こんにちは。
映画とゲーム、そしてカラオケ大好きなニャンコです。
本日紹介する映画は、2016年に公開され話題になった映画です。
リアルタイムで観てはいなかったのですが、前から興味があったのでこの機会に観てみました。
今思えば、リアルタイムで観ておくべき映画でしたね。
それほどまでに色々と考えさせられる映画です。
タイトルは
わたしは、ダニエル・ブレイク
概要・評価
【上映時間】:100分
【監督】:ケン・ローチ
【制作】:レベッカ・オブライエン
【配信】:Amazonプライム
IMDb 7.9/10.0 Rotten Tomatoes TOMATOMETER 92% オーディエンス 85%
話題作となっただけあってとても評価が高いですね。
それだけ貧困というワードが世界的に影響力を持っているということです。
貧困って思わず目を背けてしまいそうになるワードですが、この映画を通じて少しでも考えるきっかけになってくれるとケン・ローチ監督も嬉しいんじゃないんでしょうか。
1分でわかる! 簡単あらすじ・ここだけポイント
簡単あらすじ
①ダニエルは40年間ひたすら大工仕事をしてきたベテランの職人。
しかし心臓に病を患い、医師から仕事を止められたため、役所から援助を受けようとする。
②しかし複雑な制度が邪魔をし、ダニエルは援助を受けることが出来ない。
同様に些細なことから援助を受けることが出来ないシングルマザーのケイティたちに出会う。
③ケイティたちとダニエルはお互い助け合い、少しずつ絆を深めていく。
④しかしダニエルとケイティたちには貧困という厳しい現実が待ち構えているのであった。
イギリスの社会制度、ひいては世界の貧困問題に一石を投じた話題作。
ここだけポイント
①イギリスの複雑な制度にも負けず、立ち向かうダニエルの姿勢に感動!
②貧困とは?人間としての尊重、威厳とは?
③誰も悪くないのに、貧困で苦しむ人がいる現実を描く。
④映画を観終わった後、複雑な気持ちになること間違いなし。
あらすじ
2016年・第69回カンヌ国際映画祭で、「麦の穂をゆらす風」に続く2度目の最高賞パルムドールを受賞した、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督作品。
イギリスの複雑な制度に振り回され、貧困という現実に直面しながらも助け合って生きる人びとの姿が描かれる。
イギリス北東部ニューカッスルで大工として働くダニエル・ブレイク。
心臓に病を患ったダニエルは、医者から仕事を止められ、国からの援助を受けようとしたが、複雑な制度のため満足な援助を受けることができないでいた。
シングルマザーのケイティと2人の子どもの家族を助けたことから、ケイティの家族と絆を深めていくダニエル。
しかし、そんなダニエルとケイティたちは、厳しい現実によって追い詰められていく。
引用:映画com
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
キャスト
ダニエル・ブレイク:デイブ・ジョーンズ
40年間大工をしてきたベテランだが、心臓に病を患い仕事を止められてしまう。
仕方なく役所へ援助を求めるが、複雑な制度が立ち上がり援助を受けることが出来ない。
同じく役所に門前払いされたケイティたちと親しくなり、共に助け合いながら生きている。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
ケイティ:ヘイリー・スクワイアーズ
イギリスに子供たちと共に引っ越してきたばかりのシングルマザー。
道がわからず役所との約束の時間に遅れてしまったため、満足な援助を受けることが出来なくなってしまい困っている。
その時に優しく声をかけてくれたダニエルと助け合いながら生きている。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
ディラン:ディラン・フィリップ・マキアナン(左側)
ケイティの息子、少し落ち着きがない。
最初はダニエルに戸惑っていたが、徐々に懐き、本当の親子のような存在になる。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
デイジー:ブリアナ・シャン
ケイティの娘、ディランのお姉さん。
イギリスに引っ越してきたことで友達と離れてしまい寂しがっている。
学校でも貧困が原因でイジメられており苦しんでいる。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
感想
ストーリー
てっきり感動ヒューマンドラマだと思っていたら、貧困と社会の残酷さを描いた社会風刺映画でした。
もちろん感動するんですが、映画を観終わった後に何とも言えない気持ちになります。
社会から援助を受けようにも複雑な制度、そしてルールが厳しすぎて援助を受けることが出来ない。
援助を受けることが出来ないから貧困が進み、苦しんでいる人々が沢山いる。
今の日本もそうですよね。
映画序盤に描かれている役所のマニュアル対応はヒドイと思いました。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
イギリスに引っ越してきて道もわからず、約束の時間に遅れてしまったケイティたち。
しかも明日から子供たちの学校が始まるのに、お金がない、だからこそ何としても援助を受けたい。
しかし役所の対応は、「遅刻したので援助は出来ない」、の1点張り!
