こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『女神の継承』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『女神の継承』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『女神の継承』が好きになると思いますよ♪
映画『女神の継承』のあらすじ
美しき後継者を襲う不可解な現象の数々…
・過去最高クラスの最恐ホラー映画
・モキュメンタリー式の撮影が臨場感を倍増させる
・倫理観なんて完全無視の残酷描写
・絶望しか残らないラストシーン
「チェイサー」「哭声 コクソン」のナ・ホンジンが原案・製作、ハリウッドリメイクされた「心霊写真」や「愛しのゴースト」を手がけたタイのバンジョン・ピサンタナクーン監督がメガホンをとった、タイ・韓国合作のホラー映画です。
制作を担当したナ・ホンジンが、「哭声 コクソン」の続編として祈祷師の物語を思いつき、その構想がタイの祈祷師をモチーフとした本作へと受け継がれました。
まさに「哭声 コクソン」の別バージョンとも言える映画が本作です。
そのため世界観は「哭声 コクソン」と似ているのですが、恐怖度合いは本作のほうが上だと思います。
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また本作は、モキュメンタリーと呼ばれる「フィクションをドキュメンタリー映像のように見せかけて演出すること表現方法」で撮影されています。
本来であれば、モキュメンタリーは「やらせ映像」なのですが、本作は「やらせ臭」が全くなく、観客はアジアンチック溢れる不気味な世界へと引きずり込まれていくのが特徴的です。
タイ北東部イーサン地方を舞台とした本作は、深い森や神秘的な洞窟、エキゾチックな儀式、精霊や女神の存在、恐怖の隠しカメラ映像、憑依の真相など、どれも難解で理解に苦しむかと思います。
当ブログでは、本作の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『女神の継承』のネタバレ一覧
ネタバレ①:タイトルの意味
タイトルの意味は、”土地の精霊こと女神バヤンを、現在の継承者であるニムから姪っ子ミンに継承すること”です。
しかし本作を観た人ならわかると思いますが、結局バヤンが存在しているかどうかは誰にもわからないんですよね。
現在の継承者であるニムでさえも、エンドロールで「本当にバヤンが存在しているのかどうかはわからない…」と涙ながらに訴えていました。
つまり、”本当に継承しようとしていたのはバヤンなのか?”という疑問が生まれるわけです。
もうタイトルから完全なミスリードを誘っているから驚きです。
ネタバレ②:なぜミンは憑依されたのか
ミンが悪霊に憑依された理由は、”ヤサンティア家の人間であり、母親が女神バヤンの継承を断ったから”です。
ミンの父親は、ヤサンティア家と呼ばれる家柄です。
ヤサンティア家の男性は、代々悲惨な死を遂げており、ミンの祖父は「労働者に石を投げられて死亡」、父親は「保険金目当てで製糸工場を放火し、逮捕され自殺」、兄は「バイク事故で死亡」という死に方をしています。
というのもヤサンティア家は、”過去に多くの人々の首をはねて殺しており、ヤサンティア家に殺された人々は、「ヤサンティア家の子孫が呪い殺されるカルマ(業)」を願い、ヤサンティア家を恨みながら死んでいった”、という過去があります。
そのためヤサンティア家は、代々悪霊に呪われている家系なのです。
更にミンの父親が保険金目当てで製糸工場を放火した際、火事の犠牲になった昆虫や動物、植物の怨念がヤサンティア家を恨む悪霊と絡み合い、強大な力を持った悪霊の集合体となります。
この悪霊の集合体がミンに憑依しているのです。
しかし何故悪霊がミンにだけ乗り移り、なおかつ今のタイミングだったのでしょうか?
