こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『RAW 少女のめざめ』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『RAW 少女のめざめ』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『RAW 少女のめざめ』が好きになると思いますよ♪
映画『RAW 少女のめざめ』のあらすじ
厳格なベジタリアンの獣医一家に育った16歳のジュスティーヌは、両親と姉も通った獣医学校に進学する。
見知らぬ土地での寮生活に不安な日々を送る中、ジュスティーヌは上級生からの新入生通過儀礼として、生肉を食べることを強要される。
学校になじみたいという思いから家族のルールを破り、人生で初めて肉を口にしたジュスティーヌ。その行為により本性があらわになった彼女は次第に変貌を遂げていく。
・人肉を喰らう=カニバリズムを描いた衝撃作
・残酷なカニバリズム描写だけではなく、家族の絆も描く名作
・主人公がカニバリズムに目覚めるシーンは鳥肌もの
・衝撃的なラストシーンから目を離せない
2016年・第69回カンヌ国際映画祭で批評家連盟賞を受賞した、フランス人女性監督ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作品です。
また2022年には、映画『TITANE チタン』が公開され話題になっています。
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どちらもかなり内容が衝撃的な映画ですが、同時に最高に面白い映画でもありますので是非ご覧になっていただきたいです。
しかしかなりグロ描写がキツいので苦手な人は注意が必要です。
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【ネタバレあり】映画『RAW 少女のめざめ』のネタバレ一覧
ネタバレ①:タイトルの意味
出典:IMDb
本作のタイトルである『RAW 少女のめざめ』には一体どんな意味があるのでしょうか。
まず『RAW』ですが、直訳すると”生の”という意味になります。
主に刺身や生肉を指して使われるケースが多いようです。
つまり本作の場合ですと『RAW』は、”生の人肉”ということになります。
そして主人公であるジュスティーヌは、ベジタリアンでしたが大学の通過儀礼でウサギの腎臓を食べてしまったことにより、自分の身体の中に眠る本能、つまり”カニバリズム=人肉を喰らう”に目覚めてしまいます。
本作のタイトルは、『RAW 少女のめざめ』です。
つまり本作のタイトルの意味は、”生の人肉 カニバリズムのめざめ”ということになりますね。
タイトルからしてグロ過ぎますね・・・
ネタバレ②:冒頭の交通事故が示すもの
本作は、「道路に飛び出した少女を避けようとした車が避けようとして大事故を起こす」という衝撃的な映像からスタートします。
この事故の犯人と目的は、本作中盤で明らかになります。
まず事故を起こした犯人は、”ジュスティーヌの姉アレックス”です。
アレックスは、ジュスティーヌの通う獣医大学の先輩でもあります。
そして事故の目的は、”人肉を喰らうため”です。
交通事故を起こし、死亡もしくは瀕死のドライバーの人肉を喰らっているのです。
カニバリズムとは、”人間が人肉を食べる行動、あるいは習慣”のことです。
しかし一時的な飢餓による緊急避難的な食人はカニバリズムには含まれません。
そして結論から言ってしまうと、ジュスティーヌの家族(母親・姉)は、カニバリズムです。
また一度人肉の味を覚えてしまうと、まるで麻薬のように人肉を欲してしまいます。
だからこそアレックスは、度々交通事故を起こして人肉を喰らっていたのでしょう。
後にアレックスは、妹ジュスティーヌにも交通事故を起こして人肉を喰らう術を伝授します。
この時のアレックスが何も罪悪感を覚えることなく、淡々と人肉を喰らっている様子には寒気がしましたね。
ネタバレ③:ベジタリアンの理由
ジュスティーヌはベジタリアンです。
肉は一切食べずに野菜や植物しか食べないということです。
これは母親からベジタリアンとして教育されてきたことが主な原因です。
しかし母親は何故ジュスティーヌをベジタリアンとして育ててきたのでしょうか。