まあ役所側の事情もわかりますけどね、一度前例作ってしまうと大変なことになりますし。
とはいえ映画を観ていて良い気分にはなりませんでした。
一方主人公であるダニエルは、心臓に病を患ったため医者から仕事を止められています。
そのため役所に援助を求めるのですが、複雑な制度のため中々思うように行きません。
例えば、
①オンラインでのみ申し込み!役所はデジタル化なので!
→パソコンやスマホがない人はどうする?
②本当に働けないのか?就職活動をして証拠を残せ!
→だから医者から仕事を止められているんだろうが!
③不満があるなら申し立てをしろ!ただしオンラインでな!
→パソコンやスマホがない人はどうする?
④就職活動には履歴書が必要!セミナー受けな!
→だから医者から仕事を止められているんだって・・・
ヤバいですよね、何もかも矛盾している。
貧困で苦しんでいる人がパソコンやスマホを持っていると思うんですかね?
就職活動っていうけど、そもそも医者から仕事を止められているのに意味ないと思うんですが?
それでもダニエルは地道に頑張るのです、人としての尊厳を守るためにも!
そんなダニエルの心の支えになったのが、役所で出会ったケイティやその子供たち。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
ケイティたちと支え合い、必死に生きていくダニエル。
果たして無事に援助を受け、人生をリスタート出来るのでしょうか?
ケイティの結末
ダニエルと支え合いながら子供たちを育てているケイティ。
中々援助を受けられず、娘であるデイジーは貧乏であることを理由に学校でイジメられます。
食事もロクにとれないケイティは、ある日事件を起こしてしまいます。
食料品の配給センターにきたケイティ。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
配給センターにはケイティやダニエルと同じような境遇の人たちが列をなしています。
きちんと列に並び、食料品の配給を受けるケイティたち。
子供たちにはジュースやクッキーが配られ、大喜びで食べたり飲んだ理しています。
ケイティも係員と共に必要な食料を受け取っていきます。
野菜、缶詰、米、果物、お菓子など。
そしてパスタソースの缶詰を受け取ったときに事件が起こります。
なんと極限の空腹に耐えかねたケイティは、その場で缶詰を開け中身を食べてしまうのです!
しかしすぐに我にかえり、「なんてことをしてしまったの・・・」のその場で泣き崩れてしまいます。
すぐにダニエルや係員が寄り添いケイティを慰めますが、この時ケイティの心は壊れてしまったんだと思います。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
極限まで追い詰められたケイティは、以前万引きを行ったスーパーの警備員に連絡します。
警備員は以前、「生活が苦しいなら助けになる」と言って連絡先を渡していたのです。
このあたりから嫌な予感はしていたのですが、貧困に耐えきれないケイティは警備員に連絡します。
後日、ケイティは待ち合わせ場所に向かうと、そこには警備員と優しそうな年配女性がいました。
どうやら年配女性はシングルマザーを援助してくれる会の一員のようです。
そう!救われればハッピーエンドだったんですが、この映画はそうはいきません!
ケイティの異変に気がついたダニエルは、ある建物に向かいます。
ノックすると年配の女性が出てきて、部屋の前まで案内します。
そしてお金は部屋の中の女性に直接渡すように言うのです。
そうです!いわゆる売春ですね!
