こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『ドント・ルック・アップ』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『ドント・ルック・アップ』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『ドント・ルック・アップ』が好きになると思いますよ♪
映画『ドント・ルック・アップ』のあらすじ
落ちこぼれ気味の天文学者ランドール・ミンディ教授はある日、教え子の大学院生ケイトとともに、地球に衝突する恐れがある巨大彗星の存在を発見し、世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと躍起になる。
仲間の協力も得て、オーリアン大統領とその息子で大統領補佐官のジェイソンと対面する機会を得たり、陽気な朝のテレビ番組「デイリー・リップ」に出演するなどして、熱心に危機を訴えてまわる2人。
しかし人類への警告は至難の業で、空回りしてばかり。
そのうちに事態は思わぬ方向へと転がっていき……。
・彗星の地球衝突による人類消滅をコメディ風に描く
・出演者がメッチャ豪華、さすがハリウッド
・すれ違い、空回りっぷりが凄すぎて笑える
・皮肉の効いたラストシーン
レオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスという豪華キャストが主演。
彗星衝突という地球の危機を察知した落ちこぼれの天文学者と教え子が、世界中にその事実を伝えようと奔走する姿を、「バイス」「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のアダム・マッケイ監督が描いたコメディドラマです。
完全にコメディに全振りしている映画です。
もう最高に面白いので全人類に観てもらいたい映画ですね。
【ネタバレあり】映画『ドント・ルック・アップ』のネタバレ一覧
ネタバレ①:タイトルの意味
タイトルである「ドント・ルック・アップ」とは、直訳すると”空を見上げるな”、という意味です。
空を見上げてしまうと地球に接近している彗星を肉眼で見ることが出来てしまうため、富を追うバッシュや大統領陣営は大衆に空を見上げないように呼びかけます。
その掛け声、スローガンが「ドント・ルック・バック」ということですね。
その他にも真実から目を逸らす、という意味もあります。
対して、彗星を発見し地球衝突の危機を訴えるミンディ教授やケイトの掛け声、スローガンは「ルック・アップ」です。
「ルック・アップ」は、直訳すると”空を見上げよう”という意味があります。
しかし本当の意味は、『真実から目を逸らさず、運命に立ち向かおう』です。
ミンディ教授がケイトは、彗星衝突による地球消滅、という真実から目を逸らさず、運命に立ち向かおうとしました。
しかし富を追うバッシュ、大統領選挙が気になる大統領は真実から目を逸らし、空を見上げない=「ドント・ルック・アップ」の信念を持ってしまいました。
この2つの信念のぶつかり合い、すれ違いが本作の見所となっています。
ネタバレ②:ロケットがUターンした理由
ミンディ教授やケイトだけではなく、世界中の有力な科学者が計算した結果、巨大彗星が半年後に地球に衝突する確率は100%ということが判明します。
当初は大統領選挙の影響を懸念してまともに取り合ってくれなかった大統領も、流石にマズイと感じたのか、彗星の軌道を逸らすための特別チームを編成してくれます。
パイロットも決まり、ロケットの準備も整い、遂に彗星に向かってロケットが発射されます。
人類を救う唯一の希望が宇宙に飛び立った、そう思った瞬間ロケットはUターンして地上に戻ってきてしまいます。
ロケットがUターンしてしまった理由、それは彗星に含まれている大量のレアメタルです。
実業家のバッシュが彗星に大量のレアメタルが含まれていることを発見し、レアメタル回収のためロケットをUターンさせたのです。
レアメタルがもたらす何百兆$の利益と経済効果、つまり金が目的ということです。
もちろん地球に彗星を衝突させるわけにはいきません。
そのためにバッシュの考えた計画がバッシュ計画です。
バッシュ計画とは、次のような計画です。
①彗星破壊ドローン”ビーズ”を彗星に着陸させ、搭載している「微細標的粒子核分裂爆弾」で彗星を30個に分割、”ビーズ”で分裂した彗星を地球に持ち帰る計画
