こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『ハッチング 孵化』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『ハッチング 孵化』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『ハッチング 孵化』が好きになると思いますよ♪
映画『ハッチング 孵化』のあらすじ
北欧フィンランドで家族と暮らす12歳の少女ティンヤ。
完璧で幸せな家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすため、すべてを我慢し自分を抑えるようになった彼女は、体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。
ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。
ティンヤが家族には内緒で、自分のベッドで温め続けた卵は、やがて大きくなり、遂には孵化する。
卵から生まれた「それ」は、幸福に見える家族の仮面を剥ぎ取っていく。
・ティンヤ役は、1200人のオーディションから選ばれた奇跡の主人公
・卵から孵化する存在アッリが恐ろしい
・完璧な家族像と相反するティンヤの絶望
・ラストシーンの切なさと絶望がピカイチ
本作の監督は、世界の映画祭で短編作品が高い評価を受け、今回が長編デビューとなる新鋭女性監督ハンナ・ベルイホルムです。
本作がヒットすれば、次の長編映画も制作されるはずなので楽しみですね。
また本作最大の見所は、1,200人のオーディションから選ばれたティンヤ役のシーリ・ソラリンナです。
絶世の美少女でありながらも、家族の愛情に飢えているティンヤという難しい役を演じています。
特に本作は、完璧な家族像を演じさせられながらも母親の愛情に応えようとするティンヤ、卵から孵化した存在アッリを育てる母親という立場のティンヤ、という2つのティンヤを演じる必要があります。
かなり難しい役ですが、監督のハンナ・ベルイホルムも大絶賛するほどの演技力だったそうです。
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【ネタバレあり】映画『ハッチング 孵化』のネタバレ一覧
ネタバレ①:タイトルの意味
本作のタイトルである『ハッチング』ですが、一体どんな意味があるのでしょうか?
ハッチングの意味は、”孵化=卵の殻を破って雛が産まれること”です。
通常であれば孵化して産まれてくるのは、可愛らしい雛鳥です。
しかし本作で孵化して産まれてくる存在は、なんとも言えない禍々しい姿をしております。
そして「卵の殻を破る」という言葉に注目すると別の意味もあります。
つまり”殻を破る=これまでの習慣や考え方を壊して、革新的な物に変える”ということです。
そのため本作のタイトルである『ハッチング』には、従来の意味である”卵の殻を破って雛が産まれること”と”自分の殻を破る”という2つの意味があるかと思われます。
ネタバレ②:アッリの正体と目的
卵から孵化した存在であるアッリですが、その正体は何者なのでしょうか?
明確な正体は明言されておりませんが、アッリの正体は”人間に成り代わろうとしている存在”だと思われます。
アッリは卵から孵化したばかりの際は、手足の長さも異なる醜い姿をしておりました。
まさに怪物とも言える姿です。
しかしティンヤの言動を真似て、少しずつ人間の姿に近づいていきます。
そして最終的には、ティンヤと瓜二つの姿になってしまうのです。
これは明らかに”人間の生態を真似て、外見を人間に近づけている=人間に成り代わろうとしている”ということを表しているかと思われます。
そんなアッリですが、何故人間に成り代わろうとしているのでしょうか?
そのヒントが映画『ビバリウム 』にあります。
『ビバリウム 』は、宇宙人の子供を人間に托卵(たくらん)させ、最終的には人間に擬態し地球に住み込もうとするストーリーです。
また地球上の生物ですと、鳥のカッコウが托卵(たくらん)を行うことで有名です。
そう考えるとアッリにも共通点が見えてくるんです。
①アッリの姿が鳥のカッコウに似ている
②アッリの世話をティンヤに託している=托卵(たくらん)
つまりアッリは、”ティンヤに托卵(たくらん)させることで、最終的にはティンヤに擬態し、ティンヤに成り代わろうとしている”ということが推測出来ます。
おそらくアッリは、”ティンヤに成り代わり、人間として生活していく”のでしょう。
もしかしたらアッリのような存在は、地球上の至る所に生息しており、人間に成り代わる機会を窺っているのかもしれません。
またアッリは、ティンヤの抱く想い(主に憎しみや羨望などの負の感情)と連動して行動しています。
また痛覚などの感覚もアッリとティンヤは共有しているのが特徴です。
本作中でティンヤの体臭が臭うような描写がありましたが、これは”体臭もアッリと共有している”からだと思われます。
つまり”ティンヤとアッリは、一心同体のような関係性”ということが推測されます。
この一心同体のような関係性というのが、アッリがティンヤに成り代わるために必要な要素なのでしょう。
人間の感覚や想いを理解し、最終的には完全に人間に成り代わる存在、それがアッリなのだと思われます。
ネタバレ③:アッリに襲われた人物の共通点
本作でアッリに襲われた人物や動物は、全部で4人います。
いずれもティンヤを不快や不安な気持ちにさせた存在であり、そんなティンヤの想いに応えるべくアッリが襲いました。
襲われた人物や動物は次のとおりです。
①近所の犬
→夜中に吠え、ティンヤが不快に感じたのでアッリが殺害
