こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『アンテベラム』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『アンテベラム』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『アンテベラム』が好きになると思いますよ♪
映画『アンテベラム』のあらすじ
人気作家でもあるヴェロニカは、博士号を持つ社会学者としての顔も持ち、やさしい夫と幼い娘と幸せな毎日を送っていた。
しかし、ある日、ニューオーリンズでの講演会を成功させ、友人たちとのディナーを楽しんだ直後、彼女の輝かしい日常は、矛盾をはらんだ悪夢の世界へと反転する。
一方、アメリカ南部の広大なプランテーションの綿花畑で過酷な重労働を強いられている女性エデンは、ある悲劇をきっかけに仲間とともに脱走計画を実行するが……。
・予測不可能の展開に鳥肌立ちっぱなし
・時間軸逆転のストーリーに震えること間違いなし
・真実が判明したときの衝撃は格別
・人種差別主義者の闇が一番怖い
黒人差別をホラー&サスペンス色強く描いた『ゲット・アウト』や『アス』のプロデューサー、ショーン・マッキトリックが制作担当していることでも話題の映画です。
当ブログでは『アンテベラム』の謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです♪
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【ネタバレあり】映画『アンテベラム』のネタバレ一覧
ネタバレ①:アンテベラムの意味
”アンテベラム”とは、アメリカ南北戦争直後の時代を意味する用語です。
黒人は白人から人間以下の扱いを受けてきた時代、まさにアメリカの闇でもあります。
本作もまさにアメリカの闇を描いた映画であり、白人が支配するプランテーションに閉じ込められたエデンの視点からストーリーが進んでいきます。
まさに本作にふさわしいタイトルです。
また印象的なのがタイトルの一部が反転していることでしょう。
本作を観た人ならわかると思いますが、本作のストーリーは時間軸が逆転しています。
過去から現代に行くのかと思いきや、現代から過去にストーリーが進んでいくのです。
そのため、遊び心と若干のネタバレの意味を含めてタイトルの一部を反転させているのだと思われます。
ネタバレ②:時間軸逆転のストーリー
本作の特徴として時間軸逆転のストーリーということが挙げられます。
通常であれば過去から現代、そしてわかりやすい起承転結の流れでストーリーは進んでいきます。
それが本作では現代から過去、そしてまた現代へとストーリーが進んでいくのです。
現代①:エデン(ヴェロニカ)が逃亡を企てるが失敗し焼印を押される
現代②:半年後、プランテーションで白人に虐げられながらも生き延びるエデン
過去③:社会学者であるヴェロニカ(エデン)がルイジアナで講演を行う
過去④:講演後、友人と食事を楽しんだヴェロニカがエリザベスに拉致誘拐される
現代⑤:ジュリアの死をきっかけに再び逃亡を図るエデン(ヴェロニカ)
現代⑥:無事にプランテーションを脱出したエデン(ヴェロニカ)
こんな感じで現代から過去、そしてまた現代へとストーリーが進んでいくので少し頭の中が混乱します。
何も知らずに本作を観ると、まるで南北戦争時代(1860年代)に実際に奴隷として虐げられていたエデンの視点から始まり、ある日をきっかけに現代にいるヴェロニカの視点へとストーリーは流れているように見えます。
すると観客は、「ヴェロニカの先祖がエデンなんだな!これは何かあるぞ!」と考えてしまうわけです。
これこそが監督のトラップであり、本作のネタバレ厳禁要素でもあります。
何も知らない観客はまんまと時間軸逆転のストーリーに騙されてしまうわけです。
ネタバレ③:ターニングポイントであるスマホの着信
本作で最も重要なアイテムはスマホです。
特にスマホの着信はエデンとヴェロニカを切り替えるターニングポイントであり、私たち観客を混乱させる役割も持っています。
初めてスマホの着信が登場したのは、ヴェロニカの視点に切り替わったときです。
スマホが存在するわけがない南北戦争時代(1860年代)からいきなり現代へとタイムスリップしたかのような感覚に襲われます。
もうこの時点で観客は監督に騙されているわけです。
ここまで見事に観客を騙してくれる映画は最近なかったですよね。
そんなスマホですが、最大の見せ場は”エデンと一緒に寝ていたブレイク将軍が馬に掛けているバッグからスマホを取り出すところ”です。
