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【ネタバレ】『君たちはどう生きるか』考察【タイトルの意味・テーマとラストシーンについて】

こんにちは、ニャンコです。

このブログは映画『君たちはどう生きるか』のこんな疑問に答えていきます。

・見所ポイント

・ネタバレ一覧

・感想と考察

ニャンコ
ニャンコ
【ブログを書いているのは、こんな猫♪】

①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
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映画『君たちはどう生きるか』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。

まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・

きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『君たちはどう生きるか』が好きになると思いますよ♪

映画『君たちはどう生きるか』のあらすじ

眞人は東京大空襲で病院に入院していた母親を亡くしてしまい、1年後に父親に連れられ、亡くなった母親の実家にやってくる。
父親は母親の妹であるナツコと再婚しており、ナツコのお腹の中には子供が宿っていた。

眞人は訪れた母親の実家で、言葉を話す不思議なアオサギを見かける。
そしてある日、ナツコが行方不明となってしまい、眞人は不思議な世界へと迷い込んでいく・・・

・宮崎駿監督の集大成であり、頭の中を映像化した映画

・とにかく難しい、過去一考察が必要なジブリ映画

・宣伝や事前情報一切なし!異色の映画

・タイトルの意味がわかると、前向きな気持ちになれる

宣伝や予告などの事前情報一切なしで公開された衝撃作です。

本当に公開日まで何の情報も入ってこなかったですからね・・・こんな映画、他にありましたっけ?

ちなみに宣伝や予告が一切なかった理由は、スタジオジブリ1社のみの単独出資だからです。

とことんやりたいことをやりたいようにやる、そんな熱意が伝わってきます。

本作の監督は、日本が誇る巨匠である宮崎駿監督です。

宮崎駿監督は、2013年公開の『風立ちぬ』の際、記者会見を開いて引退を表明していましたが、本作は引退宣言を撤回し、10年ぶりとなる最新作として話題を呼んでいました。

本作のタイトルですが、本が好きな人であれば吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』をまっさきに頭に思い浮かべたのではないでしょうか。

もちろんこの小説も本作中に登場しますが、本作の内容は全くのオリジナルであり、小説の内容は一切関係ありません。

そして過去一に考察が難しい映画です。

正直な話、ジブリ映画の垣根を超えてしまったくらい、ものすごい内容に仕上がっています。

当ブログでは、『君たちはどう生きるか』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。

ニャンコ
ニャンコ
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【ネタバレあり】映画『君たちはどう生きるか』のネタバレ一覧

ネタバレ①:時代設定

出典:IMDb

本作の時代設定は、”関東大空襲があった1944年”です。

また眞人の母親が送った、吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』には「昭和12年(1937年)」と書かれていました。

これは、吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』が1937年に出版されたからであり、眞人の生年月日には関係ないと考えられます。

ニャンコ
ニャンコ
最初は生年月日かと思ったけど、そうなると眞人が7歳になっちゃうんだよなー
ミケ猫
ミケ猫
どう見ても、眞人は7歳ではないな笑

眞人の外見や内面、そして身体能力を見る限り、年齢は12歳ぐらいかと思われます。

そして冒頭5分で眞人は、母親を関東大空襲の火災で亡くしてしまいます。

とても悲しいシーンなのですが、気になるシーンが1つあります。

というのも、”母親が火事に巻き込まれているかもしれないのに、わざわざ眞人が着替えをするために家に戻っている”んですよね。

こんな一大事にわざわざ着替えに家に戻りますかね?