②科学には基づいていないビジネスマンの計画であり、科学者や専門家による評価や検証、いわゆる科学的査読を行なっていない計画
③バッシュ計画に背いた科学者を次々と左遷や解雇させる
④地球滅亡よりレアメタル、つまり金を重視した計画
もちろんミンディ教授やケイトは必死で止めるのですが、社会的権力やノーベル賞受賞者を抱え込んだ大統領やバッシュは聞く耳を持ちません。
こうして最高にヤバい匂いしかしないバッシュ計画が実行に向けて進んでいってしまうのです。
ネタバレ③:地球を救うことができなかった理由
約半年後に彗星が地球に衝突にすることを突き止めたミンディ教授とケイトは、政府やメディアに向けて必死に危機を訴えます。
しかし大統領は中間選挙のため静観を決め込む、TV局はエンターテイメントとして捉え本気にしてくれない。
こんな感じで誰も見向きをせず、挙げ句の果てにはミンディ教授とケイトの頭が狂っているとみなしてしまうのです。
それは政府、メディア、世間、いずれも彗星の衝突による地球滅亡を現実として捉えることが出来なかったからです。
彗星の衝突による地球滅亡というのは、非常に非現実的であり実際に発生するなんて誰も思っていません。
というのも彗星は目に見えない存在、もしくは見ないようにする存在なためです。
まさに本作のタイトルである「ドント・ルック・バック」→空を見上げるな、現実を見るな、ということですね。
しかし世界中の科学者が彗星の軌道を計算したところミンディ教授とケイトの主張が真実だと判明し、ついに政府が動き地球消滅を回避するための特別チームが編成されます。
そして遂に彗星の軌道修正を図ろうとロケットが発射されますが、バッシュ計画によりロケットはUターンしてしまうのです。
更にアメリカは、バッシュ計画による利益を独り占めするためにロシア、インド、中国をレアメタルの所有権利から外してしまいます。
これにより世界が力を合わせて彗星に立ち向かう手段は消え去ってしまうのです。
そのためロシア、インド、中国は、世界を自分たちの手で救うため3カ国共同ミッションを計画し彗星の軌道修正しようとしますが、直前になってバイコヌール宇宙基地で大規模な爆発がありロケットの打ち上げは失敗。
つまり人類の希望は絶たれてしまうわけです。
人類最後の希望であるバッシュ計画ですが、打ち上げ早々にロケット墜落、彗星に到着しても水平装置が安定せず墜落、と失敗の連続。
遂に爆弾を仕掛けることに成功しますが、起爆しても彗星には全くダメージなし、とバッシュ計画は何の成果も残せないまま大失敗に終わります。
彗星が地球に衝突する直前、バッシュと大統領、その他2000人の有力者は宇宙船に乗って地球を脱出することに成功します。
そして2万2740年後に未知の惑星に到着し、新たな人類史を作ろうとするのですが肉食であるブロンテロックに襲われ絶滅します。
何とも皮肉めいたラストシーンですよね。
ネタバレ④:死を受け入れる幸せ
出典:IMDb
彗星の衝突による地球滅亡という運命に立ち向かってきたミンディ教授やケイトですが、どんなに足掻いても地球滅亡は避けられない運命だと理解します。
そんな2人が最後に向かったのはミンディの家族が暮らしている家です。
ミンディは浮気をして妻から距離を空けられていましたが、素直に謝罪をし許しを得ることが出来ます。
こうして人類最後の夜、愛する家族や友人と過ごせることになるのです。
多くの人々が絶望の中で死んでいきますが、ミンディ教授やケイトは笑いながら死んでいきます。
これって本当に幸せなことなんじゃないんでしょうか?
彗星の衝突がなくても人はいつか必ず死にます。
死という決して避けることの出来ない運命に対し、愛する家族や友人と共に過ごし、笑いながら死んでいくというのはとても幸せなことだと思うのです。
ネタバレ⑤:バッシュの予言
バッシュ計画の立案者であり、地球を滅した原因を作った張本人でもある実業家バッシュ。
バッシュはミンディ教授と大統領に死際の予言をしています。
しかしバッシュの予言は、当たりと外れの予言があるのです。
【当たりの予言】大統領
ブロンテロックに殺される
→予言のとおり、未知の惑星でブロンテロックに喰われて死亡
【外れに予言】ミンディ教授
寂しく孤独死する
→予言は外れ、愛する家族や友人と共に死亡
なぜバッシュの予言に当たり外れがあったのでしょうか?