答えは、”悪霊の気まぐれで、たまたま今のタイミングだった”、ということかと思います。
最初は、バイク事故で死亡したミンの兄が悪霊だと思われていました。
というのも、兄は妹であるミンに好意を寄せており、おそらく2人は肉体関係もある恋人同士だったのでしょう。
しかしあくまで兄からの一方的な好意であり、ミンは拒否していた可能性が高いです。
というのもラストシーンで母親がミンに向かって、「ミン…許して」と言っているんですよね。
おそらく兄に言い寄られ、肉体関係まで持たされていたミンのことを母親は助けず、見て見ぬ振りしてしまったため、ミンに許しを乞うているのでしょう。
兄の願いは妹ミンとの結婚かと思われますが、もちろん叶うわけもないため、兄は絶望して首吊り自殺をしましたが、流石に自殺は世間体が良くないためバイク事故として片付けられている、というのが現状です。
そんな兄の悪霊が元凶かと思いきや、実際の元凶は人知の及ばない悪霊の集合体です。
人知の及ばない存在ですので、人間の都合や考えなど考慮しておりません。
まさに天災のような存在、それが悪霊なのです。
正直な話、”ミンは運が悪かった”、としかいいようがないと思います。
ネタバレ③:盲目の老婆は何を見たのか
本作でミンの異変が最初に現れたのは、夜中に近所に住む盲目の老婆が登場したシーンです。
このシーン、ミンが老婆を見つめているかのように見えますが、”実際は老婆がミンを見つめている”のだと思います。
というのもミンに憑依している悪霊は、人間の目では見ることが出来ない存在です。
老婆は盲目なので元々目が見えませんが、おそらく目が見えない代わりにミンに憑依している悪霊の存在を感知することが出来たのだと思われます。
存在を感知する人間は、悪霊にとっては邪魔な存在ですので、盲目の老婆は悪霊に呪い殺されたのだと思います。
盲目の老婆の他にもミンを遠くから見つめる人物がいましたが、おそらくこの人物も目が見えない代わりに悪霊の存在を感知することが出来、そのためミンを見つめていたのだと思われます。
ネタバレ④:バヤン像の首を切ったのは誰か
ニムが崇拝するバヤン像の首が根本から切断されているシーンがあります。
かなり衝撃的なシーンですが、一体誰がバヤン像の首を切ったのでしょうか?
バヤン像の首を切ったのは、”ミンの夢の中に出てくる赤いふんどしを履き、長剣を持っている巨大な男=悪霊に憑依されたミン”です。
この巨大な男は、”悪霊を具現化、イメージした姿”だと思われます。
悪霊がニムを更なる絶望の淵へ追いやる、もしくは単なる遊びのつもりでミンにバヤン像の首を切断させたのでしょう。
実体化した悪霊がバヤン像の首を切った可能性も考えましたが、「それなら最初から実体化すればいいじゃん!」という話になりますし、むしろ悪霊は実体化出来なから人間に憑依しているんだと思われます。
そのため悪霊に憑依されたミンがバヤン像の首を切断した、と考えるほうが整合性があるのです。
ネタバレ⑤:なぜニムは、ミンにバヤンを継承しないのか
憑依に苦しむミンですが、周囲からはバヤンの継承者に選ばれた故の苦しみだと思われていました。
というのもミンの母親もニムもバヤンの継承を受ける際、同じような苦しみを抱いていた経験があるからです。
そのため母親は、ニムに対して「ミンにバヤンを継承し、ミンを苦しみから解放してほしい」と懇願しますが、ニムは「継承はしない」と頑なに断っています。
これには2つ理由があると思われます。
①バヤンではなく悪霊が憑依しているから
②そもそもバヤンは存在しないから
まず「①バヤンではなく悪霊が憑依しているから」は、とてもわかりやすい理由ですよね。
ミンに憑依しているのが悪霊なのであれば、バヤンを継承したとしても何の解決にもなりませんし、むしろ事態を悪化させる可能性もあります。
続いて「②そもそもバヤンは存在しないから」ですが、個人的にはこちらが主な理由かと思われます。
というのもエンドロールでニムは、「本当にバヤンが存在しているかわからない…」と涙ながらに訴えています。
存在しているかわからない存在であるバヤンを継承するなんて出来ませんよね?