それは、”カニバリズムの解決方法を見つけもらいたいから”という衝撃的な理由です。
ジュスティーヌの家族は、母親・姉ともにカニバリズムです。
つまりジュスティーヌの家族は、人肉を喰べる一族ということですね。
きっと遺伝的要素なのでしょう。
もちろんジュスティーヌにもカニバリズムの素質があるわけですが、人肉は一度味を覚えてしまうと元には戻れない、つまり麻薬のような症状が出てしまうのです。
そのため母親は、ジュスティーヌがカニバリズムに目覚めないように徹底してベジタリアンとして育ててきたのです。
しかしジュスティーヌが母親の元を離れ、獣医大学に入学してしまったことによりジュスティーヌの身体の中に眠るカニバリズムが目覚めてしまいます。
ネタバレ④:なぜカニバリズムに目覚めたのか
母親からベジタリアンとして育てられたことにより、ジュスティーヌは当初カニバリズムには目覚めておりませんでした。
しかしある出来事がきっかけでカニバリズムに目覚めてしまうことになります。
そのある出来事とは、”大学の通過儀礼でウサギの腎臓を食べたこと”です。
今までベジタリアンだったにもかかわらず、強制的にウサギの腎臓を食べさせられたことにより、ジュスティーヌの身体には重度のアレルギー反応が出てしまいます。
身体中の皮が音を立てて剥けてしまうようなアレルギー反応です。
おそらくこのアレルギー反応がトリガーとなり、ジュスティーヌの身体の中に眠っていたカニバリズムが目覚めたのだと思います。
そして何と言っても最大のトリガーは、”姉アレックスの切断された指を喰べた”ということです。
この行為によりジュスティーヌは人肉の味を覚えてしまい、後戻りが出来なくなってしまいます。
また元々ジュスティーヌの家族は、カニバリズムです。
実際に父親が母親のために自分自身の肉を定期的に喰わせています。
また姉アレックスもジュスティーヌが使用しているアレルギー反応を抑える塗り薬を所持しています。
つまりジュスティーヌのカニバリズムは遺伝ということになります。
そのため”遺伝的要素とウサギの腎臓という要素が掛け合わさり、カニバリズムに目覚めた”とも言えます。
ネタバレ⑤:犬と猿が示すもの
本作は獣医大学が舞台ということもあり、犬や猿の死体や標本が登場します。
もちろんジュスティーヌたち獣医学生が研修のために解体するわけですが、犬や猿にはもっと深い意味があります。
その深い意味とは、”本能的な先祖返りと共喰い”ということです。
まず犬について説明します。
犬の先祖はオオカミです。
言わずと知れた肉食動物ですね。
そして犬は先祖返りをする動物として知られています。
また人や猿の先祖であるチンパンジーは、共喰いをする動物として知られています。
つまり”人間も犬のように先祖返りしてしまうと、チンパンジーのように共喰いをしてしまう可能性がある”ということです。
【犬が示すもの】
・先祖返り
【猿が示すもの】
・共喰い
本作の主人公であるジュスティーヌは、「人間と猿は本質的に平等であり同等である」と発言しています。
最初は、「動物好きな主人公なんだなぁ」と思っていましたが、人間=猿ということは人間=チンパンジーということを示しているとも言えます。
そしてチンパンジーは共喰いをする・・・あとはわかりますよね?
つまりジュスティーヌは、”本能的に人間も猿も共喰いをする可能性がある”ということを理解しているということです。
ネタバレ⑥:アドリアンを殺した理由
ジュスティーヌのルームメイトであり恋人でもあるアドリアンは、片足のほとんどの肉を喰われた悲惨な状態の死体となって発見されます。
最初は、人肉の欲求に勝てなかったジュスティーヌがアドリアンを喰い殺した、と思われましたが真相は異なります。
アドリアンを殺した犯人は、姉アレックスです。
アレックスがアドリアンを喰い殺した理由は、”人肉の欲求に打ち勝つことが出来なかったから”です。
人肉は一度味を覚えてしまうと、麻薬のような中毒性があり、人肉を喰べないと禁断症状が出てしまいます。
しかし目立つ場所で人肉を喰べてしまうと、周囲に正体がバレてしまいますし、最悪の場合警察に掴まってしまう可能性があります。
その点、アドリアンはジュスティーヌのルームメイトであり恋人でもあります。
また姉であるアレックスもアドリアンと身体の関係性を持っています。
つまり”アドリアンとの関係性を利用して、容易に密室空間で2人きりになれる”ということです。