②近所の女の子
→新体操の大会レギュラーの座を奪われそうになり、ティンヤが不安に感じたのでアッリが襲撃
③テロの赤ん坊
→ティンヤの母親の愛情を受けており、ティンヤが不快に感じたのでアッリが襲撃
④母親
→ありのままの自分を認めてくれず、ティンヤが不安に感じたのでアッリが襲撃
実際のところ、アッリはティンヤを母親のように慕っており、”ティンヤに認められたい、ティンヤを守りたい”という想いもあったのかもしれません。
改めてですが本作のテーマは托卵(たくらん)です。
托卵(たくらん)の場合、雛鳥は一番最初に目にした物を母親と思い込む習性があります。
本作の場合ですと、アッリが一番最初に目にした人物はティンヤです。
すると習性でアッリはティンヤのことを母親だと思い込んでいるはずです。
当たり前ですが、赤ん坊は母親がいないと生きていけません。
ましてやアッリの目的は、ティンヤに成り代わることです。
そのためアッリは、ティンヤの邪魔になる存在や脅かす存在を排除しようとしたのだと思われます。
まさに”子供が親を守る”といった感じでしょうか。
しかし普通は逆なんですよね・・・普通だったら”親が子供を守る”になるはずです。
ただ本作に登場する母親、つまりティンヤとティンヤの母親はどちらも親としての役割を十分に果たしてはおりません。
そうなると子供は、自分を守るためにも自分自身で考えて行動しなければならなくなります。
つまり”アッリはティンヤを守るためだけではなく、自分自身を守るために対象を襲った”とも考えられます。
ネタバレ④:母親2人の存在
本作には、母親が2人存在します。
①ティンヤ
②ティンヤの母親
「①ティンヤ」は、まだ12歳の少女ですが托卵(たくらん)という形でアッリの母親となりました。
しかしまだ人間としても未成熟であるため、度々不快や不安な気持ちになることがあり、その度にアッリが暴走してしまいます。
つまり”ティンヤは母親としてアッリを制御出来ていない”ということです。
対して「②ティンヤの母親」ですが、自らの理想を娘に押し付ける毒親です。
SNSを通じて完璧な家族像を全世界に発信していますが、実際のところは夫婦仲も最悪ですし、子供たちも喧嘩ばかりしているような状況です。
またかつてアイススケート選手で活躍していたが、脚の怪我で選手生命を絶たれた過去があり、娘のティンヤに対して理想の娘になるように教育しています。
つまり”母親としてティンヤを制御出来ていない”ということです。
ネタバレ⑤:子守唄に込められた想い
本作では、母親がティンヤに、ティンヤがアッリに向かって子守唄を歌っています。
まさに母親の姿そのものですよね。
子守唄の歌詞の中に「水鳥」や「みなしご」が良く出てきます。
つまり子守唄は、”みなしごの水鳥を表している”ということです。
この「みなしごの水鳥」というのは、ティンヤにもアッリにも共通するところがあります。
まずティンヤですが、母親からは愛されず、父親は母親に逆らえない、弟はひねくれ者、という悲惨な家族構成です。
しかし母親は自分自身のために完璧な家族像をティンヤに強要し、SNSを通じて動画を世界に配信しているという毒親です。
またアッリもティンヤが母親代わりでありながらも、本当の親はおらず、まさにみなしごといった存在です。
ネタバレ⑥:ラストシーンの解釈
本作のラストシーンは、なかなか強烈な内容です。
というのもアッリを殺そうとした母親が誤ってティンヤを殺してしまうんですよね。
そして死亡したティンヤの血を飲んだアッリが、新しいティンヤになる・・・という展開です。
しかしアッリの知能は相変わらず低いままだと思います。
そのため母親は、”また一から知能の低いティンヤ(アッリ)の子育てをする”ということになるのです。
ティンヤを完璧な娘として育て上げ、自らの承認欲求を満たそうとしていた母親にとって、アッリがティンヤに成り代わるというのは許し難いものがあるはずです。
しかし本物のティンヤは、母親が自ら殺してしまったので、罪悪感を抱えながらもアッリを新しいティンヤとして育てていくしか道はないのです。
映画『ハッチング 孵化』の感想
得体の知れない卵を育てたら、得体の知れない生き物が卵から孵化してしまった・・・というストーリー。
脅かし系のホラー要素が随所にあり、かなり楽しめる映画です。
また北欧ホラーということもあり、独特な雰囲気があります。
ティンヤの抱える負の感情がアッリにも共有され、アッリが暴走していく姿には戦慄が走ります。
アッリの姿が少しずつティンヤに近づいていき、最終的にはティンヤに成り代わってしまう展開にはゾクゾクしました。
しかし肝心のアッリの正体や目的が上手くボカされているので、モヤモヤするのも事実・・・せめて何かしらヒントは出して欲しかったですね。
また北欧ホラーらしい色使いや雰囲気は、とても良かったです。
単にアッリの恐怖を描くだけではなく、ティンヤの不安や毒親である母親の暴走を上手く描き、ホラーだけではなくヒューマンドラマ要素も入っています。
本作の監督であるハンナ・ベルイホルムは、本作が長編デビューですので、これからの作品にも期待が持てますね。
まとめ
卵から孵化した存在であるアッリ、母親の抑圧に耐えながらもアッリを育てるティンヤ、この2つの存在が本作の見所です。
もちろんホラー映画ですので、怖いシーンが多々あります。
北欧ホラーらしい独特な雰囲気もあり、不思議な世界観に迷い込むことが出来るのも特徴的です。
かなり面白い映画ですので、是非いろんな人に観ていただきたいです。
同じ北欧ホラー映画だと、『ミッドサマー 』、『ラム』が有名で面白いですね。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。