こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『アス』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『アス』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『アス』が好きになると思いますよ♪
映画『アス』のあらすじ
夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンとともに夏休みを過ごすため、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れたアデレードは、不気味な偶然に見舞われたことで過去のトラウマがフラッシュバックするようになってしまう。そして、家族の身に何か恐ろしいことが起こるという妄想を次第に強めていく彼女の前に、自分たちとそっくりな“わたしたち”が現れ……。
出典:映画com
・前作『ゲット・アウト』に匹敵する衝撃と面白さ♪
・貧困問題や差別に焦点を当てたホラー映画
・レッドの正体と目的に戦慄する
・ラストシーンの絶望に唖然とするしかない
「ゲット・アウト」がアカデミー賞にノミネートされ、脚本賞を受賞するなど大きな話題を集めたジョーダン・ピール監督が、自分たちとそっくりの謎の存在と対峙する一家の恐怖を描いたホラー映画です。
ブラムハウスが制作を行っており、主演には「それでも夜は明ける」でアカデミー助演女優賞を受賞し、「ブラックパンサー」などで活躍するルピタ・ニョンゴが務めています。
単なるホラー映画ではなく、貧困問題や差別に焦点を当てているのもポイントです。
当ブログでは、『アス』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『』のネタバレ一覧
ネタバレ①:タイトルの意味
出典:映画com
本作のタイトルである『アス』には、2つの意味があります。
①私たちの「Us(アス)」
②アメリカ合衆国の「US(アス)」
まず①私たちの「Us(アス)」ですが、これは”地上にいる人類(オリジナル)と地下にいる人類(クローン)”のことを表しています。
続いて②アメリカ合衆国の「US(アス)」ですが、これは”アメリカ合衆国は地上にいる人類(オリジナル)だけの国ではなく、地下にいる人類(クローン)の国でもある”ということを表しています。
前作『ゲット・アウト』もタイトルに2つの意味がありましたので、ジョーダン・ピール監督はタイトルに複数の意味を持たせるのが好きなようですね。
ネタバレ②:エレミヤ書11章11節
出典:IMDb
本作中で何度か登場するエレミヤ書11章11節とは、”旧約聖書に描かれている予言”のことです。
内容は、”見よ。私は彼らに災いを下す。彼らはその災いから逃れることは出来ない。彼らは私に向かって叫ぶだろうが、私は彼らに耳を貸さない”という物騒な内容になっています。
ちなみに「私」とは「神」を指しており、「エレミヤ」とは古代イスラエルの代表的預言者のことを指しています。
簡単に説明すると、”神の言葉に従わないのであれば、人類に災いを招く。災いが起きて人類が助けを求めても、一切耳を貸さないし助けることもない”ということです。
これを本作に置き換えると、”「神」は地下の人間(クローン)、「人類」は地上の人間(オリジナル)”ということになります。
また本作は、世界の貧困問題や差別について描かれています。
大部分の人は貧困問題や差別をどこか他人事のように捉えており、具体的に何か行動することはありません。
つまり見て見ぬ振り、臭いものには蓋をするという感じですね。
これが本作におけるレッドたちテザードのことを表しています。
ちなみに冒頭の遊園地でエレミヤ書11章11節を掲げていた男性は、後にテザードに殺されており、そのシーンをアデレードたちが見かけるといったシーンがあります。
そしてジェイソンが遊園地の浜辺で見かけた人物は、この男性のクローン人間であるテザードです。
詳しくは後ほど説明しますが、テザードたちは「ハンド・アクロス・アメリカ」を行おうとしています。