だからこそ、ニムは頑なに継承することを拒んでいたのだと思われます。
ネタバレ⑥:なぜミンではなく、母親を儀式に参加させたのか
入念な準備を行い、遂にミンに憑依した悪霊を祓う儀式が始まりますが、なぜかミンではなく母親が儀式に参加しています。
この理由は、”ミンに憑依している悪霊を母親に移そうとしたから”、です。
おそらく長期間悪霊に憑依されている人間は、悪霊との結び付きが強く、上手く祓うことが出来ないのでしょう。
そのため一度別の人間、出来れば家族のように血の繋がりが強い人間に悪霊を移し替える必要があるのだと思われます。
そのために選ばれた人物というのが、ミンの母親だったということです。
しかし儀式は失敗し、地獄絵図のような風景に変わってしまうのです。
ネタバレ⑦:なぜ儀式は失敗したのか
力のある祈祷師たちが入念な準備をしたにもかかわらず、儀式は失敗してしまいます。
失敗した理由は、”悪霊は最初から人間が勝てる相手ではなかったから”です。
儀式の途中、家で待機していた女性がミンの出す赤ん坊の声に騙され、ミンが封印されている扉を開けてしまい、それが原因で儀式が失敗したかのように見えましたが、おそらくこの出来事は儀式の失敗には直接的に関係ないと思います。
むしろ扉を開けてミンを解放しなくとも、”人間と悪霊は力の差があり過ぎて、そもそも勝負にすらなっていない”ということなのでしょう。
つまり人間は、完全に悪霊の手のひらで遊ばれている赤子状態ということですね。
ネタバレ⑧:ミンが悪霊の本体なのか
儀式が失敗し、周囲にいる人間は次々と悪霊に憑依され、人肉を喰らう化け物へと変化していきます。
しかしミンだけがどこか別格な存在として描かれているんですよね。
おそらく、”ミンに憑依しているのが悪霊の本体であり、周囲の人間に憑依してあるのは悪霊の一部”なのでしょう。
集合体である悪霊に上下関係があるのは不思議ですが、悪霊の行動を見る限りはこのように考えられます。
ネタバレ⑨:なぜニムは死んだのか
本作の主人公ともいえるニムは、儀式前日に急死してしまいます。
もちろんただの急死ではなく、悪霊に呪い殺されたのでしょう。
しかし悪霊も人間を直接的に呪い殺せるのであれば、最初からヤサンティア家の人間を全員呪い殺してしまえばいいと思うんです。
しかし実際には、ヤサンティア家の人間を呪い殺してはおりません。
そのため呪い殺すには、何かしらの手順や条件があるのだと思われます。
ヒントとなるのは、”信仰心の強さ”です。
というのもニムが死ぬ直前、インタビューで「本当にバヤンが存在しているかわからない…」と信仰心が揺らいでいる描写がありました。
おそらく悪霊は、”信仰心が弱り、心の支えを失った人間を呪い殺すことが出来る”のだと思われます。
ヤサンティア家の人間は、バヤンorキリスト教を信仰しており、信仰心に厚い人間だったため、悪霊も直接的に呪い殺すことが出来なかったのでしょう。
ネタバレ⑩:母親にバヤンは憑依していたのか
出典:IMDb
儀式が失敗した際、ミンの母親は再び儀式を再開させるため「バヤンに憑依されている」と言っていました。
しかし実際は、”バヤンに憑依などされておらず、儀式を再開したいがための嘘”だと思われます。
恐怖に震える自分自身を勇気づける意味合いもあったのでしょう。
しかしそんな嘘が悪霊に通用するわけもなく、最期はミンに生きたままガソリンで焼き殺されてしまいます。
本当にバヤンが憑依していた可能性もゼロではありませんが、精霊であり女神でもあるバヤンが、わざわざ人間を助けるために憑依する可能性は低いかと思います。
母親はミンを助けるために命をかける覚悟で臨んでいるため、嘘をついてでも儀式を成功させたかったのだと思います。
そのため、実際はバヤンに憑依などされていない、という考えに至りました。
ネタバレ⑪:ラストシーンに映り込んだ呪いのわら人形
