こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『夏へのトンネル、さよならの出口』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『夏へのトンネル、さよならの出口』が好きになると思いますよ♪
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』のあらすじ
ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……
掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。
これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。
・不思議なウラシマトンネルを舞台にした青春劇
・圧倒的映像美と音楽で世界観に没入
・過去ではなく、未来を選択するストーリー展開
・ラストシーン、2人の選択に胸が震える
第13回小学館ライトノベル大賞において「ガガガ賞」と「審査員特別賞」をダブル受賞した、八目迷による小説『夏へのトンネル、さよならの出口』をアニメーション映画化しています。
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当ブログでは、『夏へのトンネル、さよならの出口』の気になる謎を徹底考察・解説していますので、観賞後のヒントになれば嬉しいです。
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【ネタバレあり】映画『夏へのトンネル、さよならの出口』のネタバレ一覧
ネタバレ①:ウラシマトンネルの秘密
ウラシマトンネルは、”トンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る代わりに、100年歳をとる”と噂されているトンネルです。
名前の由来は、昔話「浦島太郎」から来ていることが推測できます。
しかし実際のウラシマトンネルは、噂とは違いました。
実際のウラシマトンネルは、”トンネルに入ると失くしたものを取り戻せる代わりに、時間の経過が遅くなり、外の世界から置いていかれる”というものです。
外の世界 | ウラシマトンネル |
1秒 | 65分 |
1分 | 65時間=2日 |
10分 | 650時間=27日 |
1時間 | 3,900時間=162日 |
12時間=半日 | 46,800時間=1,950日=5年 |
24時間=1日 | 93,600時間=3,900日=10年 |
つまりウラシマトンネルに入ると、”外の世界の3,900倍のスピードで時間が経過する”ということです。
しかし何故ウラシマトンネルは、時間の流れが急速に遅くなるのでしょうか?
これには、”重力が関係しているもの”と思われます。
映画『インターステラー 』を観た人ならピンと来ると思うのですが、重力の強い場所では時間の進み方が遅くなります。
実際に『インターステラー 』で主人公たちが訪れた水の惑星は、1時間滞在すると地球の7年に相当するほど時間の流れが遅いのです。
おそらくウラシマトンネルも、”外の世界より重力が強いため、時間の流れが遅い”のだと考えられます。
そんなウラシマトンネルですが、時間の流れ以外にも秘密があります。
それが”失くしたものを取り戻せる”ことです。
実際にカオルは、昔飼っていたインコのキィを取り戻せましたし、あんずも幼い頃に捨てられたマンガの原作を取り戻すことが出来ました。
どちらも幻覚ではなく、実物として取り戻すことが出来たので、ウラシマトンネルは”入った人の思い出を実体化させることが出来る”のでしょう。
そのためカオルとあんずは、それぞれの目的のため、ウラシマトンネルに入ることになるのです。
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ネタバレ②:塔野カオルの目的
カオルがウラシマトンネルに入る目的は、”事故で亡くなった妹カレンを取り戻すこと”です。
幼い頃、カオルとカレンは些細なことでケンカをしてしまい、兄と仲直りしたかったカレンは、木に登ってカブトムシを捕まえ、兄にプレゼントしようとしました。
しかし誤って木から落ちてしまい、そのまま亡くなってしまったのです。
明るい性格で家族の太陽的存在であったカレンが亡くなってしまったことにより、母親は蒸発してしまいます。
そして家族がバラバラになってしまったことに絶望した父親は、酒浸りの毎日を過ごすようになり、カオルに辛くあたるようになってしまうのです。
そのためカオルは、「カレンを死なせ、家族をバラバラにしてしまった責任は自分にある」と強く思っており、ウラシマトンネルに入ることで失ったもの=カレンを取り戻そうとしているのです。
しかしウラシマトンネルに入るということは、今の生活を捨てる、ということにもなります。
つまりカオルは、”カレンを取り戻すためなら、他の全てを捨てる覚悟がある”ということです。
この覚悟の違いが、後々にカオルとあんずの運命を分けることになります。
ネタバレ③:花城あんずの目的
あんずがウラシマトンネルに入る目的は、”この世界に生きた証を残せるほどの特別な才能を手に入れること”です。
