こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『ザ・メニュー』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『ザ・メニュー』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『ザ・メニュー』が好きになると思いますよ♪
映画『ザ・メニュー』のあらすじ
有名シェフのジュリアン・スローヴィクが極上の料理をふるまい、なかなか予約が取れないことで知られる孤島のレストランにやってきたカップルのマーゴとタイラー。目にも舌にも麗しい料理の数々にタイラーは感動しきりだったが、マーゴはふとしたことから違和感を覚え、それをきっかけに次第にレストランは不穏な空気に包まれていく。レストランのメニューのひとつひとつには想定外のサプライズが添えられていたが、その裏に隠された秘密や、ミステリアスなスローヴィクの正体が徐々に明らかになっていく。
出典:映画com
・世にも奇妙なメニューを味わえる映画
・現代社会の闇を風刺している
・ストーリーは少し微妙かも?
・気をつけないと、観客もシェフに殺されます
レイフ・ファインズ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルトの共演で、孤島にある高級レストランに隠された秘密が明らかになっていく様を描いたサスペンス映画です。
特に「クイーンズ・ギャンビット」「ラストナイト・イン・ソーホー」のアニヤ・テイラー=ジョイと、「マッド・マックス 怒りのデスロード」「女王陛下のお気に入り」のニコラス・ホルトがカップルを演じ、謎に包まれた名シェフのスローヴィクを、「グランド・ブダペスト・ホテル」「キングスマン ファースト・エージェント」のレイフ・ファインズが演じている点に注目です。
HBOのドラマシリーズ「メディア王 華麗なる一族」で注目されたマーク・マイロッド監督がメガホンをとり、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」「ドント・ルック・アップ」のアダム・マッケイがプロデューサーを務めています。
【ネタバレあり】映画『ドント・ルック・アップ』感想と考察【地球も人類も救わない世紀末映画!まさに汚いアルマゲドン】
なかなかクセが強い映画であり、後味も悪いストーリーですが、とても不思議な世界観を体験させてくれます。
当ブログでは、『ザ・メニュー』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『ザ・メニュー』のネタバレ一覧
ネタバレ①:本作のテーマ
風変わりなメニューを提供する本作のテーマは、”与える側と奪う側の平等性”です。
①与える側
・本作のシェフ
・サービス、商品を提供する側の人間
②奪う側
・本作の客(マーゴを除く)
・サービス、商品を購入する側の人間
というのも、どうしても現実世界では、”与える側より奪う側の方が立場が強くなっている”のが実情です。
「お客様は神様」、という誤った言葉が浸透しているとおり、残念ながら「金を払っている側の人間の方が立場が強いんだ!」と思っている人がおります。
しかし実際は、「サービスや商品を提供している側の人間がいるから、お金でサービスや商品を購入することが出来る」のであり、両者の立場は平等なはずなのです。
本作は、そんな両者の平等性を皮肉を交えて描いている映画となります。
本作も冒頭シーンでは、現実世界同様に奪う側、つまり客側の立場が強いように描かれていました。
しかし物語が進むにつれ、少しずつ与える側、つまりシェフの立場が強くなり、客側はなすすべもなく殺されることになります。
つまり”現実世界への皮肉を表現している”ということです。
そして本来は客側として招かれる予定ではなかったマーゴのみが生き残ることに成功します。
ネタバレ②:シェフの目的
シェフの目的は、大きく2つあります。
①自分の人生を台無しにした人物への復讐
②究極のメニューを完成させて、殉教すること
まず「①自分の人生を台無しにした人物への復讐」ですが、今回招かれた客は、何らかのかたちでシェフの人生に影響を与えており、同時にシェフの人生を台無しにした人物たちです。
しかし本来は招かれるはずではなかったマーゴは除きます。
名前 | 特徴 | シェフへの関与 |
マーゴ | タイラーの付き添いできた娼婦 | シェフと同じ与える側 |
タイラー | シェフに心酔している美食家 | 料理も出来ないウンチク野郎 |
リリアン&テッド | 料理評論家と雑誌編集者 | 多くのレストランを潰した |
年配夫婦 | 何度もシェフの料理を食べたことがある | シェフの料理を覚えておらず、食に対する敬意がない |