ラストシーンでミンが母親を生きたままガソリンで燃やしているとき、カメラには多数の釘が打ち込まれたわら人形が映り込んでいました。
このわら人形には、ヤサンティア家の名前が記載されていたので、”悪霊がヤサンティア家を呪い殺すために用意した呪いのわら人形”なのだと思われます。
しかし悪霊は、そんな周りくどいことをしなくともヤサンティア家を呪い殺すことも出来たはずです。
もしかしたら、これも単なる悪霊の遊び心なのかもしれませんね。
映画『女神の継承』の感想
アジア版「エクソシスト」のような内容だと油断していたら、遥かに凌駕するとんでもないホラー映画でした。
中盤までは独特な雰囲気のホラー映画だと思っていたのですが、終盤でミンの行動を把握するために監視カメラを家中に仕掛けたシーンから怖過ぎる展開が立て続けに発生します。
特にミンが飼い犬を生きたままお湯が沸騰した鍋に入れて茹で殺すシーンは、トラウマ級に胸糞が悪いですね。
さすがにエンドロールで、「動物の撮影シーンは専門家立ち合いのもとやっています」、「実際に動物を傷つけることはしていません」と表示が出ますが、あの飼い犬の断末魔はしばらく耳に残り続けそうです。
その他にも「赤ん坊を生きたまま喰い殺す」、「母親を生きたままガソリンで焼き殺す」、「人間を生きたまま集団で喰い殺す」など残酷な描写が目白押しです。
また監視カメラを意識してなのか、ミンが深夜に家を徘徊するシーンは不気味を通り越して吐き気を催すほどの恐怖です。
予告編でも流れていた、「ミンが暗闇から少しずつ姿を表すシーン」は、覚悟していたものの鳥肌が止まりませんでしたね。
ストーリーの内容的には、「コクソン」を彷彿させる内容に仕上がっており、悪霊という人知を超えた存在に蹂躙される人間の恐怖と愚かさを描いています。
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タイトルである『女神の継承』というのがそもそもミスリードであり、実際に女神バヤンは存在すらしておらず(もしくは人間には感知すら出来ない存在)、そもそもニムは最初から何も継承すらしていない、という事実に衝撃を受けつつも憐れみを感じてしまいました。
そして本作のテーマの1つに、人間の罪があると思います。
①ヤサンティア家
・多くの人々の首をはねた虐殺の罪
②リンの母親
・妹であるニムにバヤンの継承を譲った罪
・兄に近親相姦されているリンを助けなかった罪
③リンの兄
・リンを近親相姦をした罪
④ニムの兄
・未成年者がホステスをしている店に通う罪
⑤ニム
・ミンを救うことが出来なかった罪
このように人間は大小様々な罪を抱えていますが、悪霊にとって罪の大小は関係なく、「ただそこに人間がいたから」という天災に匹敵する理不尽な理由で呪い殺しにかかってきます。
てっきりラストシーンは、女神バヤンと悪霊の頂上決戦になるのかと思いきや、実はバヤンなんていない、というとんでもない事実が明らかになり、観客に更なる絶望感を味合わせてくれる展開には脱帽ですね。
まとめ
間違いなく2022年を代表するホラー映画と言えるでしょう。
アジア映画特有の世界観、精霊・女神・悪霊といった超常現象、倫理観を無視した残酷描写、など人が不快や不安に思うような描写が盛り沢山です。
似たような映画で「哭悲(コクヒ)」がありますが、「哭悲(コクヒ)」が暴力描写フルスロットルなのに対し、本作は心理恐怖描写フルスロットルな感じの映画です。
公式HPですら、「心が健康なときに観賞してください」と言っているくらいですから、どれほど強烈な映画かわかりますよね。
やはりアジアのホラー映画が作り出す恐怖は格別ですね♪
最高の怖くて面白い映画体験を提供してくれます。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。