった
⑧ 過去の闇は冷戦下から現在まで政府による保護が続いた
⑨ コロニアの歴史は虐待や拷問、武器製造などの不穏な側面を持つ
他にもたくさんありますが、これだけでもコロニア・ディグニダが「この世の地獄」と呼ばれる所以がわかってきますね。
そんな地獄であるコロニア・ディグニダをモデルにした本作は、私たち観客を狂気の世界へと誘ってくれることでしょう。
ネタバレ②:オオカミの正体
オオカミの正体は色々と考えられますが、”コロニーの人間”という考えが1番しっくりきます。
コロニーとは、マリアが脱走した集落のことであり、そのモデルはコロニア・ディグニダです。
脱走したマリアを追ってきたマリアを追ってきたコロニーの人間、と考えるのが自然です。
しかしオオカミの正体は、他にも考えられます。
それは、”家の中のマリアがオオカミ”ということです。
コロニーを脱走し、見知らぬ家にたどり着いたマリアは、2匹のブタに出会い、それぞれにペドロとアナと名付けて世話をします。
しかしマリアは、2匹を愛するがあまり、洗脳に近い教育を行なってしまいます。
つまり”家の中ではマリアが絶対の存在であり、それはコロニーが作り出したカルト的支配と変わりはない”ということです。
マリアは2匹に「危険なオオカミがいるから、外には決して出てはいけない」と教え込み、また言うことを聞かない犬の絵本を読み聞かせます。
もはやマリアの行為は、洗脳と言っても過言ではないぐらい異常さを醸し出しています。
そんなマリアこそが、本作におけるオオカミなのかもしれません。
ネタバレ③:ブタの正体
ブタの正体は、”コロニーの外で暮らしている人間”です。
コロニーの外で暮らしている人間は、コロニーのことをカルト的集団として捉えており、良い印象は持っておりません。
そんな外部の人間をコロニーは、「我々の真の目的を理解出来ない可哀想な生き物」として捉えていると考えられます。
つまり外部の人間は、”人間ではなく、少し知能を持った可哀想な生き物”ということになります。
そう考えると、2匹のブタが持つ意味がわかってきます。
2匹のブタは、最初は餌を求めるだけの可愛い存在でした。
しかしマリアが2匹にペドロとアナと名付け、そして洗脳を重ねたことにより、異形な人間の姿に変わっていきます。
これは、”マリアの洗脳により、外部の人間がコロニーの思想に染まっていく”ということを表しています。
マリアは2匹を無意識のうちに洗脳していきますが、これはマリアがコロニーの思想に染まってしまっていることを表しているんでしょうね。
しかし最終的には、マリアは2匹に食べられそうになってしまいます。
これは、”洗脳された人間による反逆”を表しており、マリアやコロニーの洗脳が必ずしも上手くいくことはない、という皮肉を表しています。
ネタバレ④:すべてマリアの妄想なのか
本作の大部分は、マリア視点で描かれています。
また映像やストーリーが支離滅裂な狂気の映像であることから、本作は”極限状態が生み出したマリアの妄想”であることが考えられます。
普通に考えるのであれば、2匹のブタが人間の姿に変わることはありませんし、また言葉を発することもあり得ません。
また映像が2Dから3Dのように目まぐるしく変化し、家具なども綺麗な状態で登場します。
そのため”マリアが自分の理想郷を作り出そうとしている様子を映像化している”と考えられます。
また映画が始まる前、いきなり画面が中央にキュッと凝縮していき、観客に不安を与えています。
そのため本作は、”マリアの妄想だけではなく、洗脳されている人々(=観客)が見ている映像”であるとも考えられます。
ネタバレ⑤:狂気の映像
本作の映像は、まさに狂気そのものです。
映像が2Dから3Dのように目まぐるしく変化し、家の内装も次々と変化していきます。
それはまるで”悪夢そのものを追体験しているような感覚”に陥ります。
またそんな狂気を私たち観客は、「そういうものだ」としてごく自然に受け入れてしまいます。
これこそが本作の目的であり、”私たち観客の洗脳が完了した”ということを表していると考えられます。
本作のモデルであり、カルト集団でもあるコロニア・ディグニダも、当事者たちは違和感や恐怖を抱えつつも「そういうものだ」と諦め半分で受け入れていたのかもしれません。
私たち観客も狂気の意味不明な映像を観ながら、「そういうものだ」と受け入れてしまっている時点で、もはや洗脳されているのです。
ネタバレ⑥:短編映画『骨』について
本作の上映前に公開された短編映画『骨』は、まさに呪いのビデオそのものと呼ばれるような代物でした。
『骨』は、”2023年に世界初のストップモーションアニメがチリで発見された、という設定で死者が復活していく過程を描いている”短編映画です。
その映像は、サイレント映画ならではの不気味さとチープさを描いており、観る者を不安にさせる内容に仕上がっています。
実際に『ミッド・サマー』や『へレディタリー/継承』で知られるアリ・アスター監督が惚れ込み、『骨』の製作総指揮に名乗りを上げたほどです。
【ネタバレ】映画『ヘレディタリー/継承』感想と考察【ペイモンの正体と目的】
またアリ・アスター監督は、自身の新作映画『Beau is Afraid』において、アニメパートを本作の監督であるクリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャの2人に依頼しております。
そのことからもいかに本作が注目されているかが伺い知れます。
映画『オオカミの家』の感想
いったい何を見せられているんだ…純粋にそんな気持ちになります。
映像が絵画ような2Dから人形の3Dに変わったかと思いきや、また2Dに戻るといった感じです。
とにかく画面が目まぐるしく変わりまくるので、集中していないと一気に置いていかれます。
ストーリーは非常にわかりにくく、事前にチリに実在したコミューン「コロニア・ディグニダ」をある程度理解していないと、完全に置いてけぼりにされますね。
そのため「コロニア・ディグニダ」を簡単にググって調べておくことをオススメします。
ひたすら理解不能かつ気持ち悪い映像が続き、謎が残り続けるため、人によっては全く面白くないかもしれません。
しかし非常に魅力的な映像、そして考察要素が盛り沢山ですので、好きな人は完璧にハマるはずです。
オオカミやブタの正体については、様々な考察が出来そうです。
この辺りは、もう少し整理してみようと考えています。
まとめ
近年まれにみる衝撃的な映画です。
本当に映像が凄まじく、ただそれだけでも十分に価値があります。
近代映画のようなわかりやすさは一切なく、ひたすら狂気の映像を浴び続ける映画です。
正直な話、疲れている人や寝不足の人は観てはダメです!
確実に寝ることになります笑。
体調が万全の状態で是非ご覧ください。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。