これには眞人の性格が影響しているかと考えられます。

眞人は非常に生真面目な生活であり、習慣や風習を大切にしていたはずです。

そして習慣から外れた行動をしてしまうと、何か良からぬ結果を招いてしまうと考えていたのでしょう。

こんな冒頭5分で眞人の行動原理や性格を表現するとは・・・流石は宮崎駿監督ですね。

ネタバレ②:モデルとなった作品

本作には、”モデルとなったアイルランド人が書いた児童文学”があります。

宮崎駿監督は、毎月3〜5冊の児童文学に目を通すのが日課らしく、どうやらその中の1冊が目に止まったそうです。

ニャンコ
ニャンコ
詳しくは、「スタジオジブリ物語」という本に書いてあるよ♪

具体的なタイトルは公表されていないのですが、調べたところ「失われたものたちの本」がモデルとなっているそうです。

そして本作と共通点がいくつかあります。

①第二次世界大戦中のイギリスが舞台

②主人公がデイヴィッドという12歳の少年

③デイヴィッドは母親を亡くしており、父親が再婚し後妻が妊娠している

④母親を見つけるために、異世界へ旅立つ

⑤カワサギの皮を被った、ねじくれ男が登場する

⑥世界を継がせようとする老王が登場する

⑦デイヴィッドは、老王から世界を継がない選択をする

ニャンコ
ニャンコ
かなりの共通点があることがわかるね♪

特に母親を探して異世界に旅立つシーンは、本作の眞人の行動を連想させますよね。

そんなモデルとなった児童文学を読んで、宮崎駿監督は3つの宣言をしました。

①引退宣言の撤退

②この本には刺激を受けたけど原作にはしない。オリジナルで作る。そして、舞台は日本にする。

③全編、手書きでやる

これを82歳になる宮崎駿監督が宣言しているんですからね、もう驚きです!

ネタバレ③:タイトルの意味

出典:IMDb

タイトルのモデルとなっているのは、”宮崎駿監督が影響を受けたと言っている、吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』”からきています。

しかし本作のタイトルの意味は、かなり意味合いが異なっています。

本作のタイトルの意味は、”世界創造の秘密を知り、過去は決して変えられないと知ったうえで、君たち(=観客)はどう生きるか”ということを問われているのです。

本作は非常に理解することが難しいのですが、1つだけはっきりしていることがあります。

それは、”現実世界は1つだけであり、ご都合主義の並行世界(=マルチバース)は存在しない”ということです。

ミケ猫
ミケ猫
マルチバースって、色々な世界があるってことだよね?
ニャンコ
ニャンコ
よくMCU(マーベル)映画で登場しているよね

マルチバースの世界であれば、何か人生の選択を変えてしまえば無数の世界が誕生していきます。

しかし私たちが生きる現実世界は、そんなご都合主義ではなく、人生の選択を変えれば、変えた後の現実世界が残るだけです。

そして現実世界では、過去は絶対に変えることが出来ません。

本作でも眞人の母親ヒミが火事で亡くなってしまう、という過去を変えることはできませんでした。

詳細は後ほど詳しく説明しますが、ヒミは自分が火事で死ぬことをわかっていながらも元の世界に戻っていきます。

つまり、”過去は絶対に変えることが出来ない、という当たり前の事実を受け入れている”ということです。

対して変えることが出来るものあります。

それが「未来」です。

つまり本作は、”未来を変えるために、どのように生きるのか”ということも合わせて観客に問いていると考えられます。

ネタバレ④:大叔父の創造した世界

出典:IMDb

本作の舞台となる、現実世界の下の世界は、”石の力で創造主となった大叔父が創造した世界”です。

そんな大叔父の目的は、”愛と平和に満ちた世界を創造するため、血筋を引いた人物を後継者にする”ことです。

ミケ猫
ミケ猫
どういうこと?

