こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『TITANE チタン』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『TITANE チタン』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『TITANE チタン』が好きになると思いますよ♪
映画『TITANE チタン』のあらすじ
幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。
それ以来、彼女は車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまう。
自身の犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会う。
ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。
2人は奇妙な共同生活を始めるが、アレクシアの体には重大な秘密があった。
・冒頭30分のグロシーンがトラウマレベル
・現実と妄想のギャップがエゲツない
・アレクシアとヴィンセントの奇妙な共同生活
・ラストシーンの解釈をどう捉えるか
「RAW 少女のめざめ」で鮮烈なデビューを飾ったフランスのジュリア・デュクルノー監督の長編第2作です。
頭にチタンを埋め込まれた主人公がたどる数奇な運命を描き、2021年・第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞しました。
前作『RAW』を凌駕するグロさ満点の映画ですので、ある程度覚悟して観ないとトラウマを植え付けられること間違い無いでしょう。
まずは『RAW』で予習してから本作を観ることをオススメします。
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【ネタバレあり】映画『TITANE チタン』のネタバレ一覧
ネタバレ①:アレクシアが殺人を重ねる理由
本作の主人公の1人であるアレクシアは、幼少期に交通事故に遭い、手術の一貫で頭蓋骨にチタンプレートを埋め込んでいます。
チタンプレートは頭蓋骨の中で完全に固定されており、大きな衝撃を与えない限りはズレることはない、というのが医師の見解です。
そしてアレクシアは、ある出来事をきっかけに殺人を重ねていきます。
そのある出来事というのが、”車との性行為”です。
正確には車と性行為をする前に衝動的に男を殺害しているのですが、間違いなくきっかけとなったのは車との性行為だと思われます。
実際にアレクシアは、車と性行為を行ってから連続殺人を行っていますからね。
しかしあくまで殺人を重ねるきっかけになったのが車との性行為であり、実際アレクシアは昔から殺人を行っていたと推測します。
というのも、”あまりにも殺人行為にためらいがない”んですよね。
まるで過去に何度も殺人を行っていたかのように、的確に人体の急所を貫いて殺害しています。
おそらく頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたことにより、アレクシアは”人間として必要な脳の一部が欠如してしまった”のだと思われます。
またアレクシアは、チタンプレートを埋め込まれる前から風変わりな子供でした。
天性のイカれっぷりを持っていたアレクシアがチタンプレートを埋め込まれたことにより、更なる狂人となってしまった・・・そして狂人の極みである車との性行為を経て完全に覚醒してしまった、といったところでしょうか。
ネタバレ②:アレクシアが妊娠した理由
本作最大の謎が”なぜアレクシアは妊娠したのか”だと思います。
冷静に考えるのであれば、車との性行為によって人間が妊娠するわけがありません。
まあ生物学的にも無理ですよね。
そのためアレクシアが妊娠した理由は、次のいずれかかと思います。
①父親と性行為をして妊娠した
②ファンの男と性行為をして妊娠した
③アレクシアの想像妊娠
「①父親と性行為をして妊娠した」ですが、これはかなり確率が高いかと思います。
というのも、アレクシアと父親の関係性があまりにも希薄ですし、あからさまにお互い口を聞いていません。
またアレクシアが妊娠してお腹の調子が悪いとき、医者である父親が触診したにもかかわらず「何事もない」という診断を下しております。
おそらく父親は娘を妊娠させてしまったが、母親にバレたくないので「何事もない」と嘘をついている可能性が高いです。
そして「②ファンの男と性行為をして妊娠した」ですが、こちらはあまり信憑性がないと思います。
確かに男性は、死亡する際に口から精液をイメージさせる白い液体を吐いていますが、これは明らかに観客を誤解させるミスリードを誘っているようにしか見えません。
と言うのも、アレクシアは明らかに男性に力ずくでどうにかされる女性ではありません。
そんなことになれば、逆に相手を殺してしまう性格の持ち主のはずです。
最後に「③アレクシアの想像妊娠」ですが、個人的にはこの説を推したいです。
現実社会でも実際に想像妊娠により、無月経、つわり、乳房や腹部の膨張などが見られるそうです。
しかしあくまで想像妊娠ですので、実際に胎児が産まれてくることはありません。
おそらくアレクシアは、”想像妊娠により胎児を妊娠したと思い込んでいるが、実際には妊娠もしておらず、周囲からも妊娠の変化が見えない状態”なのだと思われます。
つまり”腹部の膨張や乳頭や陰部からの出血(オイル漏れ)は、アレクシアとヴィンセントの妄想”ということです。
だって普通に考えて、あんなに腹部が膨張していたら流石にサラシを巻いたとしても周囲が気づきますよね?