投資家3人組 | レストラン「ホーソーン」の投資家の部下たち | 投資家がシェフの料理に口を出してくる |
映画スターと付き人 | 自分勝手な映画スターと浮気相手の付き人 | シェフの休日を駄作映画で台無しにした |
母親 | シェフの母親 | 暴力的な父親からシェフを守ってくれなかった |
理由は様々ですが、マーゴ以外の人物が何かしらの手段でシェフの人生を台無しにしてしまっているのです。
そして2つ目の目的である「②究極のメニューを完成させて、殉教すること」ですが、こちらはキリスト教が絡んできます。
というのも、本作はキリスト教を連想させるキーワードがいくつか登場しているんですよね。
①キリストのパンとワイン
②キング牧師の演説
③招かれな客数がキリストの弟子と同じ12人
④最後の晩餐を連想させる食卓
⑤裏切り者ユダであるタイラーの存在
⑥デザートメニュー「スモア」による殉教
ここまでくると、明らかにキリスト教を意識していますよね。
このようなキーワードから想像すると、シェフはキリスト教信者なのでしょう。
そのため、目的を果たして神の国に行ける殉教を選んだのです。
側から見ると迷惑極まりない殉教でしたが、シェフやスタッフたちは喜んで死んでいました。
きっと心の底から、「究極のメニューを完成させたから、神が天国で迎え入れてくれる」と信じているのでしょうね。
ネタバレ③:最後の晩餐
本作は、”キリスト教における最後の晩餐をモチーフ”にしております。
というのも、シェフが口にするキリスト教のキーワード、そして何より招かれた客数がキリストの弟子と同じ12人なんですよね。
これは完全にキリスト教および最後の晩餐を観客にイメージさせる演出です。
そうなると、シェフはキリスト本人のつもりなんでしょうね。
ネタバレ④:裏切り者ユダであるタイラー
本作でマーゴに匹敵する重要キャラクターといえばタイラーでしょう。
というのも、タイラーは他の客とは異なり、”メニューが最後まで提供された後、全員死ぬ”ということを事前に知っている唯一のキャラクターです。
きっとシェフがタイラーの心酔具合を考慮し、敢えて真相を漏らしていたんでしょうね。
常人であれば、死ぬはずの場所にノコノコ現れることはありませんが、タイラーは口だけのウンチク自信家野郎なので、わざわざレストランまで来てしまったんですね。
しかも事情の知らないマーゴを金で雇い、振られた恋人の代わりに連れてくるというクソっぷりです。
そして先程、本作は最後の晩餐をモチーフにしていると説明しました。
そうなると、”タイラーはキリストの弟子であり裏切り者であるユダ”にあたることになるのです。
実際にタイラーはシェフを銀貨30枚で売ったわけではありませんが、マーゴを含めた他の客人の命を裏切ったという意味では、まさに裏切り者であるユダの名前がふさわしいでしょう。
ネタバレ⑤:命懸けの鬼ごっこの意味
本作の中盤で繰り広げられる「命懸けの鬼ごっこ」ですが、なぜ男性だけが逃げていたのでしょうか。
それは、”男性による女性搾取への報復”です。
というのも、鬼ごっこの直前にセクハラをしたシェフが女性スタッフにハサミで刺されていましたよね?
つまりシェフほどの優れた人物でも己の欲望を抑えることが出来ない、そのため女性搾取をしてしまうということです。
しかし、もしシェフが魅力的な男性であれば、女性スタッフはシェフを拒んだりしたでしょうか?
もしかしたらシェフと女性スタッフは結ばれていたのかもしれません。
そして魅力的な男性の条件というのは、”生存能力”です。
もちろん権力や富も重要ですが、何より他者や他種より生き延びること、つまり生存能力が最重要となります。
そのため敢えて「命懸けの鬼ごっこ」を行うことにより、「男性の女性搾取への報復」と「生存能力=鬼に捕まらずに逃げ切れるか」の2つを目的としていたのです。
結果として、どの男性も逃げ切ることは出来なかったため、「生存能力のなさ」を浮き彫りにしてしまいました。
ネタバレ⑥:タイラーはシェフに何を言われたのか
晴れてシェフに認められ、キッチンに立ちことを許されたタイラーですが、シェフの仕打ちはタイラーの心をへし折るものでした。
というのも、料理が出来ないにも関わらず、味に関しては人一倍知識がありウンチクを垂れるタイラーに対し、シェフは”全員の目の前で料理を行わせ、醜態を晒させる”という行為を行うのです。
最初は「シェフに認められた」と勘違いして舞い上がっていたタイラーですが、真相に気がついた時は冷や汗を垂らしていました。
そんなタイラーですが、シェフに何か言われた後、ネクタイで首を吊って自殺してしまいます。
おそらくシェフはタイラーに「お前は料理の才能がないクズ野郎だ。生きていても意味がないから、さっさと死ね、このクズ野郎」的なことを言ったのでしょう。
尊敬しているシェフからこんなことを言われてしまっては、流石のタイラーと言えども心が折れてしまい、結果として自殺を選択してしまったのです。