まず大叔父が創造主になった過程を整理します。

①大叔父の一族が暮らす敷地内に空から石が降ってくる

②石の衝突から30年後、大叔父が石を発見し、保護するために周囲に塔を建てる

③大叔父は塔内で研究に没頭し、疾走する

④創造主大叔父の爆誕

ざっとこんな感じですね。

そしてどうやら、大叔父は石と契約しているんですよね。

その内容が、”大叔父と同じ血筋の人物だけが、世界を創造することが出来る”というものなんです。

ちょっと石の目的が定かではありませんが、石は宇宙からやってきたので超科学的な存在、もしくは超常現象的な存在なんでしょうね。

そんな石が大叔父と契約し、世界創造を大叔父の一族に任せているのですから不思議でなりません。

まあそれは置いておくとして、大叔父が創造した世界は、海や水で満ちています。

この理由は、”大叔父は「平和=水」、と考えている”からです。

というのも、大叔父は眞人に向かって、「これから世界は火の海になる」と言っています。

火の海とは、”戦争や飢饉、自然災害などを表しており、真人の直近の出来事ですと、第二次世界大戦を終結させた広島と長崎の原子力爆弾投下が該当する”と考えられます。

大叔父にとって火とは、世界を破滅させる存在そのものなんでしょうね。

だからこそ、「火」とは真逆の存在となる「水」で満ちた世界を創造したのだと考えられます。

ネタバレ⑤:インコの正体と目的

出典:IMDb

本作には、特徴的な姿をしたインコが登場します。

人間みたいに二足歩行で行動し、そして言葉も話すんですよね。

そんなインコの正体は、”大叔父が現実世界から連れてきたペット”です。

ニャンコ
ニャンコ
大叔父が「現実世界から連れてきた」的なことを言っていたよね

集団で行動し、眞人やヒミを食べようとする姿は、『千と千尋の神隠し』を連想しました。

現実世界での大叔父は、大金持ちであり、また様々な文化を学んでいたことから、日本にはまだいなかったインコを海外から取り寄せていたんでしょうね。

そしてペットとして飼っていたインコを創造世界に持ち込んだ、ということが考えられます。

そんなインコですが、創造世界ではヒエラルキーの頂点に君臨しております。

知能、武力、数ともに創造世界はインコの帝国と化していますね。

これらのインコは、”現実世界での人間を表現している”と考えられます。

特に吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』で主人公のコペル君が、「人間は分子みたいだ・・・」と言い、「人間分子の関係、網目の法則」を発見しました。

ニャンコ
ニャンコ
コペル君が発見した「人間分子の関係、網目の法則」はこんな感じだね♪

人間分子は、みんな、見たこともあったこともない大勢の人と、知らないうちに網のようにつながっているのだと思います

そのためインコたちも、コペル君が発見した「人間分子の関係、網目の法則」に則り、それぞれが繋がり合う関係性を構築しようとしていたと考えられます。

つまりインコたちの目的は、”現実世界の人間のように、お互いを支え合う社会を作り上げること”です。

まあこの目的は、インコだけではなく、大叔父の目的であったとも考えられますが・・・

そんなインコですが、インコの大王が大叔父の積み上げた13個の積み木を切り捨ててしまったことにより、現実世界のインコの姿に変わってしまいます。

今まで積み上げてきた努力が一瞬で塵と化す・・・そんな人生の切なさを表現していると感じました。

ネタバレ⑥:ヒミの正体と目的

出典:IMDb

ヒミの正体は、”火事で亡くなった眞人の母親であり、ナツコの実姉”です。

冒頭5分の火事で亡くなってしまった女性ですね。

そんなヒミですが、眞人の母親とは思えないような少女の姿で登場しています。

これは、”子供の頃に神隠しで失踪してしまったヒミだからであり、だからこそ少し幼い姿をしている”ことがわかります。

ニャンコ
ニャンコ
ヒミは子供の頃に失踪し、1年後に何事もなかったかのように戻ってきたんだよね

ヒミは子供の頃に大叔父の建てた塔に迷い込んだ、もしくは大叔父に呼ばれて塔に辿り着き、大叔父が創造した下の世界に辿り着いてしまったんでしょうね。

そんなヒミですが、特徴として火を自由自在に操ることが出来ます。

ミケ猫
ミケ猫
どうして火を操ることが出来るんだろう?

これは、”ヒミは自分の死因が火事であることを時の回廊の扉を通じて知っていたため、そんな未来を変えるために火を操る術を身につけた”ということが考えられます。

詳細は後ほど詳しく説明しますが、時の回廊の扉に設置されている窓を覗けば、その時代に何が起こるのかを見ることや知ることが出来ます。

おそらくヒミは、未来の世界の扉の窓を覗き、自分が火事で死んでしまうことを知ってしまったのでしょう。

だからこそ、そんな未来を変えて、眞人と一緒に暮らす人生を歩むためにも火を操る術を身につけたんだと思います。

もしくは、単に眞人が母親の死を連想させる火をヒミに重ねた、というわかりやすい理由もあるかと思いますが、ヒミは眞人が下の世界に来る前から火を操る術を身につけているので、可能性は薄いかと思いました。

しかし結果として、ヒミの未来は眞人の過去でもあるのです。

ミケ猫
ミケ猫
どういうこと?