この時点で観客はエデンのいる時代が過去ではなく現代だと気づくことになります。
スマホは現代と過去を繋げるだけではなく、観客を騙す最も重要なアイテムでありターニングポイントでもあるのです。
ネタバレ④:黒幕エリザベスの目的
まず結論ですが、本作の黒幕はエリザベスです。
エリザベスは極端とも言える人種差別主義者であり、黒人を奴隷のように見下しています。
エリザベスには、ヴェロニカの娘ケネディと同じ年頃の娘がおり、その娘もゴリゴリな人種差別主義者です。
エリザベスの娘の初登場シーンは、あまりの不気味さに「コイツ幽霊なのか?」と思ってしまいました。
またエリザベスの娘は、首をヒモでくくった人形を引きずっています。
これは冒頭シーンで殺された黒人女性を馬で引きずるシーンを連想させます。
出典:IMDb
更に父親でありブレイク上院議員も人種差別主義者と一族揃って狂気に溢れています。
というのもプランテーションにいる黒人は、”エリザベスの父親であるブレイク上院議員が拉致誘拐”していました。
しかしヴェロニカだけはエリザベス自身が拉致誘拐していることが判明します。
それは”エリザベスは、ヴェロニカが同じ女性でありながらも黒人の権利、ましてや女性の権利を堂々と主張することがどうしても許せなかった”、からだと思われます。
もしかしたらエリザベスは、自分自身をしっかりと表現できるヴェロニカに嫉妬していたのかもしれません。
いずれにせよヴェロニカは目立ち過ぎてしまい、人種差別主義者の塊であるエリザベスに目をつけられ、拉致誘拐の末プランテーションに送り込まれてしまったわけです。
思えばエリザベスは初めから怪しい言動をとっていました。
①:ヴェロニカの口紅を「私の肌には合わないわ」と嫌味を言う
②:ヴェロニカの娘ケネディと同じ年頃の娘がいるとほのめかす
③:ヴェロニカのホテル客室に侵入し、口紅を盗むだけではなく客室に係員が入れないように細工する
④:エリザベスの娘の不気味なオモチャは、冒頭シーンを連想させる
少しずつヴェロニカを追い詰め、挙句の果てには力づくで拉致誘拐するエリザベス。
本作に登場する人種差別主義者の中でも群を抜いて不気味な存在です。
ネタバレ⑤:偽りの南北戦争時代
エデンが奴隷として虐げられているプランテーションですが、衝撃の正体が明かされます。
実はエデンがいる時代は南北戦争時代(1860年代)ではありません。
その正体とは、”現代のルイジアナ州にある南北戦争再現公園”です。
つまり歴史を学ぶべき公演の奥地で、実際に人種差別主義者が南北戦争時代の奴隷制度を実現していたってことです。
ちなみに南北戦争再現公園の敷地は、ブレイク上院議員の所有地でもあります。
てっきりエデンは南北戦争時代(1860年代)を生きる過去の人物だと思っていたので、プランテーションの正体が明らかになったときは鳥肌が立ちました。
同時に「何故こんな残酷なことをしているのか?」という疑問が頭に浮かびます。
理由はただ一つ、”人種差別主義者が南北戦争時代のように黒人を奴隷化する生活をしたいから”という身勝手な内容です。
人種差別主義者にとって黒人の奴隷化は残酷なことではなく、先祖代々受け継がれてきた権利です。
あくまでその権利を主張および実行しているだけに過ぎません。
ネタバレ⑥:エデンの壮絶な復讐
プランテーションに拉致誘拐され、白人に虐げられながらも必死に息を潜め逃亡のチャンスを伺ってきたエデンに遂に好機が訪れます。
ここからのエデンの復讐っぷりはエゲツないものがあります。
特に瀕死のブレイク将軍とジャスパー司令官を生きたまま火葬場で葬りさる様子は非常に爽快感があります。
その後も後を追いかけてきたエリザベスも馬で引きずり殺すなど、壮絶な復讐を果たすエデン。
その姿は白人に天罰を与える神のようです。
好き勝手に黒人を蹂躙してきた白人に対しての警告のようにも見てとれます。
ネタバレ⑦:ラストシーンの解釈
出典:IMDb
ラストシーンは、まるでエデンが南北戦争の最中を駆け抜けているかのようなシーンが続きます。
エデンが拉致誘拐されていた場所は、現代のルイジアナ州にある南北戦争再現公園です。
公園では観光客を楽しませるために当時の戦闘シーンを再現するパフォーマンスがあったのだと思われます。
エデンはそのパフォーマンスの最中に飛び込み、まるでエデン自身がパフォーマーのように映っていたわけです。
エデンの後を追いかけてきた人種差別主義者も、流石に観光客の前でエデンを捕まえることは出来ません。
こうしてエデンは無事にプランテーションから逃亡することが出来、警察がプランテーションに介入し人種差別主義者の楽園は崩壊することになります。