ヴィンセントの元妻に正体がバレたときも、特に妊娠やオイル漏れに対して気にする素振りを見せませんでした。
また消防士仲間たちもアレクシアの妊娠に気がついている者は誰一人としておりません。
つまり”アレクシアの妊娠を認識している人物ってアレクシアとヴィンセントだけ”なんですよね。
おそらく車に対してあまりにも執着してしまい、”車との子供を身篭りたい”とアレクシアが思い込み、想像妊娠になったのだと思われます。
ネタバレ③:アドリアンは既に亡くなっている
連続殺人犯であるアレクシアは、逃亡手段として10年前から行方不明になっているヴィンセントの息子アドリアンを演じています。
アドリアンになりきるため、髪を切ったり鼻を潰したりしている姿は強烈でしたよね。
しかし実際のアドリアンは、既に亡くなっています。
アドリアンが既に亡くなっていることを表す描写は次のとおりです。
①ヴィンセントがアドリアンとのDNA鑑定を拒否
→既にアドリアンは亡くなっているのため
②アドリアンを連想させる子供の焼死体が出てくる
→おそらくアドリアンは10年前に火事で亡くなった
③ヴィンセントの妻が瞬時にアレクシアの正体を見破った
→妻はアドリアンの死を受け入れている
まず「①ヴィンセントがアドリアンとのDNA鑑定を拒否」ですが、通常であればDNA鑑定を拒否する理由がありません。
だって10年間も離れ離れになっていたのであれば、本当に息子かどうか確信を得るためにDNA鑑定をするのが普通かと思います。
しかしヴィンセントは、DNA鑑定を拒否しました。
これは、”DNA鑑定をすると本当の息子ではないとわかってしまう=アドリアンが既に亡くなっていることを再認識してしまう”ことが理由かと思われます。
次に「②アドリアンを連想させる子供の焼死体が出てくる」ですが、消防実習中に黒焦げの子供の焼死体が描かれています。
これはどう見てもアドリアンの焼死体で間違いありません。
おそらくアドリアンは、10年前に火事で焼死してしまっているのでしょう。
そしてその火事が原因でヴィンセントの精神は崩壊し、妻とも離婚しているんだと思われます。
このアドリアンの死がトラウマとなり、ヴィンセントは狂気に走ってしまうことになります。
最後に「③ヴィンセントの妻が瞬時にアレクシアの正体を見破った」ですが、初対面にもかかわらずヴィンセントの妻はアレクシアの正体を見破りました。
つまりアレクシアがアドリアンでないことに気づいたわけです。
その理由は単純で”アドリアンは既に10年前の火事で亡くなっている”からです。
既に亡くなっているはずの息子が成長した姿で現れたら、普通の人だったから偽者だって瞬時にわかります。
この描写からも既にアドリアンが亡くなっていることは明白ですし、ヴィンセントが狂っていることがわかります。
ネタバレ④:フラッシュバックした人物の正体
出典:IMDb
アレクシアが消防士仲間とダンスを楽しんでいるとき、謎の人物がフラッシュバックして登場したことに気づいたでしょうか?
あまりに一瞬でしたので見逃してしまった人もいるかと思われます。
フラッシュバックで登場した謎の人物の正体は、”成長したアドリアン”かと思われます。
というのも、顔に火傷の跡らしきものが無数にあったんですよね。
また年齢もアレクシアと近いようにも感じました。
もちろんアレクシアが本物のアドリアンに会ったことはないですし、成長した姿を知っているわけではありません。
だってアドリアンは10年前に火事で亡くなっていますからね。
そうなるとフラッシュバックで登場したアドリアンは、幽霊もしくは幻ということになります。
まあ幽霊はないと思いますので、おそらくアレクシアが見た幻なのでしょう。
おそらく”アドリアンとしてヴィンセントに接しているアレクシアの罪悪感が、本物のアドリアンという姿で表現された”ということなのだと思います。
アレクシアとヴィンセントは、不思議な絆で結ばれています。
しかしアレクシアがヴィンセントを騙していることには変わりがありませんし、ヴィンセント自身も己を騙し続けている状況です。
そんな状況の中、アレクシアは何かしらの罪悪感を抱えていたと思われます。
そんな罪悪感が本物のアドリアンという姿で現れたので、アレクシアは自分自身をさらけ出し、まるでショーガール時代を彷彿させるような魅惑のダンスを披露したのでしょう。
ネタバレ⑤:役名が『RAW』と似ている
出典:IMDb
本作の監督であるジュリア・デュクルノーは、『RAW』の監督でもあります。
『RAW』は人肉を喰らう=カニバリズムを描いた映画であり、本作に負けないほどのグロさとストーリーが売りの映画です。
そして本作と『RAW』には、同じ監督という以外にも共通点があります。
それは、”『RAW』と『TITANE』の登場人物の名前が同じ”ということです。