つまり、”眞人の過去を変えることは出来ないので、ヒミの未来を変えることは出来ない”ということです。

残念ながらヒミを待ち受けている運命、火事で亡くなってしまうという未来を決して変えることは出来ないんですよね。

しかしラストシーンで判明しますが、ヒミは眞人の母親になるために元の世界に戻る選択を行います。

それが神隠しで疾走してから1年後であり、同時に記憶をなくしていたことになるんですよね。

いやはや、母は強しとはまさにこのことです。

ネタバレ⑦:キリコの正体と目的

出典:IMDb

キリコの正体は、”神隠しにあったヒミを助けるため、大叔父の世界に迷い込んでしまった若い頃のキリコ婆さん”です。

どうやら長い時間を大叔父の世界で過ごしていたため、記憶はすっかり失われているようですね。

そんなキリコですが、なぜか眞人の時代にいたお婆ちゃんたちの人形を持っており、この人形が後に重要な役割を果たすことになります。

ニャンコ
ニャンコ
詳細は後ほど説明するよ♪

この人形には、魂が込められています。

おそらくキリコは、大叔父の世界に迷い込んでしまった後、時の回廊に辿り着いたのでしょう。

そこでヒミの安否を確かめるために、未来の世界を扉から覗いたはずです。

そして自分を含めておばあちゃん達が、ヒミの息子である眞人を世話している様子を見たのでしょう。

もしかしたら眞人がナツコを探しに、大叔父の世界に来るところも見たのかもしれません。

だからこそキリコは、眞人を守るために魂を込めた人形を作成したのだと考えられます。

つまりキリコの目的は、”主人であるヒミの息子眞人を、元の時代に戻すこと”でしょう。

しかし長い年月を大叔父の世界で過ごしているキリコは、少しずつ記憶や目的が失われていったため、眞人のことを明確に覚えていないのだと考えられます。

ネタバレ⑧:ペリカンがワタワタを食べていた理由

出典:IMDb

ペリカンがワタワタを食べていた理由は、”戦争や飢餓、自然破壊の影響で、本来は生まれるはずだった赤ん坊の魂を食べている”だと考えられます。

ワタワタが空に向かっていく姿を見て、キリコが「上の世界で新しい人間の命に生まれ変わる」と言っていました。

つまりワタワタは、”生まれてくる赤ん坊の魂である”ということが考えられます。

そんな生まれてくるはずの赤ん坊の魂であるワタワタを、突如ペリカンが食べていました。

本来であれば生まれてくる存在であるにもかかわらず、それをペリカンが邪魔をしているのです。

これは、”ペリカン=戦争や飢餓、自然災害といった存在、創造主である大叔父が「火」と捉える存在”だということです。

「火」という存在を具現化するとペリカンになる、といった感じでしょうか。

ネタバレ⑨:ナツコが産屋に入った理由

出典:IMDb

ナツコが産屋に入った理由は、”出産時の汚れた血を隠し、眞人を守り、そして無事に赤ん坊を出産するため”です。

そもそも産屋というのは、出産時の出血が穢れとされていた時代に、妊婦が周囲から離れて過ごすために用意された部屋のことです。

もちろんナツコもそのことを知っており、出産時の穢れた血を夫や眞人には見せたくなかったため、産屋に入ったと考えられます。

そして同時に眞人を守るためでもあったのです。

ミケ猫
ミケ猫
どういうこと?

眞人は初めて小学校に行った日、頭に大怪我をし、大出血して帰ってきました。

もちろん怪我の原因は同級生ではなく、父親の怒りを学校に向けさせようとした眞人の自作自演であり、眞人の悪意です。

しかし真相を知らないナツコにとっては、「私の選択が大切な眞人を傷つけたのかもしれない」と思い悩んでしまいました。

そこに出産時の穢れた血を見せてしまっては、さらなる不幸が眞人に降りかかるかもしれない、そう考えたナツコは産屋に入ることを決心したのです。

またナツコはつわりが酷く、非常に苦しんでいました。

だからこそ大叔父の管理下である世界で、安心して子供を産みたいと思ったのでしょう。

ネタバレ⑩:時の回廊について

本作に登場する時の回廊とは、”様々な時代を分け隔てる扉が存在する回廊”のことです。

もちろん作り上げたのは、世界の創造主である大叔父です。

この時の回廊というのが、非常に面白い存在なんですよね。

というのも、”時の回廊に存在する様々な時代は、1つの現実世界”ということなんです。

ミケ猫
ミケ猫
どういうこと?
ニャンコ
ニャンコ
マルチバースではないってことだよ

よくMCU(マーベル)映画などで描かれているマルチバーストは、人生の選択が無数に枝分かれした並行世界のことであり、世界は1つではなく無数に存在していることを表しています。