あんずは、亡くなった祖父の描くマンガが大好きでした。
しかし実際は、祖父の描くマンガは全く売れず、連載できたとしても3冊で打ち切りとなり、お金も家族から借りてマンガを描いている状況でした。
そのため祖父が亡くなったとき、あんずの両親は「やっと厄介者がいなくなった」、「娘であるあんずには、普通の人生を過ごしてもらいたい」と考えるようになったのです。
しかしあんずは、”祖父のようにマンガを描いて、人生を過ごしていきたい”という強い想いを持っていたため、反対された両親から「少し頭を冷やせ!」という理由で東京から田舎町に島流しになった、という経緯があります。
しかし世の中には優れたマンガ家は沢山存在していますし、マンガ家の候補生は次々と現れます。
確かにあんずは、人並外れた美貌とマンガ家としての才能を持っているのかもしれませんが、「それだけでは、この世に生きた証を残せるほどのマンガ家には慣れない」と心の奥底で思っているのです。
そのため、特別な才能が必要だと考えており、カオルと共同戦線を組んでウラシマトンネルに入ることになります。
ネタバレ④:カオルがあんずを置いていった理由
カオルがあんずを置いて、ウラシマトンネルに入った理由は、”あんずの求めるもの=特別な才能は、ウラシマトンネルには存在しないから”です。
カオルとあんずが共同戦線を組み、ウラシマトンネルの秘密を少しずつ解明していく過程で、少しずつ2人の関係性に変化が訪れます。
当初は、あまり仲が良くなかった2人ですが、水族館や浴衣デートなどを重ねるうちに親密な関係になっていくのです。
そして最も2人の関係性が深くなった出来事は、”カオルがあんずのマンガを読んだこと”でしょう。
ある日、2人はウラシマトンネルに入り、あんずが失くしたもの=幼い頃に両親に捨てられたマンガを取り戻すことが出来ました。
しかし予定より長い時間、ウラシマトンネルに入ってしまったため、一旦あんずの自宅に身を寄せることにします。
その時に、カオルがあんずが出版社に持ち込もうとしていたマンガの存在を知り、中身を読ませてくれるように頼むのです。
「私には特別な才能がない、それも普通のよくあるマンガだから・・・」と見せるのを躊躇するあんずですが、カオルが読んだ感想は「とても面白い、深いストーリーで伏線が張り巡らされているが見事に回収されている、ラストシーンには驚いた、もう一度読みたい」と大絶賛。
つまりあんずは、”自分には特別な才能がないと思っているが、実は他人から見ると既に特別な才能を十分持っている”ということになるのです。
そしてあんずは、勇気を振り絞り出版社にマンガを持ち込んだところ、編集担当がつくことになります。
編集担当がつく=マンガの連載、というわけにはいきませんが、マンガ家になる夢に近づいたのは事実です。
しかし事実は同時に、あんずに2つの選択を迫ることにもなります。
2つの選択とは、次のとおりです。
①外の世界に残り、マンガ家として人生を過ごす
②ウラシマトンネルに入り、今の時代でマンガ家になる夢を捨てる
まず「①外の世界に残り、マンガ家として人生を過ごす」ですが、このまま外の世界に残れば、マンガ家としてデビュー出来る可能性もあり、夢であるマンガ家になることが出来ます。
しかしあんずの目的である「この世に生きた証を残す」ことが出来るほどのマンガ家になれるかどうかはわかりません。
続いて「②ウラシマトンネルに入り、今の時代でマンガ家になる夢を捨てる」ですが、ウラシマトンネルに入ってしまうと時間の流れが遅くなるため、ウラシマトンネルから出てきた時に何年、いや何十年経過も経過している可能性があります。
そうすると、せっかく編集担当がついてマンガ家になれる可能性があるのに、その可能性を潰すことになるのです。
またウラシマトンネルは、「失くしたものを取り戻せる」トンネルのため、特別な才能を失っていないあんずが、ウラシマトンネルで特別な才能を取り戻せる可能性は限りなくゼロに近いでしょう。
カオルもあんずもその事実に気づいていますが、あんずはカオルに好意を持っているため、「例え特別な才能が手に入らずとも、カオルと一緒にウラシマトンネルに入り、一緒の時間を過ごしたい」とも思っているのです。
そのためあんずは、2つの選択を迫られることになり、その葛藤に気がついたカオルは、あんずを突き放すような形で1人でウラシマトンネルに入る決心をすることになります。
ネタバレ⑤:カオルの選択
カオルの行った選択は、”カレン(過去)ではなく、あんず(未来)を選択した”ことです。
あんずを置いてウラシマトンネルに入ったカオルは、トンネルの先で亡くなったはずの妹カレンと出会います。
戸惑いながらも失ったはずのカレンとの時間を楽しく過ごすカオルですが、どこか違和感を感じています。
というのも、本来であれば届かないはずである外の世界にいるあんずからのメールが届くんですよね。
それは、”あんずからのメール=カオルが失ったもの”だからです。
ウラシマトンネルは、失ったものを取り戻すことが出来ます。
そのため、”トンネルに入り、失ってしまった「あんずと過ごす時間」を取り戻すことが出来る”のです。
しかしカオルには、このままトンネルの中に残り、カレンと共に人生を過ごす選択も残されていました。
しかしカオルは、カレンではなくあんずを選択し、元いた外の世界に戻る選択をします。