整理すると次のような感じです。
『RAW』 | 『TITANE』 |
アレックス(主人公の姉) | アレクシア(主人公) |
ジュスティーヌ(主人公) | ジャスティン(主人公の友人) |
アドリアン(主人公の恋人) | アドリアン(主人公の別の姿) |
まるで同一人物というようにも見えますが実際にそうではないようです。
どうやら監督の「同名の人物と似たような境遇を設定した上で、別次元の世界観を与えるとどんなストーリーになるのか」という試みのようですね。
ちなみに『RAW』のアレックスは刑務所に投獄、『TITANE』のアレクシアは出産で死亡、とどちらも悲惨な最期を遂げております。
また双方のアドリアンも喰われるか火事で死ぬかという悲惨な最期です。
しかしジュスティーヌとジャスティンについては、明確に運命が分かれています。
このように登場人物の名前を同じにしながらも、別次元のストーリー構成になる演出はとても面白いですし、これからも注目していきたいです。
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ネタバレ⑥:赤ん坊は人間と機械のハーフなのか
出典:IMDb
ラストシーンでアレクシアは、人間と機械のハーフとも思えるような子供を出産して亡くなります。
子供の背骨はチタンで出来ており、どう見ても普通の人間の子供とは思えない様相です。
子供の正体を考察するにあたり、次の内容がポイントかと思われます。
①妊娠はアレクシアの想像妊娠
②ヴィンセントは息子アドリアンの死で気が狂っている
つまり”子供は産まれてもいないし、人間と機械のハーフでもない”ということです。
要するにアレクシアとヴィンセントの完全なる妄想ですね。
しかし2人の目には、子供は人間と機械のハーフのように映っていたということです。
アレクシアとヴィンセントの妄想が子供をそのような姿で映し出した、ということかもしれませんが、理由はそれだけではないと思います。
というのも、実際はアレクシアとヴィンセントの他にも3人目の傍観者がいます。
それは”私たち観客”です。
本作はアレクシアとヴィンセントの妄想と現実が混ざり合った世界観なのですが、私たち観客も同様に狂気の世界を体験していることになります。
つまり”観客もアレクシアとヴィンセントの狂気の世界に迷い込み、人間と機械のハーフのような子供の姿を想像してしまった”ということだと思います。
映画『TITANE チタン』の感想
前作『RAW』もかなり強烈な映画でしたが、本作は前作を凌駕するほどの強烈さです。
とにかくグロい、グロ過ぎる!
冒頭30分でギブアップしてしまう人もいるんじゃないんでしょうか。
それぐらい強烈な映像が目に飛び込んできます。
そして本作最大の魅力は、アレクシアが車と性行為をして妊娠することです。
「なんで車と性行為して妊娠するの?」、という素朴な疑問が頭に浮かんだ状態で映画を観続けることになります。
妊娠しながらも行方不明となっていたアドリアンを演じ、ヴィンセントに接触していくアレクシア。
最初はヴィンセントに対し殺意を抱いていたアレクシアですが、少しずつヴィンセントとの距離を縮めていく姿には少し感動しました。
つまり本作は、”狂人同士の家族ごっこ”とも言えるでしょう。
アレクシアとヴィンセント以外の周囲の人間は、2人の違和感に気がつきながらも「2人を傷つけたくない」という一心で見て見ぬ振りをしてくれているわけです。
そんな狂人劇の究極がラストシーンのアレクシアの出産です。
アレクシアの妊娠は想像妊娠だと思われますので、あの出産シーンの痛みや苦しみはアレクシアとヴィンセントの妄想です。
周囲の人間にとっては完全なる妄想なのですが、2人にとっては現実ですのでアレクシアは亡くなってしまい、ヴィンセントは産まれてきた子供を抱き上げて本作は終わります。
その際ヴィンセントが子供に向かって「俺がついてる、俺がついてる・・・」と同じセリフを繰り返すのには恐怖を感じました。
だって周囲から見たら何もない空間に向かって喋り続けているわけですからね。
ラストシーンで戦慄したのは、私だけではなかったと思います。
まとめ
かなり精神にダメージを負う映画です。
人によってはトラウマになる可能性もある・・・そんな映画ですが夢中になってしまう魅力があります。
前作『RAW』にも共通するのですが、グロいシーンだけではなくて家族との絆を描いているんですよね。
まあ本作の家族の絆は妄想なわけですが・・・
「グロい映画は苦手!」という人も勇気を持って観賞してみることをオススメします♪
本当に良い映画ですので、観ないのはもったいないと思います。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。