こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『みなに幸あれ』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『みなに幸あれ』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『みなに幸あれ』が好きになると思いますよ♪
- 映画『みなに幸あ』のあらすじ
- 【ネタバレあり】映画『みなに幸あれ』のネタバレ一覧
- ネタバレ①:本作のテーマ
- ネタバレ②:冒頭シーンとラストシーンの比較
- ネタバレ③:世界の秘密
- ネタバレ④:祖父母や両親の目的
- ネタバレ⑤:生贄の正体
- ネタバレ⑥:孫の目が赤くなった理由
- ネタバレ⑦:生贄になるメリット
- ネタバレ⑧:味噌の正体
- ネタバレ⑨:叔母の正体
- ネタバレ⑩:幼馴染が生贄を所有しなかった理由
- ネタバレ⑪:孫が生贄になろうとした理由
- ネタバレ⑫:イジメられていた少年が生贄を買って出た理由
- ネタバレ⑬:孫が幼馴染を笑顔で殺した理由
- ネタバレ⑭:祖母から生まれ落ちた赤ん坊の正体
- ネタバレ⑮:ラストシーンに登場した女性の正体
- 映画『みなに幸あれ』の感想
- まとめ
映画『みなに幸あ』のあらすじ
「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」というテーマを下敷きに、とある村を訪れた若い女性がこの世界の特異な成り立ちに疑問を抱き、得体の知れない恐怖に対峙する姿を描いたホラー。
祖父母が暮らす田舎へやって来た看護学生の“孫”は、祖父母との久々の再会を喜びながらも、祖父母や近隣住民の言動にどこか違和感を覚える。祖父母の家には“何か”がいるようだ。やがて、人間の存在自体を揺るがすような根源的な恐怖が彼女に迫り……。
出典:映画com
起:主人公である孫は、久しぶりに田舎に住む祖父母の家を訪れます。
当初は温かい家族の再会を喜びますが、次第に祖父母の家に異様な雰囲気を感じ始めます。
承: 孫は食事中に目と口を糸で縫われた老人が這いずってくるのを目撃し、恐怖に襲われます。
この老人は祖父母によって2階に運ばれ、縛りつけられます。
祖母は孫に「あなたはまだ知らないのねえ」と不穏な言葉を残します。
混乱する孫は、幼馴染の男性の家に助けを求めに行きます。
転: 幼馴染は農業をしており、画家になる夢を諦めていました。
孫は彼に相談し、2人で祖父母の家に戻ります。
彼らは2階の部屋で老人の糸を切り、外に連れ出しますが、その際に祖父母の異常な行動に遭遇します。
その後、孫の家族が到着し、突然の事故で老人は命を落とします。
その後、祖父が血を吐き、両親は孫に「代わりを見つけてきなさい」と迫ります。村の不気味な掟や秘密に疑問を持った孫は、自らの伯母の情報を手がかりに彼女を探し始めます。
結: 孫は山に住む伯母の家を訪れます。
そこで彼女は、村の因習と恐怖の深淵にのめり込みます。
映画のラストシーンでは、孫は村の秘密を受け入れ、その一部となる決断をします。
彼女が最後に微笑む意味は、彼女が村の掟を受け入れ、自らもその一部になったことを示唆しています。
この結末は、社会の不条理と因習の中での個人の選択と葛藤を象徴しており、観る者に深い余韻と問いを投げかけます。
2021年、日本で唯一のホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティション『日本ホラー映画大賞』(主催:KADOKAWA)の初大賞受賞作品です。
主演は、今最も注目を集める俳優の一人で、若手俳優の中でも異なる演技力で評価の高い吉川琴音であり、吉川琴音自身初めてのホラー映画への出演となります。
監督は、『日本ホラー映画大賞』で本作と同名タイトルの短編映画として大賞を受賞した下津勇太です。
そして総合プロデュースを手掛けるのは、日本ホラー映画界の重鎮である清水崇です。
本作は、「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」という、人類の宿命と言ってもいい程深いテーマであり、とある村を舞台に、この世界の特殊な成り立ちに疑問をもった吉川琴音演じる孫が行動を起こすも、「この世界にはある定則が存在し、それを知らないと死ぬことになる…。」という得体の知れない恐怖と対峙していく様子が描かれています。
