こんにちは、ニャンコです。
このブログは映画『パーフェクト・ケア』のこんな疑問に答えていきます。
・見所ポイント
・ネタバレ一覧
・感想と考察
①芸術学部映画学科卒(卒論学年2位)
②映画歴20年以上
③累計2,000本以上観賞している変態
④実はホラー映画苦手(特に和風ホラー、リングとか無理!)
⑤Twitterで毎日おすすめ映画ツイート
映画『パーフェクト・ケア』の見所を、映画好きの変態猫であるニャンコがネタバレありで感想と考察を書いています。
まさか、ラストがあんな展開になるなんて・・・
きっとブログを読み終わったとき、もっと映画『パーフェクト・ケア』が好きになると思いますよ♪
映画『パーフェクト・ケア』のあらすじ
法定後見人のマーラの仕事は、判断力の衰えた高齢者を守りケアすること。
多くの顧客を抱え、裁判所からの信頼も厚いマーラだが、実は裏で医師や介護施設と結託して高齢者たちから資産を搾り取るという、悪徳後見人だった。
パートナーのフランとともに順調にビジネスを進めるマーラだったが、新たに資産家の老女ジェニファーに狙いを定めたことから、歯車が狂い始める。
身寄りのない孤独な老人だと思われたジェニファーの背後には、なぜかロシアンマフィアの存在があり、マーラは窮地に立たされる。
・悪徳法定後見人ビジネスを描く問題作
・主人公マーラの鮮やかな手法に魅了される
・悪徳法定後見人vsロシアンマフィアの攻防がハラハラドキドキする
・衝撃的なラストシーンに震える
映画『ゴーン・ガール』で超絶に頭が良く怖い女性を演じたロザムンド・パイクが主演を演じています。
本作でも『ゴーン・ガール』と同じぐらい、いやそれ以上に頭が切れて怖い女性を演じています。
もちろんストーリーも抜群に良く、ラストシーンまで気が抜けない展開が続きます。
どんでん返し系、サスペンス系が好きな人にはハマる映画だと思います。
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【ネタバレあり】映画『パーフェクト・ケア』のネタバレ一覧
ネタバレ①:法定後見人について
本作の主人公であるマーラは、法定後見人という仕事をしております。
法定後見人とは、”認知症などの理由で判断能力が欠けている高齢者に対して、財産管理や身上保護などを支援することが出来る制度”のことです。
一般的な後見人との違いは、”家庭裁判所が関与しているか否か”ということです。
通常であれば後見人は、高齢者本人の判断能力があるうちに、財産管理や身上保護などに関する法律行為を行う者、つまり信用出来る人を後見人として選任します。
一般的に後見人は、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職がなるケースが多いです。
しかし法定後見人は、高齢者本人の判断能力が認知症などにより低下している場合、家庭裁判所が後見人を決める、つまり”法律が定めた後見人=法定後見人”ということになります。
しかし問題となるのが、”法定後見人による高齢者の財産着服”です。
法定後見人は、弁護士や司法書士、社会福祉士など法律を熟知した専門職がなるケースが多いため、人によっては法律を悪用し高齢者の財産を着服するといったことも可能です。
本作の主人公であるマーラも法律を熟知し、法定後見人として高齢者の財産を着服する悪徳後見人です。
しかも周囲の人間もマーラに加担し、甘い汁を吸っているので更にタチが悪いです。
そんなマーラが高齢者女性ジェニファーの法定後見人になったことにより、ある問題が発生する、というのが本作の主なストーリです。
ネタバレ②:マーラの目的
悪徳後見人であるマーラですが、何が彼女をそこまで突き動かすのでしょうか?
マーラの目的はただ一つ、”ケタ違いの大金持ちになること”です。
「たったそれだけ?」って思いませんか?