お金もない、仕事もない、能力もない、そんなケイティの弱みにつけ込み警備員と年配の女性はケイティを売春宿に迎え入れたのです。
必死で引き止めるダニエルですが、ケイティは聞く耳を持ちません。
たとえ身体を売ってお金を稼いだとしても、お金はお金であることに間違いはありません。
お金さえあれば子供たちに食事や洋服などを買ってあげられるし、満足な生活を送ることが出来ます。
この日を境にダニエルとケイティは距離を置くことになってしまいました。
ダニエルの結末
ケイティと距離を置くことになってしまったダニエルは、役所の指示どおり就職活動を続けていました、
履歴書を持って、様々な場所で配り、説明をするダニエル。
そしてある日、ダニエルを採用したいという電話がかかってきます。
しかし心臓に病を患っているダニエルは働くことが出来ません。
そのためダニエルは働くことが出来ないことを、採用主に伝えます。
すると採用主は、「なら何故履歴書を渡したんだ!?こっちは時間を割いて君を採用しようと思ったのに!ふざけるな!」と激怒して電話を切ってしまいます。
途方に暮れるダニエル、役所から就職活動をしろと言われたのに、実際就職活動が上手くいっても働くことが出来ない。
もうどうしたら良いのかわからなくなりますね。
ダニエルは再び役所に向かいます、今一度援助をお願いするためです。
しかし役所の返答は変わりません。
もう自分は人間扱いされていない、人間としての尊厳を失いたくない、と思ったダニエルは役所の外壁にスプレーでメッセージを残します。
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
つまり「自分はれっきとした名前のある人間だ!」ってことを訴えているんですね。
そんなダニエルのメッセージに共感する市民たち。
みんな役所に不満が溜まっていたんでしょうね。
もちろんその後は警察に捕まってしまいますが、ダニエルの中で何かが変わりました。
デイジーの助けもありケイティとの距離を戻し、裁判で争うことを決意したダニエル。
きっとここから何かが変わる!、そんな思いで休憩のためダニエルは1人でトイレに向かいます。
そしてそのままトイレの中で1人寂しく心臓の病で亡くなってしまうのです。
もし役所が援助してくれて、心臓に負担をかけなければダニエルはまだ生きていたはずです。
それどころか安静にして心臓が良くなれば、また働きに出ることも出来たはず!
本当に怒りを覚えますよ!
映画ラストはダニエルの葬式で幕を閉じます。
出席しているケイティの子供たちの表情が本当に可哀想・・・
(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
最後にケイティはダニエルの遺書を読み上げます。
「わたしは、ダニエル・ブレイク。人間だ。犬ではない。」
まとめ
映画を観終わった後、なんとも言えない気持ちになりました。
いったいどうすればダニエルやケイティを救うことが出来たのか。
いったい誰が悪いのか、を自問自答しました。
普通に考えれば役所がしっかり仕事をしていれば!と思うんですが、役所だって国が決めたルールを守っているだけですからね。
じゃあ国が悪いのか、ってことになりますが国だって国民の代表が実験を握っているわけで、本当に国が悪いのかどうかなんてわかりません。
つまり誰が悪いのか根本的にはわからない、でも貧困で苦しんでいる人がいる現実という問題にぶち当たるんです。
たまに「貧困なのは本人の努力不足だ!」という意見も耳にしますが、努力で何でも解決出来るんですかね?
もちろん努力は必要ですが、努力って必ずしも報われるとは限らないですよね?
もっと言えば、生まれたときから貧困の中心にいたら、そこから抜け出すのってメッチャ大変だと思うんです。
もしくは突然仕事がなくなってしまうことだってあります。
つまり何が言いたいかというと、貧困は誰でも陥る可能性がある、ということです。
特に今はコロナが蔓延していて、いつ何時仕事がなくなるかわかったもんじゃありません。
そんなとき、私たちはいつだってダニエルやケイティになる可能性があるんです。
そんなとき自分自身に「貧困なのは本人の努力不足だ!」とか言えますか?
たぶん言えないと思うんです。
人と人が助け合い、誰もが幸せになれる世界がくると良いですよね。
それは今を生きている私たちにしか出来ないことです。
みんなで考えていきましょ!
最後まで読んでくれてありがとうございました♪