当ブログでは、『みなに幸あれ』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『みなに幸あれ』のネタバレ一覧
ネタバレ①:本作のテーマ
本作のテーマは、”誰かの不幸せの上に、誰かの幸せは成り立っている”です。
有名な都市伝説として「地球上感情保存の法則」というものがあります。
これは”地球上に住む幸せな人と不幸せな人を足し合わせるとゼロになる”というものです。
真相は定かではありませんが、もしこの都市伝説が本当なのであれば「不幸せな人の数だけ幸せな人な人がいる」ということになります。
つまり”意図的に不幸せな人を増やせば、幸せな人を増やすことが出来る”ということです。
そうなると「世の中全員を幸せにすることは絶対に出来ない」ということになるんですよね。
そのため本作のタイトルである『みなに幸あれ』は、希望と皮肉の意味が両方込められているタイトルになるわけです。
ネタバレ②:冒頭シーンとラストシーンの比較
冒頭シーンでは孫が横断歩道を渡ろうとする老女を手助けしていますが、ラストシーンでは孫は老女を手助けせず、ただ傍観しています。
これは孫の心情の変化を表しており、”自分が幸せになるためには、誰かが不幸せである必要がある”という世界の秘密と真理を受け入れてしまったことを表しています。
誰かを助ける=自分が生贄(弱者)になってしまうことになるので、孫は老女を助けなかったのですね。
逆に近くにいたカップルは、老女を助けていましたが、このカップルは昔の孫同様に世界の秘密をまだ知らないんでしょうね。
ネタバレ③:世界の秘密
孫が気づいてしまった世界の秘密とは、”誰かの不幸せの上に、誰かの幸せは成り立っている”という事実です。
これは有名な都市伝説である「地球上感情保存の法則」に基づいています。
孫は薄々世界の秘密に気づいていたのだと考えられますが、見て見ぬふりをしてきたのでしょうね。
しかし久しぶりに祖父母の家に帰り、生贄の存在を知ってしまった、そして世界の秘密を目の当たりにしてしまい、現実を受け入れることが出来なかったのです。
祖父母や両親、そして周囲の人々の反応を見る限り、大人たちは世界の秘密を理解しており、そして同時に受け入れているのでしょうね。
こんな世界を作り上げたのは神ではなく、紛れもなく人間でしょうね。
現実社会も資本主義の名の下、貧富の差が問題になっています。
つまり本作は”資本主義世界の縮図”と言っても過言ではないということです。
ネタバレ④:祖父母や両親の目的
祖父母や両親の目的は、”家族が幸せになること”です。
しかし家族が幸せになるためには、誰かが不幸せにならなければなりません。
そのためには生贄を用意し、生贄が不幸せな人生を歩む必要があるのです。
しかし世界の秘密を知ってしまった孫と幼馴染が生贄を解放してしまい、挙げ句の果てに生贄は車に撥ねられて死んでしまいました。
そのため家族全員に不幸が降りかかるのです。
だからこそ祖父母や両親は、家族が再び幸せになるために新たな生贄を探すことを孫に命じるのです。
ネタバレ⑤:生贄の正体
生贄の正体は、”誰かを幸せにするために不幸な人生を歩んでいる人間”のことです。
幸せな人生を歩んでいる人物には、必ず対となる不幸な人生を歩んでいる生贄の存在があります。
そして生贄は人間ではなく、家畜として扱われていることが祖父母との食事シーンからわかります。
というのも祖父母は食事中に「豚は食べられるためだけに生きてきた、だから食べられて幸せである」という発言をしており、孫をドン引きさせているんですよね。
これは”生贄は私たちを幸せにするため不幸な人生を歩んでいる、だから幸せなはずである”と言い換えることも出来るため、生贄が人間ではなく家畜扱いされていることが窺えます。
そして生贄は家族の不幸を全て受け止めている存在です。
そのため生贄がいなくなると、対象の家族に不幸が降りかかるのです。
・目から血が流れる
・痙攣する
・笑い出す
・思考停止する
・最後は死ぬ
祖父母が突然うわごとを言ったり、思考停止して固まっていたのは生贄が不幸せではない何かをしていたからなんですよね。
おそらく生贄はこんな不幸せな人生に耐えられず、脱走を企てていたのでしょう。
脱走=生きることの希望と言い換えることも出来ますので、その間は生贄は不幸を受け止めておらず、不幸は家族に降りかかっていたのだと考えられます。
その段階であれば、再び生贄から生きる希望を奪えば症状は治りますが、生贄が死んでいなくなってしまうと不幸は一気に家族に襲いかかるのです。