この男性は既に目的を達成(自分のオリジナルを殺害)しているので、「ハンド・アクロス・アメリカ」で手を繋ぐ準備をしているわけですね。
ネタバレ③:テザードについて
出典:映画com
本作でアデレードたちを恐怖の渦に巻き込んだレッドたちですが、その正体は”アメリカ政府によって人工的に作り出されたクローン人間、通称テザードと呼ばれる存在”です。
ちなみにテザードには、”繫がれた者”という意味があります。
これは地上の人間と地下の人間を1つの魂で繋げている、ということが名前の由来になっています。
テザードの歴史は、次のとおりです。
①数世紀前に、アメリカ政府が肉体を複製する方法を発明
②魂は作れなかったので、1つの魂をオリジナルとクローンで分け合うことにする
③クローン人間をテザードと呼び、地上の人間を操り人形として操ろうとした
④しかし地上の人間を操ることに失敗し、アメリカ政府はテザードを見捨てた
⑤テザードは数世紀の間、地下で生き延び地上の人間へ復讐するチャンスをうかがっていた
普通に考えると、「アメリカ政府が地上の人間を、政治的に都合の良いように操りたかった」ということかと思われます。
またテザードは、”地上の人間の負の感情や不幸を肩代わりしている、いわゆる身代わり人形的な役割”もあったのでしょう。
テザードが不幸な出来事を肩代わりすることにより、地上の人間は幸せになる、といったことことなのだと思われます。
これは現実社会も同じですよね・・・一部の大富裕層のために庶民層や貧困層が犠牲になっています。
そんなテザードですが、教育の場を与えられていないため、言葉を話すということが出来ません。
また知能も低く、現状を変えるといった発想も持ち合わせておりません。
そんなとき、救世主として現れたのがレッドですね。
レッドを救世主、もしくは神として崇め、テザードが一致団結し地上の人間に復讐を果たす、というのが本作の主なストーリーです。
ちなみにテザードがオリジナルの人間に近づくと、予期せぬ偶然が発生します。
代表的なのがエレミヤ書11章11節の数字である「1111」ですね。
ネタバレ④:ウサギが意味するもの
出典:IMDb
テザードたちが暮らしている地下施設には、大量のウサギが飼われています。
ウサギには、次の3つの意味があると思われます。
①実験動物を連想させる動物
→同じく実験動物であるテザードの境遇を連想させる
②テザードたちの食糧
→テザードたちは生きたままウサギの生肉を食べる
③復活祭の象徴
→死んでも無数に増殖する
ウサギはアメリカでは、繁殖力が強く無数に増えていく動物として知られています。
テザードたちも同様であり、地上にいる人類が増えれば増えるほど、テザードたちも数を増していきます。
またウサギは、童話「不思議の国のアリス」でアリスを不思議な世界へ案内する案内役として登場します。
本作の世界観も”どこか現実味を帯びている雰囲気”がありますので、観客を不思議な世界へと案内する役目も果たしているのかもしれません。
ネタバレ⑤:なぜ植木バサミなのか
出典:IMDb
本作でテザードが武器として使用しているのは、”植木バサミ”です。
これにはいくつか理由があると思われます。
①地下施設には他に武器がなかった
→植木バサミを使用せざるを得なかった
②魂の絆を断ち切る
→単なる武器ではなく、オリジナルとクローンの魂を断ち切る想いを込めている
本作終盤でレッド(オリジナル)がテザードの歴史を説明する際、紙人形の手を植木バサミで切断していました。
おそらく植木バサミには、「②魂の絆を断ち切る」という要素が強いのだと思われます。
ネタバレ⑥:レッドの正体
出典:映画com
レッドの正体は、”地上にいたオリジナルの人間”です。
つまり本作の主人公であるアデレードは、”本来は地下にいるべきクローン人間”ということなのです。
ここで冒頭シーンに繋がります。
冒頭シーンでレッド(オリジナル)は、父親と離れて遊園地にあるミラーハウスに迷い込み、もう一人の自分であるアデレード(クローン)に遭遇しました。
なぜ2人がミラーハウスで出会ったかというと、”ミラーハウスは地下に繋がっている施設であること”、そして”レッド(オリジナル)とアデレード(クローン)の動きはシンクロしている”、この2つが奇跡的に噛み合ったからです。