それは、自らの過ちを認め、謝罪したかどうか、がポイントになっています。
大統領は自らの過ちを認めず、バッシュ計画を押し進めた結果、地球を滅亡させてしまいました。
ミンディ教授は浮気をしてしまい妻を傷つけてしまいましたが、最後は自らの過ちを認めて妻に謝罪し、結果として許しを得ています。
自らの過ちを認めた者こそ運命を変えることが出来た、ということです。
ネタバレ⑥:ラストの解釈
バッシュ計画が失敗し彗星が地球に衝突、結果として宇宙船で脱出した人類を除き、残りの人類は消滅してしまいます。
宇宙船で脱出した大統領、バッシュ含めた有力者2000人は、冷凍睡眠で宇宙を移動し、2万2740年後に未知の惑星に到着します。
未知の惑星は人類が暮らせる環境であり、新たな人類史を作ることを決意するのですが、惑星には肉食のブロンテロックが生息しており、大統領は食われ、残りの人類もブロンテロックの群れに囲まれ捕食される、つまり全滅バッドエンディングという形で幕を閉じます。
しかし本作が面白いのはここから♪
何と全滅したかのように見えた人類ですが、大統領の息子であるジェイソンが生き残っていたんですよね。
おそらく大統領専用の強固な地下シェルターに隠れていたので助かったのでしょう。
もしかしたら他にも生き残っている人類がいるかもしれません。
そうなると地球で再び人類史を作り上げることが可能になります。
大統領シェルターから逃げ出し、宇宙船に乗って脱出した大統領やバッシュが死亡し、大統領シェルターに残り続けたジェイソンが生き残るとは・・・
とても意味深なラストですよね。
映画『ドント・ルック・アップ』の感想
彗星の衝突による人類滅亡・・・こういう展開の映画って多いですよね。
有名な映画だと『アルマゲドン』、『ディープ・インパクト』などが真っ先に挙がられます。
そんな名作たちがいる中、例えるのであれば本作は「汚いアルマゲドン」のような映画です。
こういう地球消滅系の映画って人類が力を合わせて運命に立ち向かい、最後は彗星を爆破するか軌道をずらすなどして地球消滅を避けてきたのが定番の流れです。
特に『アルマゲドン』は家族愛や友情をこれでもかというほど盛り込み、ラストシーンは涙なしでは観れない最高の映画に仕上がっています。
そんな名作に比べて本作は、”人類は協力しない、自分勝手な思想の持ち主多数、最後は人類消滅と救いようのない映画”に仕上がっています。
というのも本作のジャンルはコメディだと考えているからです。
もちろんヒューマンドラマ的要素もあるのですが、大体がブラックジョークの連発です。
人類消滅という一見コメディには出来なさそうなジャンルをコメディにするとは・・・さすがハリウッドですね!
何とかして彗星が地球に衝突するのを防ごうとするミンディ教授とケイト、そんな覚悟を嘲笑うかのように自分勝手な思想を持っている大統領やバッシュ、そしてメディア。
そんな思想が異なる人々の見事なまでのすれ違いが最高に面白いし笑えるんです。
案の定、彗星が地球に衝突し人類は滅亡するんですが本作のすごいのはここからです。
大統領やバッシュたちは宇宙船で脱出するのですが、たどり着いた未知の惑星で呆気なく全滅しちゃうんですよね。
2万2740年後・・・とか壮大なテロップを出しておいて呆気なく全滅する様は笑うしかありません。
もう完全にコメディに寄せすぎている最高にクールなラストシーンだと思います。
まとめ
もう最高に面白い映画ですね。
人類消滅という笑えない内容にもかかわらず、最高に笑える内容に仕上げていますからね。
「どうせ人類消滅するんだろうなぁ」と思って観ていたら、本当に人類全滅しますからね。
人類を救おうとする要素皆無ですから!バッシュ計画の失敗ぶりとか笑うしかない。
こんなに面白くてバカげた映画を最高の俳優陣で作り上げているハリウッドには脱帽しかありません。
これは久しぶりの最高傑作だと確信しています。
最後まで読んでくれてありがとうございました。