また生贄は瞼と口を縫われており、見ること、話すことを封じられています。
つまり人間としての人権は一切なく、ただ不幸を受け止め生きているだけの存在ということです。
ネタバレ⑥:孫の目が赤くなった理由
孫の目が赤くなってしまった理由は、”生贄がいなくなってしまったことにより、不幸が降りかかっているから”です。
まだ右目だけが赤いことを考えると、孫の症状は他の家族よりは軽症なのでしょう。
そして孫の目が赤くなってしまったタイミングは、叔母を殺害してしまった後です。
孫は叔母に出会ったことにより、「おかしいのは私ではなく、世界のほうなんだ!」と一途の希望を抱きましたが、結局のところは叔母も孫の家族同様に生贄を所有しており(まぁミイラですが)、挙げ句の果てには孫の手にかかり死んでしまいます。
この瞬間、孫を支えていた唯一の希望と理性が吹っ飛んでしまい、不幸が孫の身にも降りかかり、目が赤くなったのだと考えられます。
ネタバレ⑦:生贄になるメリット
生贄になるメリットは、”何も考えずにただ単に生きていくことが出来ること”です。
しかし生贄が「自由に幸せに生きたい」という意志が高まると、生贄を所有している人物に影響が出るようですね。
実際に孫の祖父母は、生贄が脱走を行おうとしていると、意味不明な言葉を発したり、突然思考停止しており、脱走を企てた生贄を元の場所に戻すと症状は治っていました。
以上のことから、生贄は常に思考停止の状態にしておく必要があり、そのために瞼や口を縫って、何事も見たり考えたり、そして発することを出来なくしていたわけなんですね。
ネタバレ⑧:味噌の正体
味噌の正体は、”生贄の身体から取り出した不幸”だと考えられます。
生贄のお腹には、何か傷口を覆うようなガーゼが貼られており、そこからチューブが伸びておりました。
また昔から「人の不幸は蜜の味」とも言います。
そのため味噌は、”生贄の身体から取り出した不幸をお湯で薄め、味噌汁として食することで蜜の味となる”ということが考えられます。
きっと「生贄が不幸になればなるほど、美味しくなる味噌」なんでしょうね。
ネタバレ⑨:叔母の正体
叔母の正体は、”孫の未来の姿”です。
叔母は孫同様に他人を不幸せになることを否定し、1人山奥で暮らしている世捨て人です。
そのため孫は叔母に会って話をすることで、「狂っているのは自分ではなく世界のほうだ!」という確信を得たかったんですよね。
叔母は「全ては幻であり仮想現実。死んだら上の世界に行けるからそのために生きている」と発言しており、どこか空想的でありながらも生贄の風習には反対している雰囲気がありました。
また叔母は、「他人の目が自分の幸せの物差しになっている時点で私たちはどうやっても幸せになれない」とも発言しており、幸せについて真髄を突いているようにも見えました。
そのため孫もどこか安堵した気持ちになっているんですよね。
しかし現実はそう甘くはありませんでした。
叔母は既に狂っており、生贄も所有しておりました。
生贄は既に死亡しており、ミイラ化していましたが瞼と口を縫われておりましたので生贄で間違いありません。
そして叔母は孫が楽しく薪割りするため振りかざした斧に自らの頭を突っ込み、孫に自分を殺させてしまうんですよね。
信頼していた叔母を殺してしまった、そして叔母も生贄を所有していた、この2つの現実を受け入れることが出来ず、孫は遂に狂ってしまうのです。
ネタバレ⑩:幼馴染が生贄を所有しなかった理由
幼馴染は生贄を所有していない人物です。
そのため不幸を自分や家族が受け入れていることになります。
幼馴染が生贄を所有しなかった理由は、”みなが幸せになれる方法があると信じている”からです。
生贄を所有するということは、生贄となる人物が不幸になるということです。
これは都市伝説である「地球上感情保存の法則」に基づいています。
しかし現実は甘くはなく、幼馴染の父親は身体を壊して死んでしまいますし、幼馴染も夢を追うことが出来ず、田舎に閉じ込められた人生を強いられています。
そして最終的には、孫の生贄になってしまうのです。
つまり不幸が降り注いでいる状態ということですね。
ネタバレ⑪:孫が生贄になろうとした理由
孫は自ら生贄になろうとした理由は、”誰かを不幸にしてまで幸せになりたくなかったから”です。
そのため自ら瞼を縫い付けようとしましたが、あまりの激痛に瞼を縫うことが出来ませんでした。
祖母も言っていましたが、結局は自分が1番可愛かった、ということですね。