正確には動きがシンクロしているというより、”正反対の行動をする”といったところでしょうか。
まるでミラーハウスにある鏡のような存在、それがレッド(オリジナル)とアデレード(クローン)なのです。
整理すると、次のようになります。
①レッド(オリジナル)とアデレード(クローン)の動きは、シンクロしており正反対の行動をする
②サンタクルーズの遊園地にあるミラーハウスは、デザードが暮らしている地下施設に繋がっている
③レッド(オリジナル)がミラーハウスの秘密の扉に向かったことにより、アデレード(クローン)も秘密の扉に向かう
④レッド(オリジナル)とアデレード(クローン)が出会い、入れ替りが発生する
この時点でレッド(オリジナル)とアデレード(クローン)の人生は、180度変わってしまいました。
レッド(オリジナル)は劣悪な地下施設で暮らしていくことになり、アデレードは快適な地上で暮らしていくことになります。
ちなみに入れ替わったアデレード(クローン)が失語症と診断されたのは、”地下施設で暮らしていたため、単純に言葉を話せないから”です。
しかし周囲は、レッド(オリジナル)とアデレード(クローン)が入れ替わったなど夢にも思っていないので、迷子になったショックから失語症になったと判断してしまったのです。
そしてアデレード(クローン)は、成長するにつれ言葉を覚え始めたため、周囲からは失語症が治ったと思われていますが、単純に言葉を覚えただけなんですよね。
アデレード(クローン)と入れ替わったことにより、劣悪な地下施設で暮らす人生になってしまったレッド(オリジナル)・・・次の項目ではレッド(オリジナル)の目的について詳しく触れていきます。
ネタバレ⑦:レッドの目的
出典:映画com
レッド(オリジナル)の目的は、大きく2つあります。
①アデレード(クローン)に復讐する
②テザードを率いて、地上にいる人類に復讐する
まず「①アデレード(クローン)に復讐する」については、アデレード(クローン)と入れ替わったことにより、レッド(オリジナル)は人生を台無しにされていますので最早当然の目的ですよね。
まだ幼かったレッド(オリジナル)が愛する両親から引き離され、ウサギを生きたまま食べるという劣悪な地下施設で暮らさざるを得ない恐怖と絶望は、想像するだけでも胸が苦しくなります。
続いて「②テザードたちを率いて、地上にいる人類に復讐する」については、地上にいる人類=オリジナルに無視され虐げられてきたテザード=クローンが復讐する、という目的です。
本来であればテザードは、復讐するという意思など持ち合わせていないのですが、レッド(オリジナル)は元々地上で暮らしていた人間ですので意思や思考を持ち合わせています。
そのためテザードたちは、レッド(オリジナル)を神と崇め、指導者としてレッド(オリジナル)の指示に従い、地上にいる人類に復讐を果たすのです。
ちなみにテザードたちがレッド(オリジナル)を特別扱いしている理由は、”バレエを踊ることが出来たから”です。
テザードは、地上の人間と魂が繋がっているため行動をマネすることが出来ますが、どれも「感情的ではない」、「美しくない」、「楽しくない」など負の要素ばかりのマネごとをしています。
これはテザードが悪いのではなく、”テザードが地上の人間の負の要素を肩代わりしているから”です。
しかしレッド(オリジナル)は、元々地上で生活をしていたため、地上でアデレード(クローン)がバレエを踊った際、完璧ではなくともバレエを美しく踊ることが出来ました。
それを目にしたテザードたちから、「この子は私たちと何か違う!」と正体がバレ、神として崇められ特別扱いされているのです。
ネタバレ⑧:ハンド・アクロス・アメリカ
出典:IMDb
本作で最も印象的なシーンの1つに、テザードたちが手を繋いで道を作るハンド・アクロス・アメリカが挙げられます。
ハンズ・アクロス・アメリカとは、”1986年にアメリカで行われた、飢餓に苦しむ人々を救うための運動”です。
具体的には、参加者は参加費10ドルを支払って手を繋ぎ、人間の輪を15分作り上げるというものです。
実際のところ、3,400万ドルの寄付金が集まりましたが、運動を行うための経費を差し引いた1,500万ドルが寄付されました。