しかし忘れてはいけないのがブレイク将軍が死に際に吐いたセリフです。
つまり、”人種差別主義者はそこら中にいる”、ということです。
もしかしたら本作のプランテーションみたいなこの世の地獄がアメリカ中にあるのかもしれないですよね。
ネタバレ⑧:人種差別主義者の闇
本作が描く最大の恐怖は、人種差別主義者の闇です。
黒人を人間と思わず、自らの欲望を叶える道具として扱っています。
まさに鬼畜の所業といったところでしょうか。
そして何が怖いって、人種差別主義者は現実世界にもいるということです。
映画の世界だけの話であればフィクションなので全く怖くはないのですが、残念ながら人種差別主義者の話はノンフィクション、つまり現実です。
本作はあくまでフィクションになりますが、人種差別主義者の存在はノンフィクション。
つまり現実世界でも”アンテベラム”の世界線は続いているということです。
まさにその恐怖の象徴がエリザベスの娘だと思います。
というのも、エリザベスの娘は幼い子供であるため善悪の判断がつきません。
そんな善悪の判断がつかない幼い子供が人種差別主義者の片鱗を見せている、これこそが最大の恐怖である人種差別主義者の闇だと考えます。
幼い子供ですら人種差別主義者の思想を持っており、その思想がこれからも脈々と受け継がれていく・・・考えただけでも鳥肌が立ってしまいますね。
映画『アンテベラム』の感想
南北戦争の奴隷として生活するエデンという女性の悪夢を見るヴェロニカの話…かと思いきや全く違いました。
この展開にはやられましたね、てっきりヴェロニカの先祖がエデンで何かしらDNA的な繋がりがあるのかと思いましたもん。
前半は奴隷のエデンの視点で物語が進みます。
白人の許可なくしては自由に喋ることも出来ず、理不尽な労働と虐待を強いられ、少しでも脱走の意思を示そうものなら抹殺される。
まさにこの世の地獄のような環境でエデンは生き延びています。
しかし何故か周りの黒人はエデンを特別視している…という謎の展開。
なぜ周りの黒人はエデンのことを知っているのかな?と思いつつも謎は解明されることなく物語は進んでいきます。
そしてスマホの着信が鳴り響き、ヴェロニカが悪夢に目覚め、主人公がチェンジするという展開です。
このスマホの着信には正直ビビりました!だって今まで南北戦争時代のエデンの話でしたのでスマホが登場するわけがないんですよね!
南北戦争って1860年代ですから。
てっきり劇場内の誰かがスマホを鳴らしたのかと思って殺意が湧いたくらいです笑。
そしてスマホの着信と同時にエデンからヴェロニカの視点に変わります。
ヴェロニカは黒人差別に訴える女性社会学者です。
南北戦争(1860年代)から100年以上経過している現代が舞台となりますが、まだ世の中には白人至上主義の考えが残っているようです。
そんな世の中を変えるためヴェロニカはルイジアナで講演を行いますが、その夜に拉致誘拐されてしまいます。
そして再び物語はエデンの視点に・・・
もうここまで来ると観客もわかってきます。
つまりエデン=ヴェロニカ、ということです。
最初はエデン(1860年代)、ヴェロニカ(現代)だと思い込んでいたのですが、まさかどちらも現代の時間軸だとは思いもしませんでした。
しかもヴェロニカ→エデンという時間軸ですからね…この演出にはしてやられました。
つまりヴェロニカには、人種差別主義者の怒りを買ってしまい、プランテーションに拉致誘拐され奴隷にされてしまったというわけです。
真実が判明した瞬間、背筋に電流が走りましたよ!
ここからはエデンが地獄のプラットホームを脱出するため、あの手この手を駆使していく様子を眺めることになります。
ひとつだけ気になるとしたら、終盤はシャマラン監督の「ヴィレッジ」と構想が似ている、ということです。
真実が判明するまでメッチャ面白いんですが、真実が判明してしまうと「あれ?どこかで観たことあるぞ?」という展開になってしまったのが非常に残念です。
もう少し捻りは加えられなかったのでしょうか?
とはいえ、今年最高レベルに鳥肌が立つほど面白い映画なのは間違いありません!
まとめ
本作の見所である時間軸逆転のストーリー、これを考えた人は天才ですね!
この展開には本当に度肝を抜かれました!
ネタバレブログを書いている身分で言うのもおかしいですが、初見は絶対にネタバレなしで観てもらいたい映画No1だと思います。
人種差別主義者の闇に触れながらも、重厚なサスペンスホラーに仕上がっています。
1回観ただけだと理解が及ばないシーンもいくつかあるくらい作り込まれた映画です。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。