ホラー/ミステリー

【ネタバレ】『ノセボ』考察【ダイアナの正体や目的・犬やマダニが意味するもの】

こんにちは、ニャンコです。

このブログは映画『ノセボ』のこんな疑問に答えていきます。

・見所ポイント

・ネタバレ一覧

・感想と考察

ニャンコ
ニャンコ
【ブログを書いているのは、こんな猫♪】

①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
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映画『ノセボ』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。

まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・

きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『ノセボ』が好きになると思いますよ♪

映画『ノセボ』のあらすじ

ファッションデザイナーとして名を馳せるクリスティーン(エヴァ・グリーン)は、夫のフェリックス(マーク・ストロング)と幼い娘のボブス(ビリー・ガズドン)とダブリン郊外で悠々自適に暮らしていた。ある日、仕事中にクリスティーンはダニに寄生された犬の幻影に襲われる。8ヶ月後、クリスティーンは筋肉の痙攣、記憶喪失や幻覚などを引き起こす原因不明の体調不良に悩まされていた。そんな彼女の前に、ダイアナと名乗るフィリピン人の乳母が現れる。彼女は雇った覚えのない乳母を最初は怪しむが、ダイアナは伝統的な民間療法を用いてクリスティーンの治療にあたり彼女の信頼を得ていく。やがてクリスティーンは民間療法にのめり込んでゆくが、それは一家を襲う想像を絶する悪夢の始まりだった――

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

・『ビバリウム』のロルカン・フィネガン監督最新作

・ストーリー展開が抜群に上手く、飽きさせない

・ダイアナの正体と目的に驚愕すること間違いなし

・ラストシーンの展開は見事

本作の監督を務めるのは、家の内覧をしたカップルが住宅街から抜け出せなくなる、そのあまりに不条理な展開が大きな話題を呼んだ前作『ビバリウム』で世界中の映画ファンを震撼させたホラー映画界の新鋭ロルカン・フィネガンです。

本作『NOCEBO/ノセボ』で描くのは、仕事も私生活も順調で幸せの絶頂にいるキャリアウーマンとその家族が迷い込んでしまう、想像を絶する悪夢です。

主人公クリスティーンを演じるのは、映画『007/カジノ・ロワイヤル』でボンドガールを務めたほか、ティム・バートン監督作のミューズとして『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』『ダンボ』などに出演するエヴァ・グリーン。

さらにクリスティーンの夫フェリックス役として『キングスマン』シリーズのマーク・ストロング、謎多き乳母ダイアナ役にフィリピン出身のシンガーソングライター チャイ・フォナシエら豪華キャスト陣を迎えた本作では、息を呑む圧巻の演技の応酬が披露され、誰も見たことのない奇天烈な世界観が紡ぎ出されています。

当ブログでは、『ノセボ』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。

ニャンコ
ニャンコ
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【ネタバレあり】映画『ノセボ』のネタバレ一覧

ネタバレ①:本作のテーマ

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

本作のテーマは、”資本主義(消費主義)に搾取される植民地主義”です。

主人公であり精神異常を抱えているクリスティーンは資本主義(消費主義)側であり、乳母として尋ねてきたダイアナは搾取される植民地主義側です。

次の項目で詳しく説明いたしますが、タイトルである『ノセボ』には「害を与える」という意味もあり、クリスティーンのような資本主義(消費主義)側が心地良く豊かな生活を送るためには、必ずダイアナのような植民地側の人間が搾取されている、という現実があります。

つまり植民地側にとって、”資本主義(消費主義)の行動や思念こそが悪い副作用であるノセボとなる”ということです。

ネタバレ②:タイトルである『ノセボ』の意味

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

本作のタイトルである『ノセボ』には、様々な意味があります。

・害を与えるもの

・効き目がない、有害作用があると思い込むこと

・医療や治療行為が悪いと思い込むこと

ちなみにノセボの反対の意味はプラセボであり、意味は「喜ばせること」です。

その他にも「信じること」、「思い込むこと」などの意味があります。

本作の場合、ダイアナがクリスティーンに行う民間治療はいずれもノセボであり、クリスティーンが心の奥底に封印していた罪と罪悪感を浮き彫りにさせています。

ネタバレ③:クリスティーンの犯した罪と罪悪感

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

クリスティーンが犯した罪は、”利益と生産性を重視するあまり、商品を外注生産しているフィリピン工場で火災を発生させ、多くの人を焼死させてしまったこと”です。

冒頭のファッションショーの際、クリスティーンにかかってきた電話の内容こそが、フィリピン工場の火災を告げる内容だったわけですね。

ニャンコ
ニャンコ
直接的にクリスティーンが火災を発生させたわけではないんだよなぁ・・・
クロネコ
クロネコ
しかしクリスティーンは、心の奥底から強烈な罪悪感を感じたわけだね