決して意味がない運動ではないと思いますが、参加者の自己満足や売名行為、貧困の直接的な問題解決には繋がっていないことから批判が殺到した運動として知られています。
本作でも冒頭のテレビCMでハンズ・アクロス・アメリカのCMが流れており、その映像をレッド(オリジナル)が眺めています。
この時の記憶が鮮明に残っているレッド(オリジナル)は、”テザードたちによるハンズ・アクロス・アメリカを行い、地上にいる人類への復讐のメッセージにしよう”と思いつき、テザードたちを率いて復讐を行うのです。
本作のラストシーンでテザードたちが手を繋ぎ、地平線まで続く長い人の輪を作っているシーンは鳥肌が立ちましたね。
最終的にレッド(オリジナル)は死んでしまいましたが、意志を継いだテザードたちがハンズ・アクロス・アメリカを作ることに成功しました。
ネタバレ⑨:ラストシーンについて
出典:映画com
テザードたちによる巨大なハンズ・アクロス・アメリカだけでも衝撃的ですが、直前にアデレード(クローン)と息子ジェイソンの意味深な表情にも注目です。
レッド(オリジナル)を倒し、車で安全な場所(おそらくメキシコ)まで逃げるアデレード(クローン)たち家族ですが、この時に初めてアデレード(クローン)とレッド(オリジナル)が幼少期に入れ替わっていたことが発覚します。
その時、息子ジェイソンが母親アデレード(クローン)の顔を見つめて、サッと仮面を被り顔を隠すんですよね。
ジェイソンは、レッド(オリジナル)と接触した数少ない人物です。
おそらくジェイソンは、レッド(オリジナル)に地下施設へ連れ去られた際、次の真相を聞かされたのだと思います。
①幼少期にアデレード(クローン)とレッド(オリジナル)が入れ替わっていること
②テザードは、地上にいる人類から虐げられていること
③アデレード(クローン)は、真相を家族に内緒にしていること
そのため、ジェイソンは”アデレード(クローン)の正体に気がついており、自分自身の表情や内面を隠すために仮面を被った”ということです。
しかしアデレード(クローン)がクローン人間であろうと、ジェイソンにとって母親であることに変わりはありません。
そのためジェイソンとしては、非常に複雑な心境であることがわかります。
映画『アス』の感想
出典:映画com
自分の分身とも言えるクローン人間に襲われる恐怖を描いたホラー映画です。
しかし単なるホラー映画ではなく、世界の貧困問題や差別に焦点を当てた映画にも仕上がっています。
というのも本作で猛威を振るうクローン人間=テザードたちは数世紀の間、地上にいる人類から「無関心」という名の暴力により虐げられてきた存在なんですよね。
その怒りがレッドという指導者の元に爆発し、遂に地上にいる人類に復讐を果たす、というストーリーの流れになっています。
殺し方も植木バサミで刺殺するというシンプルさながら、無表情で機械的に殺していくテザードの姿には恐怖を覚えます。
それだけでも不気味で恐ろしいのですが、実はテザード側だと思っていたレッドが実はオリジナルであり、オリジナル側だと思っていた主人公アデレードがテザードという展開には驚きを隠せませんでした。
まさか冒頭の遊園地で既に2人は入れ替わっていたとは・・・しかもレッド(オリジナル)は幼い少女ながら両親と生き別れになり、過酷な地下施設で人生を過ごすことになるわけですからね。
その事実を知りながらも、生き続けていかなければならないアデレード(クローン)と息子ジェイソン。
テザードによるアメリカ本土のハンズ・アクロス・アメリカが成功してしまった今、いったいどんな未来が待ち構えているんでしょうか。
まとめ
出典:映画com
不気味ながらも社会性メッセージも発信している名作ホラー映画です。
クローン人間であるテザードが地上にいるオリジナルを殺戮する様子は、とても不気味であると同時にどこか悲しさを感じさせます。
本作の監督であるジョーダン・ピール監督は、前作『ゲット・アウト』では人種差別に焦点を当てており、社会の課題について問題提起を行っています。
ジョーダン・ピール監督の最新作『ノープ』も公開され、ますます目が離せなくなりましたね♪
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最後まで読んでくれてありがとうございました。