こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『ウィッカーマン』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『ウィッカーマン』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『ウィッカーマン』が好きになると思いますよ♪
映画『ウィッカーマン』のあらすじ
原始宗教息づくスコットランドの離れ小島を舞台に、行方不明となった少女捜索に訪れた中年警部と、奇妙な島民の姿を描いた異色ホラー。
ケルト人の民族学的風習に裏打ちされた怪しくもどこかのどかな物語をミステリー、ホラー、ポルノ、ミュージカルなど様々な要素を混じえて描く。
・元祖カルト映画
・宗教vs宗教
・理解出来ない文化による恐怖
・映画『ミッドサマー』のモデル
【ネタバレあり】映画『ウィッカーマン』のネタバレ一覧
ネタバレ①:行方不明の少女はどこに?
出典:IMDb
主人公であるハウイー巡査の目的は、サマーアイル島で行方不明になっている少女ローワン・モリソンの捜索です。
しかし島の住人たちは誰一人としてローワンのことを「知らない、見たことがない、この島の住人ではない」と口にします。
結局、ローワンはどこに行ってしまったのか?ローワンの正体とは?、という内容でストーリーが展開していきますが、本作を観た人ならすぐ謎が解けますよね♪
実はローワンは行方不明になどなっておりません.
全てはハウイーを完全なる生贄として仕上げるための策略だったわけです。
つまりローワンも島の住民とグルになっており、全てはハウイーをはめるための罠だったというのが真相です。
ネタバレ②:島の風変わりな風習
出典:IMDb
サマーアイル島にはいくつか風変わりな風習が存在します。
・人目も気にせず抱き合う男女
・男根を象徴するポールを崇める
・6本の件で首チョンパ
・裸の女性が炎を飛び越える
・仮装してパレード
・ウィッカーマンによる火葬
どれもキリスト教信者のハウイーからすると、許し難い行為ばかりです。
特に性に対して解放的過ぎますよね…生命の循環と言われればそれまでですが。
そして何が不気味かというと、島の住民にとってこれらの風習は何一つとして違和感はなく、むしろ生活の一部になっているということです。
異常な風習が当たり前の日常として行われている・・・これほど不気味で怖いことってないですよね!
ネタバレ③:なぜハウイーだったのか?
出典:IMDb
サマーアイル島はキリスト教ではなくケルト神話に基づく自然崇拝が根付いています。
つまり島の住民が崇拝しているのは神ではなく、自然そのもの(太陽・海・大地・風など)です。
そんなサマーアイル島ですが、ここ最近は作物の不作に悩まされており、不作を解決するためには太陽の神と果樹園の女神に生贄を捧げる必要があります。
生贄は動物では効果が小さく、人間の子供のほうがより効果が大きいのです。
しかし人間の子供以上に効果が大きい生贄が、正しい資質を持つ成人です。
①自らの意思で生贄になる場所に現れる人物
②王のように法による権力を持つ人物=警官
③穢れなき童貞であり、愚か者として誘い出された人物
ハウイーは正義感の強い警官であり、キリスト教信者であるため童貞(婚約者はいる)、そして愚か者パンチの仮装で祭典に紛れ込む、など全てが生贄の条件と一致しているわけです。
もちろん最初からハウイーが生贄として確定していたわけではなく、生贄として相応しいか住民によるテストが行われていました。
一番特徴的なのが宿屋の娘ウィローによる誘惑ですね。
もしここでハウイーがウィローの誘惑に負けて、童貞を捨ててしまっていたら生贄にならずに済んだのかもしれません。
ネタバレ④:宗教vs宗教
本作はキリスト教vs自然崇拝を描いております。
そしてラストシーン、ウィッカーマンによりハウイーが処刑されることでキリスト教が破れ去るわけです。
実際に本作が上映された1973年当時、不遇な扱いを受けて小規模な公開しかされなかったらしいです。
また日本で劇場公開されたのも、何と25年後の1998年というから驚きです。
そんなタブーとされる宗教vs宗教の戦いを描いた本作ですが、結構考えさせられるものがあるかと思います。
というのも、本作ではキリスト教=正義、自然崇拝=悪、このような描き方がされていますよね。
とはいえ、サマーアイル島の人々は悪気があるわけではなく、あれが彼らの日常なわけです。
そこにいきなりキリスト教信者であるハウイーが現れ、「キリスト教の教えとは異なる」、「この島の思想は狂っている」という思考回路になってしまうわけです。
もちろんサマーアイル島の思想は狂っているんですよ!それは間違いないと思うんですが、一方的に狂っている、もしくは悪という考え方自体が危険だと思うんですよね。
まさに中世に行われた魔女狩りですよね、キリスト教とは異なる宗教=異端者みたいな扱いになるわけです。
このあたり、結構怖いなぁと思って本作を観ていました。
ネタバレ④:ウィッカーマンとは
出典:IMDb
本作のタイトルにもなっているウィッカーマン、一体どういう存在なのでしょうか?
ウィッカーマン(wicker man)とは、古代ガリアで信仰されていたドルイド教における供犠・人身御供の一種で、巨大な人型の檻の中に犠牲に捧げる家畜や人間を閉じ込めたまま焼き殺す祭儀の英語名称である。
出典:Wikipedia
すなわち人間や家畜を生きたまま焼き殺す残酷な処刑方法ですね。
かつてこんな恐ろしい儀式があったなんて考えたくもないですね。
そんな恐ろしいウィッカーマンですが、本作ではめでたくハウイーが標的となり生贄と評して処刑されます。
ハウイーも必死に抵抗し、祈りの言葉を捧げますがサマーアイル島の人々に届くわけもありません。
生きたまま焼き殺されるのは、想像を絶する苦痛と恐怖のはずです。
そんなウィッカーマンを平気な顔で実行するサマーアイル島の人々は、やはり狂っている存在だと思います。
映画『ウィッカーマン』の感想
独自の文化、キリスト教とは異なる教えや思考、これらが上手く掛け合わさった不気味かつ恐怖を感じさせる映画です。
サマーアイル島の人々にとっては日常でも、外部の人間からしたら異常に見えてしまう…理解出来ない、という恐怖が襲い掛かります。
その異質な考えを受け入れるのか、もしくは拒絶するのか、それによって結末が変わったんだろうと思われます。
もしハウイーが島の風習を尊重し、ある程度染まっていたら(例えばウィローの誘惑を受け入れた)、ウィッカーマンによる生贄に選ばれることはなかったはずです。
それにしても、どうやってハウイーを生贄候補として見つけ出したんですかね?
おそらくハウイーというより、少女を探しに来る警官で生贄の条件をクリアしていれば誰でも良かったのでしょう。
本作のハウイーのように、たまたま訪れた場所が異端な信仰を崇拝する場所だった→生贄にされる、この流れは映画『ミッドサマー』にも引き継がれています。
やはり見知らぬ土地で理解出来ない恐怖を体験するおいうのは背筋が凍るものですね。
まとめ
映画『ミッドサマー』のモデルとなった映画ということなので、最初は興味本位で観てみましたが、これが面白い!
『ミッドサマー』とは異なる恐怖を味わうことが出来ます。
どちらの映画にも共通しているのは、「理解出来ない文化・風習による恐怖」です。
何が1番の恐怖かと言いますと、その土地の住民達に悪意はなく、日常の延長で行なっている行為が外部から見ると異常ってことなんですよね。
悪意がある上で残酷なことをしているのも怖いんですが、悪意がなくただ淡々と残酷なことをしているほうが怖くないですか?
とにかく不気味かつ圧倒的不快感を体験できる素晴らしい映画です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。