クリスティーンが罪悪感を感じると同時に、フィリピン工場ではダイアナの娘が焼死してしまいました。

次の項目で詳しく説明しますが、ダイアナはオンゴ(シャーマンのような存在)の能力を持っており、娘を亡くした猛烈な怒りからクリスティーンに対して呪いをかけます。

その呪いの象徴としてクリスティーンの目の前に現れたのが、マダニに寄生された犬ですね。

こうしてクリスティーンは、自らが犯してしまった罪の罪悪感、そしてダイアナからの呪いにより体調を悪化させていくことになります。

しかしクリスティーンは、罪悪感を感じながらも肝心な罪については忘れてしまっているんですよね。

だからこそ罪を思い出させ、そして罰するためにダイアナが現れるのです。

ネタバレ④:オンゴについて

出典:IMDb

オンゴとは、”東南アジアに存在するシャーマン(祈祷師や呪術師)”です。

別名「魔女マナナンガル」や「オンゴ」と呼ばれています。

ニャンコ
ニャンコ
このブログでは、オンゴで統一するよ♪

オンゴは不思議な力を持っており、また民間医療にも精通しているのが特徴です。

そしてオンゴは死ぬ間際に、その能力を近くにいる別人に移し替えると言われています。

だからこそ人々は、「死ぬ間際のオンゴには、決して近づいてはいけない」と恐れているわけです。

しかし幼かったダイアナは、その事実を知らず、死ぬ間際のオンゴに近づいてしまい、オンゴの能力を受け継いでしまうんですよね。

そのオンゴの能力の象徴とも言える存在が、”オンゴの口から這い出てきたヒナ鳥”です。

このヒナ鳥が能力を移し替える対象人物の口から体内に入り込むことにより、オンゴの能力は継承されていきます。

ネタバレ⑤:ダイアナの目的と正体

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

ダイアナの正体は、”クリスティーンが商品の外注生産を依頼していた工場の従業員”です。

ダイアナはオンゴの能力を受け継いでいましたが、過去にその能力を両親に金儲けの手段として利用されていた経験があります。

そのため故郷を追われた後は、オンゴの能力を使うことなく、工場の従業員として生計を立てているのです。

ニャンコ
ニャンコ
最初からオンゴの能力で生計を立てていれば、娘は死ぬことはなかったと思うんだが・・・
クロネコ
クロネコ
旦那も一体なんの仕事をしていたんだ?まさか無職?

ダイアナには一人娘がおり、娘の面倒を見るために仕事場へ娘を連れてきていました。

ある日、クリスティーンが工場を訪れ、「生産性を上げろ」、「出入り口に鍵をかけて、荷物検査をしろ」など指示を出します。

その際、クリスティーンは自らにとって幸運の靴である赤い靴を身につけており、またダイアナの娘とも写真を撮っています。

そのためダイアナは、クリスティーンのことを強烈に覚えていたわけです。

そして遂に悲劇の日が訪れます。

ダイアナが娘の飲み物を買いに工場を出た後、工場で火災が発生するのですが、出入り口に鍵がかかっているため、人々は外に脱出することが出来ず焼死してしまいます。

もちろんその中にはダイアナの娘もおり、ダイアナは猛烈な怒りをクリスティーンに向けるのです。

そのためダイアナの目的は、”娘を死に追いやったクリスティーンへの復讐”ということになります。

ニャンコ
ニャンコ
単なる逆恨みでは?悪いのは工場長だろう・・・
クロネコ
クロネコ
工場長もクリスティーンの指示に従っていただけだからなぁ

ダイアナはオンゴの能力を持っているため、工場の近くにいたマダニに寄生された犬を呪いの媒体とし、クリスティーンに呪いをかけます。

そして8ヶ月後、呪いに苦しでいるクリスティーンの元に訪れ、復讐を果たすのです。

ネタバレ⑥:マダニと犬が意味するもの

マダニと犬が意味するものは、”クリスティーンへの呪い”です。

またマダニは対象物の血を吸い取り搾取していくので、寄生虫とも呼ばれています。

そのため”呪いであると同時に、相手に寄生し甘い汁を吸う存在”とも考えられます。

対して犬は、”呪いを伝達させる媒体として役目を果たしている”と考えられます。

犬自身もマダニに寄生されている存在、つまり呪いにかかっている呪物であり、その呪物を媒体として遠く離れた場所にいるクリスティーンに呪いをかけたのです。

ネタバレ⑦:砂の上に残った足跡の正体

本作には砂の上に残った足跡が2つありました。

①ダイアナの寝室の前に現れた足跡

②ダイアナの旦那の前に現れた足跡

砂の上に残った足跡の正体は、”死んでしまったダイアナの娘、そしてダイアナ自身”です。

まず①ダイアナの寝室の前に現れた足跡」ですが、クリスティーンの娘ボブスが「私と同じぐらいの足跡があった」と言っていたことから、同じ年頃であったダイアナの娘であることがわかります。

そして「②ダイアナの旦那の前に現れた足跡」ですが、オンゴの能力をボブスに移して死亡したダイアナが、最後に霊体となって旦那の元に現れた、ということなのでわかりやすいですね。

ダイアナはオンゴの能力で、砂の上に死んだ人の足跡を残すことが出来るわけですね。

ネタバレ⑧:なぜボブスは嘘をついたのか

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

ボブスがクリスティーンに「薬はパパの車の中にあった」と嘘をついていました。

ボブスが嘘をついた理由は、”ダイアナに嘘をつくように頼まれたから”です。

クロネコ
クロネコ
なぜダイアナはそんなことをボブスに頼んだの?

