こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『エール!』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『エール!』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『エール!』が好きになると思いますよ♪
映画『エール!』のあらすじ
フランスの田舎町に暮らすベリエ家は、高校生の長女ポーラ以外の全員が聴覚障害者だったが、「家族はひとつ」 を合い言葉に明るく幸せな毎日を送っていた。
ある日、ポーラは音楽教師からパリの音楽学校への進学を勧められる。
しかしポーラの歌声を聴くことのできない家族は、彼女の才能を信じることができない。
家族から猛反対を受けたポーラは、進学を諦めようとするが……。
・名作『コーダ あいのうた』の原作
・美しいフランスの街並みとポーラの成長を描く
・音楽と手話の融合が本当に素晴らしい
・ラストシーンは大号泣!
本作は2022年に公開され話題となった『コーダ あいのうた』の原作です。
どちらも素晴らしい映画ですが、若干設定が異なります。
そのためどちらの映画も新鮮な気持ちで楽しむことが出来るのがポイントです。
\31日間無料でお試し/
31日以内の解約なら無料♪
映画チケットが最大900円に!
【ネタバレあり】映画『エール!』のネタバレ一覧
ネタバレ①:『コーダ あいのうた』との違い
本作をハリウッドがリメイクした映画が2022年公開『コーダ あいのうた』です。
【あらすじ】
豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。
陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。
すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。
だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。
悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意する。
家族構成、職業の違いなどはありますがストーリーはほぼ一緒です。
『エール』も素晴らしい映画なのですが、個人的には『コーダ あいのうた』の方が主人公の心情の変化を詳細に描いているので感情移入がしやすかったのが事実です。
そんな本作とリメイク版『コーダ あいのうた』の大きな違いは次のとおりです。
①家族の職業の違い
・『コーダ あいのうた』→漁業
・『エール!』→酪農
②家族構成の違い
・『コーダ あいのうた』→父親、母親、兄、主人公(ルビー)
・『エール!』→父親、母親、主人公(ポーラ)、弟
③年齢の違い
・『コーダ あいのうた』→ルビー(高校生)
・『エール!』→ポーラ(中学生)
④恋人との関係性の違い
・『コーダ あいのうた』→恋人マイルズと和解し、湖で親睦を深める
・『エール!』→恋人候補ガブリエルと終盤で和解するが、親睦を深める描写はない
⑤家族の危機の違い
・『コーダ あいのうた』→耳が聞こえないことを理由に漁業停止を命じられる
・『エール!』→特に仕事に支障は起きない
ざっとこんな感じでしょうか。
特に「①家族の職業の違い」と「②家族構成の違い」が大きなポイントだと思います。
『コーダ あいのうた』では、家族の職業が漁業だったため、主人公ルビーの心情を表す場所として「海と湖」が重要な役割を果たしていました。
それが本作では家族の職業が酪農となりますので、「海と湖」が登場しません。
また家族構成も異なり、本作では弟、『コーダ あいのうた』では兄となっております。
『コーダ あいのうた』では耳の聞こえない兄がルビーに対して「家族のために犠牲になるな」と言葉をかけました。
これは兄であるが故のプライドがあったのだと思われます。
しかしながら本作は弟です。
弟であるがために『コーダ あいのうた』のように主人公を励ますといった描写が特にありません。
このあたりが大きな違いとなっておりますが、それぞれの特色として楽しめば良いと思います。
ネタバレ②:音がある世界と音がない世界
本作では大きく2種類の人間に分けられます。
つまり”耳が聞こえる人間”と”耳が聞こえない人間”です。
耳が聞こえる=健常者、耳が聞こえない=聾唖者ともいえます。
そんな彼らの最大の違いは、”音がある世界に暮らしているかどうか”ということです。
耳が聞こえる健常者は、音がある世界に暮らしています。
耳が聞こえない聾唖者は、音がない世界に暮らしています。
つまり両者は”同じ場所で暮らしていながらも、「音」という概念においては全く異なる世界観で暮らしている”のです。
その世界観の狭間にいるのがポーラです。
ポーラは耳が聞こえる健常者でありながらも、耳が聞こえない両親に育てられました。
そのためポーラは、”音がある世界に暮らしながらも、音がない世界も理解している”という立ち位置なのです。
そんなポーラが耳の聞こえない両親、特に父親にポーラの持つ歌声の素晴らしさを表現した名シーンがあります。
それがポーラの通う中学校で開かれた合唱コンサートです。
多くの観客は耳が聞こえるので、ポーラの素晴らしい歌声を心地良い音として捉えることが出来ます。
しかしポーラの両親は耳が聞こえませんので、ポーラがどんな歌声であり、それが上手いのか下手なのかも判断することが出来ません。
しかしポーラの父親は、周囲の人々(健常者)がポーラの歌声に酔いしれ、心地良くリズムに乗ったり、歌声に感動して涙する姿を目にしました。
つまり”周囲の人々(健常者)の姿を通して、ポーラの持つ歌声の素晴らしさに気づいた”ということです。
そして衝撃的なのが合唱コンサートの途中で、音が聞こえない演出として無音状態で映像だけを流したことです。
この演出により”耳が聞こえる(健常者)、つまり音がある世界に暮らす人々が音がない世界を追体験出来る”ようになっています。
このシーンになったとき、心の底から魂が震えましたね!
これこそが映画体験の真骨頂だと確信しました!