しかしながらマルチバースって、あくまでご都合主義なんですよね。

だって何か失敗や悪事をしても、その先でマルチバースが発生しているわけですからね。

そんな都合の良い世界が本当に存在するんでしょうか。

そんなマルチバースを本作は、バッサリと切り捨てています。

時の回廊の扉の先は、あくまで1つの現実世界をそれぞれの時代なのです。

だからこそ現実世界に影響を与えてしまう行為、例えば「ヒミを元の世界に戻さない」という一見ハッピーエンドと思う行為をしてしまうと、”ヒミが元の世界に戻らない→眞人が生まれない→ヒミが火事で死なない→ナツコが子供を生まない”という現実世界が創造されてしまうのです。

その事実を知っているからこそ、ラストシーンでヒミは元の世界に戻っていったわけですね。

ちなみに眞人が元の世界に戻るためにくぐり抜けた扉には、数字の「132」が刻まれていました。

なぜ数字の「132」なのかはわかりませんでしたが、扉を探している最中にヒミが「しゃべらないで!計算が出来ない」と言っていたので、おそらく何かしらの方程式で時代を判別しているんでしょうね。

ネタバレ⑪:独自の進化論

出典:IMDb

大叔父の世界から時の回廊を通じて異なる時代に辿り着いてしまった生物は、独自の進化論に基づき姿を変えます。

1番わかりやすい例がインコですよね。

大叔父の世界で大繁殖したインコですが、眞人の世界に辿り着いた瞬間、よく見かける可愛らしいインコの姿に変化しました。

これは、”その時代に応じた姿に変わる、独自の進化論に基づいた”ということが考えられます。

しかし問題なのは、独自の進化論が退化かもしれない、ということです。

というのも、インコたちは大叔父の世界で飛び回る可愛らしいインコを見かけて「ご先祖様だ」と言っていました。

これは普通の可愛らしいインコの姿が、大叔父の世界のインコたちにとってはご先祖様、つまり”進化ではなく退化している姿”だということがわかります。

しかしアオサギのように、明らかに対価ではなく進化している生物がいることも事実です。

そのため独自の進化論が生物を進化させるのか、もしくは退化させるのかはその時代に左右される、ということがわかります。

ネタバレ⑫:眞人が選んだ道・選択

出典:IMDb

眞人は、大叔父の跡を継がずに元の時代に戻る選択をしました。

これには、”自らの人生は、自分の足で歩む”という眞人の固い決心が見てとれます。

大叔父の跡を継ぐということは、”自らにとって都合の良い世界を創造する”ということです。

もちろん、それも立派な選択だとは思いますが、それでは自分の人生を歩んでいることにはなりません。

本当の幸せとも呼べません。

だからこそ眞人は、辛いかもしれないが理想ではなく現実を追い求める選択をしたのだと考えられます。

ネタバレ⑬:13個の積み木が表すもの

積み木は、”他人の人生や考え方、そして経験を表している存在”です。

大叔父は眞人に対し、「13個の石を、3日に1個ずつ積んでほしい」と頼んでいました。

ミケ猫
ミケ猫
なんで13個なの?