おそらくアレックスはジュスティーヌから反対されていたので、交通事故を起こして人肉を喰らう行動は謹んでいたのでしょう。
しかし人肉の欲求には打ち勝つことが出来ず、関係性があり2人きりになれるアドリアンを標的にしたのだと思います。
またアレックスは妹であるジュスティーヌを愛しています。
そうなるとアドリアンの存在が邪魔になるわけです。
まさに”愛と欲望の渦巻く殺人劇”って感じですね。
ネタバレ⑦:ジュスティーヌのその後
姉アレックスは、アドリアン殺害の容疑で逮捕され刑務所に収監されてしまいます。
また父親からは、「母親もカニバリズムであり、父親が定期的に人肉を喰わせている」という衝撃的な事実をカミングアウトされてしまいます。
まさに家庭環境だけではなく、人生観も180度変わってしまったジュスティーヌですが、今後の人生はどう過ごしていくのでしょうか。
ここからは完全な妄想かつ考察になるのですが、きっとジュスティーヌは人肉を求めて姉アレックスの真似をするんだと思います
つまり”意図的に交通事故を起こし、人肉を喰らう”ということです。
人肉は一度味を覚えてしまうと、麻薬のように禁断症状が出て元の身体には戻れなくなってしまいます。
これはジュスティーヌの母親の様子を見ていれば一目瞭然です。
つまりジュスティーヌも人肉を喰らい続けていくしかない、ということですね。
しかし姉アレックスのように目立つ場所で人を殺害して人肉を喰らってしまっては、社会的に抹殺されてしまいます。
そのため周囲にバレないように人肉を喰べる必要があるのです。
その方法の一つが姉アレックスが行っていた交通事故です。
おそらく数回交通事故を起こして人肉を喰べることに成功しますが、必ずどこかでバレて社会的に抹殺されてしまうことでしょう。
つまり”ジュスティーヌも姉アレックスと同じ道を辿る”ということですね。
人肉を喰べる=カニバリズムとは、悲惨な結果しか残さないんだと思います。
映画『RAW 少女のめざめ』の感想
カニバリズムという人類最大のタブーに触れた問題作です。
かなりグロいシーンが続きますが、それでも不思議と映像に釘付けになってしまうのが本作の見所でしょう。
ベジタリアンであったジュスティーヌが少しずつカニバリズムに目覚めていく様子は、その辺のホラー映画より怖く、背筋が凍る想いをしてしまうほどです。
また単なるカニバリズム描写だけではなく、不安な大学生生活、家族との衝突、友人や恋人との葛藤などが描かれており、ある意味青春映画と言っても過言ではないストーリーに仕上がっています。
そしてジュスティーヌが事故で姉アレックスの指を切断してしまった際、狂ったように指をむさぼり喰う描写には本当に背筋が凍りました。
同じカニバリズムの映画ですと、『羊たちの沈黙』や「グリーン・インフェルノ』などがあるのですが、これらの映画ってどこか非現実的なので「どうせ映画の中の世界なんでしょ?」と割り切れるんですよね。
しかし本作はどこかリアリティがあるため、「本当に指をむさぼり喰っているのかもしれない」と思ってしまうんです。
そのため妙にグロテスクで吐き気がしてしまいました。
それぐらい強烈な描写でしたが、不思議と世界観に引き込まれてしまうのが本作の魅力ですね。
またカニバリズムを克服するため、家族が選択した方法も衝撃的でしたね。
姉アレックスの交通事故はもちろんですが、父親が母親のために自らの身体を差し出しているのがかなり衝撃的でした。
あの傷だらけの身体はトラウマになるグロさ…
しかしそれも父親の母親に対する愛の表現と考えると見方も変わってきます。
単なるカニバリズムを描いたホラー映画かと思いきや、家族の絆を描いたヒューマンドラマでもあるわけです。
一見すると対極の存在かともいえる2つのジャンルが上手く融合している…とても不思議で引き込まれる映画です。
まとめ
出典:IMDb
カニバリズムということもあり、かなりグロテスクで衝撃的な描写が多い本作。
しかしそれを補うほど不思議な魅力がある映画です。
カニバリズムという人類最大のタブーをリアリティに描きながらも、まだ16歳の少女であるジュスティーヌの心境の変化を描きつつ、単なるカニバリズム映画とはならないようになっています。
ジュリア・デュクルノー監督の最新作『TITANE チタン』も本作同様に強烈な映画ですので、ますます目が離せないですね。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。