そして孫はその事実に気づいてしまい、自ら生贄になることが出来なかったのです。
ネタバレ⑫:イジメられていた少年が生贄を買って出た理由
同級生にイジメられていた少年は、幼馴染同様に生贄を所有していない人物です。
そのためイジメという不幸を受け止めています。
しかし少年は、自分より弱い少年をイジメの対象とすることで一時的に不幸から抜け出すことが出来ました。
そんな少年が孫に生贄を買って出た理由は、”誰かの不幸せの上に幸せが成り立っている人生に絶望したから”です。
少年は幼馴染のように心優しく、生贄を所有しておりませんでした。
そのため不幸が降り注いでいましたが、それも自分の定めと信じて受け入れてきました。
しかしイジメという不幸に耐えることが出来なくなり、遂には自分もイジメる側へと回ってしまったのです。
この出来事は少年の心に深い傷を残し、「他人を不幸にしてまで生きることに、いったい何の意味があるのだろうか?」と疑問を抱き、人生に絶望したはずです。
だからこそ孫に対して、自ら生贄になることを買って出たのです。
ネタバレ⑬:孫が幼馴染を笑顔で殺した理由
孫が幼馴染を笑顔で締め殺した理由は、”誰かの不幸の上に幸せが成り立つ現実を受け入れたから”です。
孫は必死に現実を受け入れまいと戦ってきましたが、信じていた叔母の死を目撃してしまい、気が狂ってしまいました。
また幼馴染の父親が死んだことで、「生贄がないと自分に不幸が降り注ぐ」という現実を再認識してしまったのです。
加えて孫は、自分可愛さのゆえに自ら生贄になることも出来ないとわかっています。
だからこそ幼馴染を生贄にすることで、”自分には不幸が降り注がない、そして自分が生贄になる必要もない”と安堵し、笑顔で幼馴染を殺したのです。
ネタバレ⑭:祖母から生まれ落ちた赤ん坊の正体
祖母から生まれ落ちた赤ん坊の正体は、”不幸そのもの”です。
呪いと言い換えてもいいでしょう。
人のような形をしておりますが、この姿は仮初のものであり、おそらく見る人によって姿が変わるのだと考えられます。
おそらく家族の中で1人だけ、不幸を多く受け取る役目を担った人物がいたのだと考えられます。
ネタバレ⑮:ラストシーンに登場した女性の正体
ラストシーンに登場した女性の正体は、”自分が幸せになるため、生贄を捧げるという現実を受け入れていなかった昔の孫”です。
女性は2階の窓から孫と婚約者を見つめており、孫と視線が合うとカーテンを閉じていました。
最初は、「生贄を所有している2階の部屋を隠したかったのかな?」とも考えましたが、生贄を所有していることは犯罪でもなく、世界の常識ですので別に隠す必要がないんですよね。
そう考えると孫を見つめていた女性は、”他人の不幸の上に成り立っている幸せを楽しんでいる孫を軽蔑して見つめていた”ということになります。
映画『みなに幸あれ』の感想
「幸せは誰かの不幸の上に成り立っている」、という誰もが認識していながらも言葉にしない現実を見事に映像化している新しい村ホラー映画です。
序盤から意味不明かつ陰湿な雰囲気が漂っており、映画の世界観にのめり込みました。
久しぶりに帰る祖父母の家の雰囲気に親近感が沸き、懐かしい気持ちにもなりましたね。
序盤も十分不気味でしたが、生贄の男性が出てきてから一気に不気味さが加速しましたね…どこか『ミッドサマー』を連想させました。
また訪れた祖父母の家で不気味な体験をする様子は、M・ナイト・シャマラン監督の『ヴィジット』(2015)を彷彿させるものがありました。
果たして狂っているのは世界なのか?それとも自分なのか?苦悩する主人公に感情移入してしまいましたね。
主人公が答えを求め彷徨いますが、その答えに絶望してしまうシーンもとても良かったです。
一瞬救いがありそうに見せながら、絶望のどん底に陥れる展開には脱帽しましたね。
あれは誰でも絶望するわ。
お婆ちゃんの出産シーンも気持ち悪かったですねー。
あれは一体なにを見せられていたんだ…。
ラストシーンに主人公が見せた笑顔…しばらく忘れられそうにありません。
まとめ
今までありそうでなかった新ジャンルの村ホラーが誕生しました。
「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」という、誰もが気づいていながらも口にしていない世界の事実を見事に映像化しています。
ホラー要素は薄いですが、観賞後は何とも言えない気持ちになること間違いなしですね。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。