ネタバレ⑦:客が死を受け入れた理由
本作の謎の1つに「なぜ客は死を受け入れてしまったのか?」があります。
客が死を受け入れた理由は、”己の過ちを認めたから”です。
というのもレストランに招かれた客は、何かしらの形でシェフの人生に影響を与えており、その行動の報いとして殺されることになります。
最初はシェフに反発していた客も、次第にシェフのカリスマ性、狂気性に影響され、ほぼ洗脳されている状態になっていました。
その洗脳状態に加えて、自らがシェフに良からぬ影響を与えてしまった罪を認識し、”シェフになら殺されても仕方がない”という心理状況になってしまったのです。
だからこそ誰一人逃げ出そうとしなかったのですね。
ネタバレ⑧:マーゴが助かった理由
唯一の生還者であるマーゴが助かった理由は、”与えられる側への感謝の気持ちを忘れていなかったから”です。
シェフとマーゴは職種こそ違えど、客に何かしらを提供する与える側です。
しかし本作の客である奪う側の人間たちは、与える側の人間に感謝の意を表さず、「金を出しているんだから、サービスするのは当たり前だろ?」、「金を出している人間のほうが偉いんだ」と勘違いをしており、その勘違いが結果としてシェフの人生に影響を与え、結果として殺されることになってしまいました。
しかしマーゴだけは、奪う側ではなく与える側の人間であり、シェフの気持ちを推し量ることが出来たのです。
そして極めつきは、”シェフに料理をすることの楽しさを思い出させたから”です。
というのも、マーゴが見つけたシェフの部屋には様々な写真が飾られており、その中にはシェフが若い頃にハンバーガーを楽しそうに料理している写真がありました。
今でこそ現実世界に疲れ切っているシェフも、昔は単純に料理をすることが楽しかった若者ということですね。
そのシェフの写真を見ていたからこそ、マーゴはシェフにチーズバーガーを注文したのです。
しかも敢えてテイクアウトをして料金を支払うことにより、”与える側であるシェフの尊厳を踏みにじることなく、レストランを去ることが出来た”ということです。
このマーゴの行動は、シェフと同じ与える側だからこそ出来たのかもしれませんね。
映画『ザ・メニュー』の感想
かなりクセが強い映画でした。
序盤から中盤にかけては、「いったい何が起こるんだろう?」というワクワク感が非常に強かったのですが、終盤にかけて「シェフの目的はいったい何なんだろう?」という疑惑に変わっていきます。
個人的には、序盤から中盤にかけてのワクワク感のほうが楽しかったので、シェフの目的が明らかになってくる終盤は、そこまでのめり込むことが出来ませんでした。
特に落ち目の映画スターの付き人である女性、この人は完全にとばっちりであり、シェフの復讐に巻き込まれただけですよね?
どうやらブラウン大学を奨学金を貰わずに進学していたそうですが、これが何故シェフの逆鱗に触れたかが説明されなかったため、シェフの復讐の目的の意味が少し薄れてしまったように感じました。
その他の人物は、ある意味自業自得なのですが、それにしてもシェフの狂気は異常です。
まあだからこそ映画が成り立つのですが、殺される客たちもそこまで悪人ではないので、なんだか可哀想になってしまいました。
もし本作が異常な殺人鬼が登場するホラー映画だったら納得するのですが、あくまでサスペンス映画だと思いますので、このあたりの設定がスッと頭の中に入ってこなかったですね。
またマーゴとエルサが争った原因も深掘りされていなかったので、「えっ?なんで殺し合うの?」と率直に感じてしまいました。
エルサのマーゴに対する嫉妬だと思うのですが、「なぜシェフはエルサが嫉妬を抱くように仕向けたのか?」が描かれていなかったため、あまりに唐突に殺し合いが始まるんですよね。
これでは観客は完全にストーリーから置いてぼりであり、その後のストーリーが頭に入ってこなくなってしまいます。
と好き勝手に感想を書いてしまいましたが、シェフは私のように”作り手である与える側の苦労や努力も知らないくせに、好き勝手文句ばかり言うお客様=奪う側に嫌気が差した”ということですね。
自分自身では何も出来ないくせに文句や批判ばかりは好き勝手に言う・・・確かに私がシェフのように与える側だった場合、こんな客は殺したくなってしまうかもしれません。
まとめ
決して後味の良い映画ではありませんが、「世にも奇妙な物語」のように不思議な世界観を体験させてくれる映画でした。
シェフの目的が明らかになるにつれ、背筋が寒くなってくる展開は面白いです。
しかし気になる点がいくつかありましたので、人によってはストーリーに集中出来なくなってしまうかもしれません。
不思議な世界観が好きな人には、抜群にハマる映画だと確信しております。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。