しかしマーラにとっては金こそが全てなのです。
アメリカンドリームを掴むためには、”勇敢で愚かで残酷であり、フェアプレーをしないズル賢さ”が必要です。
普通に真面目に働いているだけでは到底ケタ違いの大金持ちには慣れない、そう考えたマーラが目に付けたのが合法的に裕福な高齢者の財産を着服できる仕事、すなわち法定後見人です。
マフィアや犯罪者のように銃や暴力で富を築く方法では合法的ではありません、それはもはや犯罪です。
しかし法定後見人であれば合法的に富を築くことが出来ます。
このようにマーラが金の亡者になってしまった理由は、おそらく彼女の母親に原因があるのだと思われます。
というのも、ロシアンマフィアのローマンに誘拐され、脅しのネタとしてマーラの母親の写真を見せつけられても、「好きに殺して、あんな毒親」と動揺する素振りを一切見せることはありませんでした。
きっとお金絡みで苦労し、幸せでない幼少期を過ごしていたことが想像できます。
そんな人生を払拭し、華やかで幸せな人生を過ごすためにマーラは”ケタ違いの大金持ち”になりたいのだと思われます。
まあそのためにジェニファーをハメて、彼女の法定後見人になったことが不幸の始まりでしたが・・・
ネタバレ③:ジェニファーの正体
本作で鍵を握る人物であるジェニファー。
金融関係の仕事を終え、悠々自適な生活をしております。
また非常に意識も考えもしっかりしており、とても法定後見人が必要であるような人には見えません。
しかし家族がいない天涯孤独の身であることが判明すると、マーラの手によって「認知症を患っている」と偽の診断書を捏造され、家庭裁判所から法定後見人の判決を下されてしまうのです。
獲物にたかるハイエナのようにジェニファーの自宅や資産、挙げ句の果てには貸金庫に保管してあったダイヤモンドまで根こそぎ奪うマーラの姿には戦慄を覚えます。
しかしジェニファーは、ただの金持ち高齢者ではありませんでした。
ジェニファーの正体は、”ロシアンマフィアのボス「ローマン」の実の母親”です。
またもう一つ驚愕の事実が判明します。
実は”本物のジェニファーは1949年に既に亡くなっており、高齢者施設にいるジェニファーは本物のIDやパスポート、納税証明書などを盗んだ全くの別人”であることが分かるのです。
ネタバレ④:ローマンの正体と目的
ローマンの正体は、”凶悪なロシアンマフィアのボス”です。
ローマンもジェニファー同様、本物のローマンのIDを盗んで身分を偽っております。
ローマンは毎月8日に母親であるジェニファーと面会しておりましたが、彼女がマーラによって高齢者施設に入居させられてしまっていたため面会することが出来ませんでした。
これによりローマンは怒り狂い、母親を取り戻すためにマーラに手下を送り脅迫を行います。
つまりローマンの目的は、”悪徳後見人マーラの元から母親を取り戻す”ということです。
しかしマーラが脅迫に屈することなく、ローマンの要求を跳ね除けたためロシアンマフィアとして報復に出るのです。
①ジェニファーが入居している高齢者施設に銃を持った手下を送り込む
→あと一歩でジェニファーを奪還出来たが、マーラの機転により失敗に終わる
②ジェニファーに偽の診断書を出した女医のカレンを殺害
③マーラの自宅に忍び込み、助手フランを瀕死状態になるまで暴行
④マーラを拉致し薬を投与、昏睡状態のまま車ごと湖に沈める
まあ全てマーラ自身が撒いた種なんですけどね。
ネタバレ⑤:マーラの復讐
ロシアンマフィアのボスであるローマンに拉致され、車ごと湖に沈められたマーラ。
普通に死んだかと思われましたが、なんとマーラが生きていました。
助手であるフランも救出し、「このままロシアンマフィアの手が届かないところまで逃げるのかな?」と思っていましたが、完全に裏をかかれました。
と言うのも、マーラはロシアンマフィアに復讐を決意し、そして実行するのです。
先程も言いましたが、マーラの目的は”ケタ違いの大金持ちになること”です。
ロシアンマフィアから逃げてしまっては、”ケタ違いの大金持ちになること”は絶対に叶いません。
だからこそマーラは無謀とも思えるロシアンマフィアへの復讐を実行するのです。
マーラは自分を拉致した車のナンバープレートを記憶してメモを取っておりました。
そのため手始めにナンバープレートから車の持ち主の住所を特定し、家に忍び込みます。
そして車が発進した後、その後ろを尾行するのです。
それはもちろん”ロシアンマフィアのボスであるローマンの居場所を特定するため”です。
車の尾行し、ローマンの居場所を突き止めたマーラ。
運転手とボディガードをスタンガンとテーザー銃で気絶させ、ローマンに注射針で薬を投与し気絶させます。
山奥に移動したマーラは、ローマンを裸にして更に薬を投与、そしてそのまま山道に放置して車で走り去ります。
後日、たまたま通りかかったランナーに発見されたローマンは救急車で病院に運ばれますが、容態はチューブを繋げていなければならないほど重体。
しかもローマンは本物のローマンのIDを盗み身分を偽っているため、マーラの手により法的に「身元不明者」として扱われてしまいます。
「身元不明者」となりますと法定後見人を付けなければなりません。
ここまで来ればわかりますよね?