その理由は、”過去(カレンが亡くなってしまったこと)を乗り越え、未来(あんずと過ごす時間)を選択することで、前に進もうとした”からです。
カオルは、今まで「自分の不注意でカレンを死なせてしまった」という自責の念に取り憑かれていました。
しかし「あんずを愛していること」を自覚し、カレンも「他の人も好きになってほしい」、そして「その人と3人で過ごせたら幸せ」と背中を押してくれました。
確かにカレンは亡くなってしまいましたが、いつまでもカオルの心の中で生き続けます。
つまり、”カオルがあんずと共に幸せに暮らす=カオルとあんず、カレンお3人で暮らす”ということになるのです。
そのため、カオルはあんずと共に幸せ暮らす未来を選択し、ウラシマトンネルを出る選択をするのです。
ネタバレ⑥:あんずの選択
黙ってカオルがウラシマトンネルに入ってしまったことにより、外の世界に取り残されてしまったあんずは、高校卒業後にマンガ家としてデビューし、連載を持つ人気マンガ家になることに成功しました。
しかしカオルへの想いを忘れることは出来ず、いつまでもカオルから貸してもらったビニール傘を持ち続けております。
またスランプ状態に陥っており、連載も打ち切りになってしまうほど心身ともに疲れ切ってしまっています。
そんなあんずの選択は、”ウラシマトンネルにカオルを迎えに行き、共に人生を歩むこと”です。
カオルがウラシマトンネルに入り、5年の月日が経過した頃、あんずの携帯にカオルから「大好きだ!」のメールが届きます。
ウラシマトンネルの中からは、外の世界にメールを送ることは出来ないため、メールが届く=ウラシマトンネルから外の世界に出ている、ということになります。
その事実を知ったあんずは、ウラシマトンネルに向けて全速力で走り出します。
そしてウラシマトンネルの入り口で倒れ込んでいる、カオルを発見するのです。
しかしここで、あんずはある選択をします。
その選択とは、”カオルと共にウラシマトンネルに留まる”ということです。
ウラシマトンネルに留まると言っても、8年間分の時間留まっただけですので、ウラシマトンネル内の時間でいえば18時間ほどです。
おそらくあんずは、”誰も知らない世界で、カオルと共に再出発したかった”のだと思われます。
マンガ家としてスランプに陥っていたので、一度周囲との関係性をリセットしたい、という想いもあったのでしょう。
ネタバレ⑦:ラストシーンについて
カオルがウラシマトンネルにいた時間は、カレンを探した12時間=5年間、その後にあんずが迎えに来て一緒に過ごした時間が18時間=8年間ですので、合計すると30時間=13年間となります。
そのため見た目は変わりませんが、戸籍上はカオル30歳(実際は17歳)、あんず30歳(実際は22歳)となります。
しかもカオルは、高校を卒業していないことになるので、中卒扱いとなり、現実社会で生きていくには、何かと不都合が起きることが想像出来ます。
またあんずもマンガ家としてデビューはしていますが、8年ものブランクが発生しているので再出発も苦労することが想像出来ます。
つまり、”2人の未来は、前途多難が待ち構えている”ということです。
しかし2人の目には、そんな不安を感じさせる要素は一切ありません。
むしろ”誰も知らない世界を2人で切り開いていく希望”に満ちているともとれます。
カオルはカレン、あんずもスランプに陥ったマンガ家、それぞれの過去を乗り越え、未来に向かって突き進む2人の姿は、希望と清々しさを感じます。
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映画『夏へのトンネル、さよならの出口』の感想
よくある男女の恋愛ものかと思いきや、ウラシマトンネルという時間の流れが異なる存在を織り混ぜることにより、過去を乗り越え未来に進む、というコンセプトを取り入れ、とても深いストーリーに仕上がっています。
また映像や音楽が美しいため、世界観に没入することが出来る点も特徴的です。
カオルとあんずがウラシマトンネルに入り、手に入れたいものがそれぞれ異なるため、「いったいどうやってラストシーンを迎えるんだろう」とワクワクしながら観賞しました。
結果的に、カオルがウラシマトンネルに入ってから13年間という月日が経過していますので、「これからの人生、大変だろうな・・・」と思ってしまうのは、私の心が汚れているからでしょうか。
しかしカオルとあんずが幸せそうに笑っていましたので、きっと2人の選択は間違いではなかったのでしょう。
そんな素晴らしい映画ですが、唯一欠点を挙げるとすれば、2人の人物描写が甘かった、という点です。
2人が愛し合うようになった経緯が深く描かれていないため、「えっ?こんなことで愛し合うようになるの?」と肩透かしを食らったかのような気分になってしまい、あまり感情移入することが出来ませんでした。
そのため、ラストシーンでカオルからあんずに「大好き!」のメールが届いたときも、「えっ?なんで?」と思ってしまったのが素直な感想です。
もう少し人物描写を深く描いてくれれば、神映画に仕上がっていたと思うので非常に残念です。
まとめ
人物描写が深くない点は残念でしたが、とても素晴らしい映画です。
特に映像と音楽が非常に美しいため、世界観に没入することが出来ます。
夏の終わりにふさわしい映画なのではないでしょうか。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。