積み木が13個ある理由は、”宮崎駿監督の作品が合計13品だから”です。

ニャンコ
ニャンコ
13作品をまとめてみたよ♪

1)ルパン三世 カリオストロの城

2)風の谷のナウシカ

3)天空の城ラピュタ

4)となりのトトロ

5)魔女の宅急便

6)紅の豚

7)On Your Mark

8)もののけ姫

9)千と千尋の神隠し

10)ハウルの動く城

11)崖の上のポニョ

12)風立ちぬ

13)君たちはどう生きるか

つまり積み木を13個積むということは、”宮崎駿監督の人生や経験を礎をし、新たなる時代を切り拓いてほしい”ということになります。

しかし眞人は、そのお願いを拒み、元の現実世界に戻る選択をしました。

この選択には、非常に大きな意味があります。

眞人の選択は、”他人の人生や考え方、そして経験に左右されることなく、自分の考えで人生を歩む”ということなのです。

確かに積み木を積んでいく人生のほうが効率的なのかもしれません。

しかし積み木を積んでいく人生、つまり他人の考え方に染まってしまった人生は、本当に自分の人生なのでしょうか。

そして本当に幸せな人生を歩むことが出来るのでしょうか。

人生って効率的かつ長生きをすれば良い、というものではないと思うんですよね。

「自分が正しいと思った選択を行い、立派な人間として人生を全うすること」、これが人生だと思うんです。

きっと眞人もそのように考えていたからこそ、大叔父の誘いには乗らず、元の現実世界に戻る選択を行ったのだと信じています。

ネタバレ⑭:アオサギ=高畑勲

出典:IMDb

本作の案内係とも言えるアオサギですが、”モデルがこの映画の制作中に亡くなった高畑勲監督である可能性”が非常に高いと考えられます。

そう考えられる根拠は、次のとおりです。

①宮﨑駿(眞人)と高畑勲(アオサギ)は アニメ制作仲間であり、特に高畑勲監督が亡くなった後、映画の制作中に影響を受けた可能性がある

②アオサギ(高畑勲)は、宮﨑駿をアニメの世界に誘い、仲間として信頼し合うようになるが、互いにケンカもする

③宮﨑駿は高畑勲に対して、愛憎入り混じる感情を抱いており、高畑勲に対する想いをアオサギのキャラクターに込めた可能性がある

④アオサギのキャラクターは、実際の高畑勲の性格を反映しており、宮﨑駿はそれを「醜くてちっともかわいくないが、なんとも人間くさくて好きになってしまう」と表現していた

⑤眞人とアオサギが「ウソツキ」についての問答をしていたことは、アニメ業界の新人迎え入れやウソにまつわるブラックなジョークを表している可能性がある

このように、アオサギ=高畑勲である可能性が非常に高いんですよね。

そう考えると、なんだかアオサギが可愛らしく感じてきました。

ネタバレ⑮:ラストシーンについて

ラストシーンでは、眞人とナツコ、そしてキリコが無事に元の世界に戻り、インコたちは一斉に退化しました。

特に印象的だったのは、眞人が記憶を失っていないことですね。

アオサギ曰く、「キリコの人形と積み木を持ってきたから」ということですが、本当にそうなのでしょうか。

もちろんアオサギの言っていることもわかるのですが、理由はそれだけじゃないと思うんですよね。

眞人は大叔父から世界創造の後任者として選ばれていました。

血筋のこともありますが、それ以外にも眞人の内に眠る何かに注目していたはずです。

その何かとは、”自らの人生を歩む、という固い決心”です。

その固い決心に、キリコの魂がこもった人形、そして他人の人生が詰まった積み木が掛け合わさることで、眞人は記憶を失わなかったのだと考えられます。

また本作は、戦後2年が経過した1947年で幕を閉じます。

ナツコに無事子供が産まれ、お兄さんとなった眞人がどのような人生を歩んでいくのか・・・それは眞人にしかわかりません。

でも人生ってそういうものですよね?自分の人生は自分にしかわからない。

そんなメッセージを受け取ったような気がしました。

映画『君たちはどう生きるか』の感想

出典:IMDb

賛否両論が出る映画だと思います。

昔のような大衆ウケするジブリ映画ではなく、宮崎駿監督が本当に作りたいものを映像化した、という想いがヒシヒシと伝わってきました。

本作の各所に往年のジブリ映画を彷彿とさせるような演出が散りばめられているんですよね。

冒頭5分で、「風立ちぬ」かと思われておきながら、大叔父の世界は「崖の上のポニョ」、塔の内部は「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」、そして可愛いワタワタは「もののけ姫」を意識していたはずです。

塔をよじ登る姿なんて「天空の城ラピュタ」そのものでしたね。

このように往年のジブリファンを喜ばせるような演出をしておきながら、実際にやっていることは宮崎駿監督の頭の中をそのまま映像化した映画ですからね。

そりゃ意味もわからなくなりますよ。

この映画を正しく理解出来る人なんて、宮崎駿監督以外いないんじゃないんでしょうか。

それぐらい強烈な映画でした。

まとめ

出典:IMDb

間違いなく過去一に考察が難しい映画だと断言できます。

一旦考察要素をまとめてみましたが、まだ荒いかと思いますので日々修正や追記をしていきます。

それにしても・・・ジブリ映画って凄すぎません?

ニャンコ
ニャンコ
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最後まで読んでくれてありがとうございました。