私たち観客を音がない世界に連れて行ってくれるだけではなく、父親がルビーの歌声に気がつくきっかけにもなるなんて・・・まさに映画史に残る名シーンだと確信しています。
この演出はリメイク版である『コーダ あいのうた』でも登場しました。
どちらも主人公の歌声の素晴らしさに父親が周囲の人々の姿を通じて気がつく、そんな素晴らしいシーンに仕上がっています。
ネタバレ③:ポーラの選択と家族の選択
ポーラの持つ歌声の素晴らしい才能に気づいた両親ですが、なかなか現実は上手くいきません。
もしポーラが自らの夢を追いかけ、パリの音楽大学に行ってしまう=家族を見捨てる、ということになってしまうからです。
本当であれば夢を追いかけたい、でもそれは同時に家族を見捨てることになってしまう・・・悩んだポーラが選択した未来は「家族の元に残る」というものでした。
そんなポーラの気持ちを理解し、夢の後押しをしたのは他ならぬ家族でした。
”ポーラの才能を伸ばし、幸せな人生を過ごしてもらいたい”、そう考えた家族はポーラをパリの音楽大学の試験会場まで車で運びます。
このときのポーラの気持ち、家族の気持ちを考えると胸が暖かい気持ちで一杯になります♪
ネタバレ④:音楽と手話が融合した新しい世界
家族の後押しもあり、夢であるパリの音楽大学の試験会場に辿り着いたポーラですが、あまりに突然だったため楽譜も衣装も何もかも準備出来ておりません。
そんなポーラの危機を救ったのは、恩師であるトマソン先生でした。
トマソン先生は、ポーラの恋人ガブリエルから「ポーラが試験を受けることになった」という知らせを受け、車を走らせて試験会場まで来てくれたのです。
そんなポーラが選んだ曲は、ミッシェル・サルドゥの「青春の翼(Je Vole)」です。
この曲の歌詞にポーラの想いが込められています。
それは、”逃げるんじゃない、飛び立つんだ”という歌詞です。
かつてポーラが夢を諦めた原因、それは「家族を見捨てると思われたくない」という想いからでした。
本当は「家族を見捨てるわけではなく、新しい未来に向かって旅立つんだ」という想いなのですが、まだ中学生であるポーラは想いを整理することも上手く伝えることも出来ません。
そんなポーラが家族に想いを伝える方法が他ならぬ歌でした。
しかし歌だけでは耳の聞こえない家族に想いを伝えることが出来ません。
ポーラの家族は耳が聞こえない、つまり”音がない世界で暮らしている”からです。
そのためポーラは歌声と共に手話で家族に想いを伝えます。
こうすることで音楽と手話を融合させた空間、つまり”音がある世界と音がない世界を融合させた新しい世界を創り上げた”のです。
その結果が試験最後に試験官が言う「いい選曲だ」に凝縮されていると思います。
まさにポーラと家族のために編み出された曲と言っても過言ではないでしょう。
ネタバレ⑤:ラストシーンで手話がなかった理由
感動のラストシーンですが、本作とリメイク版である『コーダ あいのうた』は少し違いがあります。
『エール!』
①ポーラは車を止めて家族の元へ引き返し、熱い抱擁を交わす
②熱い抱擁を交わした後、セリフや手話を交わすことなくポーラは未来に向かって走り出していく
『コーダ あいのうた』
①ルビーは車を止めて家族の元へ引き返し、熱い抱擁を交わす
②熱い抱擁を交わした後、車の中から「愛している」の手話を家族に向けて送る
もちろんどちらも感動するラストシーンであることには変わりありません。
しかしリメイク版である『コーダ あいのうた』のほうが、本当の別れ際に「愛している」の手話を家族に向けて送ることで、より一層主人公の家族に対する想いが表現されているように感じます。
色々と理由はあるかと思いますが、おそらく意図的に「愛している」の手話を使わなかったんだと思います。
ポーラの家族に対する想い、「愛している」の気持ちは家族に充分に伝わっていました。
それにポーラは中学生、『コーダ あいのうた』のルビーは高校生です。
中学生の年齢で「愛している」を手話で伝えるのって少し不自然だと思うんですよね。
だからこそ本作では「愛している」の手話は使わず、ポーラが未来に向かって走り出していくラストシーンにしたのだと思います。
映画『エール』の感想
出典:映画com
耳の聞こえない両親に育てられた少女ポーラが、夢を叶えるため未来に向かって走り出すストーリーに涙が止まりません。
それほどまでに感動する映画です。
家族との繋がりも決して消えることなく、夢のある未来に向かって苦悩しながらも走り続けるポーラの姿には、思わず応援したくなることでしょう。
”音が聞こえる世界と音が聞こえない世界”、その世界を一瞬でも体験出来る合唱コンサートの無音状態は、まさに映画ならではの映像体験だと思います。
そして周囲の人々の反応から娘ポーラの歌声の素晴らしさを理解する父親・・・もう感動するシーンしかない映画ですね。
また音楽大学の試験でポーラが選曲した、ミッシェル・サルドゥの「青春の翼(Je Vole)」は、ありのままのポーラの心情を表現した素晴らしい曲です。
まとめ
リメイク版『コーダ あいのうた』も素晴らしいですが、やはり原作である『エール!』も負けず劣らず素晴らしい映画です。
しかし強いて言うのであれば、『コーダ あいのうた』のほうが主人公の心情の変化をより丁寧に描いていると思います。
とはいえ、どちらも素晴らしい映画であることには変わりありません。
是非どちらの映画も楽しんでください。
\31日間無料でお試し/
31日以内の解約なら無料♪
映画チケットが最大900円に!
最後まで読んでくれてありがとうございました。