それは、”再びクリスティーンの信用を得て、呪い殺すため”です。

ダイアナはクリスティーンの夫フェリックスにより、クリスティーンの薬を隠していたことがバラされ、家を追い出されてしまいました。

薬を隠していた理由は、”クリスティーンの症状を悪化させ、よりダイアナの民間医療に依存させるため”です。

しかしフェリックスは、ダイアナが危険人物であることを見抜いていたため、オンゴの呪いの力でフェリックスを階段から落下させ、病院に送り込みます。

そして邪魔者がいなくなったところで、ダイアナは再びクリスティーンの元に戻ってくるのです。

ボブスはダイアナのことを友達だと思っていましたが、ダイアナはボブスを”クリスティーンへの復讐を果たすための手段”として考えていたことがわかります。

ネタバレ⑨:なぜダイアナは自殺したのか

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

ダイアナが自殺した理由は、”オンゴの能力をボブスに移し替えるため”です。

オンゴは死んだとしても、能力を別人に移し替えれば、永遠に生きながらえることが出来ます。

ダイアナはクリスティーンへの復讐を果たしましたが、フェリックスはダイアナのことを怪しんでいたため、思わぬ邪魔が入り、オンゴの能力を別人に移し替えることが出来なくなってしまう可能性があります。

ニャンコ
ニャンコ
例えば刑務所に送られる、どこかに監禁される、などが考えられるね

またボブスに能力を移し替えることにより、クリスティーンへの復讐を更に果たせる、と考えたのでしょう。

だからこそダイアナは、自らに信用を寄せており友人でもあるボブスになら、確実にオンゴの能力を移し替えることが出来ると考え、ボブスの目の前で自殺を行い、オンゴの能力をボブスに移し替えたわけです。

ネタバレ⑩:ラストシーン

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

ダイアナの呪いにより、クリスティーンは自らが犯した罪を思い出し、ダイアナの娘が味わった地獄を経験しながら呪い殺されてしまいました。

またクリスティーンの娘であるボブスも、ダイアナからオンゴの能力を移し替えられているため、まさにラストシーンはバッドエンドと言えるでしょう。

印象的だったがのが、ボブスが森の中で儀式で使用する植物を集めている際、遠くからダイアナが覗き込んでいるシーンですね。

一見するとかなり不気味なシーンなのですが、ボブスは一切臆することなく、むしろ微笑み返しているんですよね。

オンゴは死んだとしても、能力は魂は受け継がれ、永遠に生き続けるということがわかるシーンです。

映画『ノセボ』の感想

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

強烈な衝撃を与えてくれた『ビバリウム』のロルカン・フィネガン監督、その世界観満載の映画です。

『ビバリウム』も非常に衝撃的な内容でしたが、本作も負けていないですね。

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本作では資本主義と植民地主義の対立がテーマとなっており、搾取される側だった植民地側が復讐をする、というストーリー構成に仕上がっています。

現代社会で置き換えると、ユニクロやH&Mのような大手ファストファッションブランドが「より速く、より安く」商品を消費者に提供するため、法律が緩く、保険を適用しなくて良い、そして賃金が安い国で外注生産させています。

もちろん資本主義の考え方や方法が悪いと言っているのではないのですが、私たちの生活が豊かになる裏側には、ダイアナのような人々が沢山存在している、ということです。

実際に覆ってファストファッションブランドが速さと安さを追求するがあまり、実際の工場現場の環境は劣悪になり、工場で火災や事故が多発しています。

本作も2015年にマニラで72人が亡くなった工場火災がヒントになっているようです。

本作ではクリスティーンへの呪いの象徴としてマダニが登場しますが、マダニは対象物の血を吸い取り、寄生する生物です。

クリスティーンはダイアナが働いていた外注先の工場に寄生しており、ダイアナはクリスティーンの健康状態に寄生しています。

そんな風にそれぞれが相手に寄生し合い、互いを食い物にしているのが現実社会なのです。

そんな現実をロルカン・フィネガン監督は、「ノセボ(害を与えるもの)」として描いていると感じました。

まとめ

出典:『ノセボ』オフィシャルサイト

『ビバリウム』が好きな人は、ハマると思います。

少々生き物の描写やマダニに寄生された人物描写が気持ち悪いので、苦手な人は注意が必要です。

ストーリー構成もしっかりしており、場面の切り替えや繋げ方が非常に上手いので、映画としてのクオリティは非常に高いと感じました。

とても良質な良質なホラー映画ですね。

ニャンコ
ニャンコ
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最後まで読んでくれてありがとうございました。