つまりマーラの復讐とは、”ローマンの「身元不明者」とし、法定後見人となることでローマンの命も財産もマーラの手の内に納める”ということです。
ローマンの全てを手の内に納めたマーラは、「おとなしく1千万ドルを渡せば、ダイヤとジェニファーを返して、私は消える」、もしくは「1千万ドルを渡さないのであれば、法定後見人として法的にも物理的にもローマンを抹殺する」と交渉を持ちかけます。
そして意外にもローマンが出した答えは、「私と組んで一緒に法定後見人ビジネスをやろう」というものでした。
今までマーラは、個人的な繋がりで法定後見人ビジネスを行っていました。
しかし個人的な繋がりだけではマーラの目的である”ケタ違いの大金持ちになる”ことは絶対に叶いません。
しかしロシアンマフィアであるローマンの財力と権力を手に入れることが出来れば、個人的な繋がりだけではなく大企業として組織的に法定後見人ビジネスに乗り出すことが可能となります。
こうしてマーラはローマンと手を組み、組織的な法定後見人ビジネスへと乗り出していくのです。
すべては、ケタ違いの大金持ちになるために・・・
ネタバレ⑥:ラストの意味
ローマンと手を組み、瞬く間に成功者としての道を歩み出したマーラ。
世間的にも「大成功した女性起業家」として認められる存在となり、マーラの目的である”ケタ違いの大金持ち”になったと言っても過言ではないでしょう。
高齢者という社会的弱者を踏み台にし、成功者として確実に歩みを進めているマーラですが、他人にした行いはいつか自分に跳ね返ってきます。
TVインタビューを終え、助手のフランと共に高級車で立ち去ろうとするマーラの元に1人の男性が駆け寄ります。
そしてマーラは、男性が手にしている銃で胸を撃たれ、その場で亡くなってしまうのです。
マーラを銃で殺した男性は、本作の冒頭にも登場しており、実の母親をマーラの手によって高齢者施設に監禁されてしまっていたのです。
もちろん裁判で訴えますが、何枚も上手のマーラに敵うわけもなく、実際に亡くなるまで実の母親に会うことすら叶わなかったのです。
つまり男性はマーラを殺すことで、”母親と自分を騙した悪徳法定後見人に天罰をくだした”のです。
ことわざで、「人を呪わば穴二つ」というものがあります。
マーラは、悪徳後見人として多くの高齢者とその家族に害を与えてきました。
その結果が本作のラストシーン、つまり”自分が行った害が自分に跳ね返ってきた”ということです。
ここまで「人を呪わば穴二つ」の言葉がふさわしいラストシーンもそうそうないでしょう。
映画『パーフェクト・ケア』の感想
本作は悪徳法定後見人であるマーラを主人公としており、観る人によっては全くマーラに共感出来ないかと思われます。
しかし観る人を飽きさせない、そして魅了する何かが本作にはあります。
それは、”信念を持って生きる”ということです。
マーラほど自分の信念を突き通した主人公って中々いないんじゃないでしょうか?
マーラの信念である”ケタ違いの大金持ちになる”、これは一度は誰しもが考えたことがあることだと思います。
お金さえあれば現在や将来の不安を払拭出来る、豊かで煌びやかで楽しい人生を過ごすことが出来る、確かにそのとおりだと思います。
マーラの被害者となってしまった高齢者たちもそう思ってお金を貯めてきましたが、マーラに騙されて根こそぎ奪われてしまいました。
だからこそ「マーラのしたことは決して許せない!」という人もいることも理解出来ます。
しかし本作が本当に伝えたかったことって違うと思うんです。
確かにマーラが悪いですし、誰だってケタ違いの大金持ちになりたいです。
でもその結果どうなりましたか?
ラストシーンでマーラは呆気なく死んでしまいましたよね?
お金を貯めていた高齢者もマーラに騙され、財産を根こそぎ奪われましたよね?
つまり本作が本当に伝えたかったこととは、”どんなにケタ違いの大金持ちになっても、どうせ最期は死ぬから意味がない”ということだと思うんです。
どんな大金持ちだって人間である以上、いつかは必ず死にます。
死ぬ要因は人によって異なりますが、必ず死ぬことには変わりありません。
そして死んでしまったら、お金には何の価値もありません。
確かにマーラはローマンと組み、法定後見人ビジネスを大成功させ”ケタ違いの大金持ち”になりましたが、呆気なく銃で撃たれ死んでしまいます。
マーラは”ケタ違いの大金持ちになる”という信念を持って生きてきましたが、その信念は人々を不幸にする信念だったのです。
別に大金持ちになりたい、という気持ちを否定しているわけではありません。
しかし大金持ちになるだけでは、結局最期は死んでしまうので意味がないのです。
大切なのは”大金持ちになって何をしたいのか”、もしくは”どんな方法で大金持ちになるのか”ということだと思います。
マーラは悪徳法定後見人という周囲の人々を不幸にする手段で大金持ちになろうとし、実際にケタ違いの大金持ちになりました。
しかし周囲の人々を不幸にしてしまったため、結局は自分に跳ね返り悲惨なラストシーンを迎えてしまったのです。
本作は信念を持って生きることの大切さを教えてくれるのと同時に、信念は周囲の人々を不幸にしてはいけない、ということも教えてくれます。
まとめ
賛否両論もあるかと思いますが、個人的には映画『ゴーン・ガール』よりも面白い映画でした。
本作も『ゴーン・ガール』も主演であるロザムンド・パイクが悪女を演じてるのですが、抜群に上手い演技と世界観に魅了されます。
確かに感情移入出来る主人公像ではないため、スッキリして前向きな気持ちになれる映画ではありません。
どちらかというと、不快な気持ちになる人のほうが多いかもしれません。
しかし、その不快な気持ちをしてまでも観る価値が本作にはあります。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。